緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

今年1年に出会った感動する演奏(合唱曲を中心に)

2011-12-31 14:08:14 | 合唱
こんにちは。
今年も今日で終わりです。
今年1年を振り返るとまず震災により私の生活も影響を受けましたが、何とか無事にこの
1年を終えることができそうです。原発の影響など早く収束すること願わずにはいられま
せん。
それでもこの1年はブログを始めたり、合唱曲という新しいジャンルの音楽を聴くように
なったりと、仕事中心の生活の中にもささやかではあるが、楽しさを感じることができま
した。
このブログでは私の趣味である音楽のことについて書いてきました。
これからも音楽についてきままに書いていこうと思う。また音楽に対する自分の考えや気持
ちを正直に書いていきたい。
ブログは自分の考え方や気持ちを明確にし、整理する上で有益だし、書いた情報が何かの
形で目に触れた方に役に立ってもらえるのであれば望外の喜びである。
決して多くはありませんが、幸いにも私のブログを見てくださる人がいるので、とても嬉し
く思いますし、感謝しています。

さて今回はこの1年を振り返って、今年新たに聴いた音楽の中で感動を与えてくれた素晴ら
しい演奏を全てここに紹介したいと思います。
既にブログで紹介したものも含めて改めて取り上げたい。
これらの曲や演奏に出会い、毎日のように聴くことでどれだけ私の気持ちが支えられたか
、まずそのことを伝えたい。これらの曲に出会ったことは幸運だったし、作詞、作曲した
方、また演奏者に対し感謝したい。

 【合唱曲】
◎1.風になりたい
   作詞:川崎 洋 作曲:寺嶋 陸也
   演奏:東京都大妻中野高等学校
   (第72回(平成17年度)NHK全国学校音楽コンクール 全国コンクール
    高等学校の部)

◎2.風になりたい
   作詞:川崎 洋 作曲:寺嶋 陸也
   演奏:福島県立橘高等学校
   (第72回(平成17年度)NHK全国学校音楽コンクール 全国コンクール
    高等学校の部)

 3.風(「白秋による三つの楽想」から)
   作詞:北原 白秋 作曲:萩原 英彦
   演奏:愛媛県立西条高等学校
   (第62回(平成21年度)全日本合唱コンクール全国大会 高等学校部門
    Aグループ)

 4.混声合唱のための「ラプソディー・イン・チカマツ[近松門左衛門狂想]から
   貳の段
   作詞:近松門左衛門 作曲:千原 英喜
   演奏:愛媛県立西条高等学校
   (第62回(平成21年度)全日本合唱コンクール全国大会 高等学校部門
    Aグループ)

◎5.僕が守る
   作詞:銀色 夏生 作曲:上田 真樹
   演奏:東京都大妻中野高等学校
   (第78回(平成23年度)NHK全国学校音楽コンクール 全国コンクール
    高等学校の部)

 6.「私のいのちは」(「五つの心象」から)
   作詞:立原道造 作曲:小林秀雄
   演奏:鹿児島県立松陽高等学校
   (第64回(平成23年度)全日本合唱コンクール全国大会 高等学校部門
    Aグループ)

◎7.無伴奏女声合唱のための「万葉恋歌」から
   1.春の苑  和歌:大伴家持
   2.天の火  和歌:狭野弟上娘子
   3.山桜花  和歌:大伴家持
   作曲:信長貴富
   演奏:鹿児島県立松陽高等学校
   (第64回(平成23年度)全日本合唱コンクール全国大会 高等学校部門
    Aグループ)

 8.けれども大地は...... (「夢のうちそと」から)
   作詞:新川和江 作曲:土田豊貴
   演奏:兵庫県立神戸高等学校
   (第64回(平成23年度)全日本合唱コンクール全国大会 高等学校部門
    Aグループ)

◎9.無伴奏女声合唱のための「炎の挽歌」~万葉集巻第二柿本人麿の三首の挽歌
   による~から
   Ⅲ 妻への挽歌
   作詞:柿本人麿 作曲:西村 朗
   演奏:兵庫県立神戸高等学校
   (第64回(平成23年度)全日本合唱コンクール全国大会 高等学校部門
    Aグループ)
   
 10.混声合唱のための「地球へのバラード」から
   沈黙の名
   作詞:谷川俊太郎 作曲:三善 晃
   演奏:北海道立札幌北高等学校
   (第67回(平成12年度)NHK全国学校音楽コンクール 全国コンクール
    高等学校の部)

  【クラシックギター曲】
 1.アナモルフォーズ
   作曲:毛利蔵人 演奏:佐藤 紀雄

番号の前に◎印を付けた曲、演奏は今年新たに聴いたものの中で特に感銘を受けたもの
です。
これらの演奏を聴いて精神面ではものすごくプラスになった。全て合唱曲ですが、これ
らの演奏に共通しているのは、演奏者の内面の気持ちが聴き手の心に届くことである。
このような演奏法はレベルが高いし難しい。でも聴き手の気持ちにいいものを与えてくれ
るから何度でも聴いてしまうんですね。
来年もいい演奏に出会うのが楽しみだ。
来年の合唱コンクールではどんな演奏を聴かせてくれるのだろう。
演奏者たちとは直接コミュニケーションできないが、演奏を通して演奏者たちに近づける
ような気がします。何か身近な親近感を感じることができる。
これらの曲、演奏については改めて個別に紹介していきたい。

  
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ガブリエル・フォーレのピアノ曲について ②

2011-12-23 23:13:29 | ピアノ
こんばんは。
明日はクリスマスですね。今日はすごく寒い日でしたが、幼い甥や姪に渡すプレゼント
を買いにビックカメラに行ってきました。おもちゃ売り場はすごい混みようでしたね。
さて久しぶりにピアノ曲の話をしたいと思います。
以前のブログで、私が好きなピアノの作曲家としてフランスのガブリエル・フォーレ
の曲に出会ったいきさつや、ピアノ曲の代表作である「夜想曲」のうち第1番がピアノ
曲で最も好きな曲であることを述べました。
今日はこの夜想曲のうち、第1番に次いで好きな曲である第6番のことを紹介したいと
思います。



この第6番変ニ長調はフォーレが作曲活動で最も充実していた時期に書かれたものと
思われ、非常に格調高く深い音楽性を感じさせる内容となっています。
全音楽譜出版社の「フォーレ ノクターン集」の解説を引用させてもらいますが、解説者
は「この曲は第7番と共に天才ガブリエル・フォーレの最高の作品である。感情を非常に
上品に抑制した音楽的発想の華麗さ、構造と書式の最高の完成度である。文学も解説も注釈も全く不要である。幻想的な面と音楽の実質的な根拠によって最高の作品に位置する。
」と述べています。
まさにそのとおりの音楽である。冒頭部は静かな夜に、美しい音が天から降りそそいで
くるような感じがします。低音部の格調高くかつ静かな響きがその美しさをいっそう
浮かび上がらせています。このフレーズを聴くと心が次第に安らかになっていくことに気付きます。
この冒頭部はゆったりとした速度で弾かなければならない。ここの部分のテンポを速く
している奏者がいますが、速いと静かな夜の精神が研ぎ澄まされた時に、さまざまな
ことを想像する際の心のリズムに同調させることができません。
この静かで心の動揺を鎮める安らかな旋律の後、11小節目から徐々に精神の高揚を
感じさせるフレーズが現れます。



14小節目から18小節目のこの部分は冒頭部の静かな安らぎから前向きな、将来に
向けての強い希望、又は幸福の絶頂感のようなものに転換していくような感じがする。
19小節目から転調しテンポが速くなり、やや哀愁を帯びた旋律に変化していきます。



そして30小節目から再び精神の強い高揚を感じさせるフレーズが現れます。この部分
を聴くと脳からモルヒネが出ているのではないかという感じます。非常に強い情熱、
あるいは生命力のようなものを感じます。そしてその情熱は徐々に夜の静けさに戻され
ていく(61~62小節目)。
63小節目から一転して泉が湧き出るような非常に美しいアルペジオの続くフレーズに
変わります。





いくつかの速い下降音階を繰り返し、やや不安定な気持ちを感じさせるフレーズから
最初のアルペジオに戻り(TempoⅠ)、上昇音階を挟みながら徐々にクレッシェンド
し、6連付の高音と低音の掛け合いでクライマックスとなり、静かに消え入るように
音の階段を昇っていき、最後の和音を長いフェルマータで余韻を残します。
そして再び冒頭の静かで安らかな旋律が再現されます。

この夜想曲第6番の録音でお勧めは、フランスのピアニストで、マルグリット・ロン
に指導を受け、ロンの後任にとしてパリ音楽院の教授となった、ジャン・ドワイアン
の演奏に他なりません。
第1番は同じくフランスのピアニストであるジャン・フィリップ・コラールが超名演
ですが、第6番はジャン・ドワイアンが最も聴き応えがあります。



60歳代前半の録音ですが、正統的とも言える演奏で、格調高く、非常に重厚かつ
美しく情熱的な演奏です。抑制された情熱を最高に表現し得たとも言える優れた超名演
だと思います。
この録音を静かな夜に、出来れば眠くない目が冴えわたった時に聴いて欲しいです。
ドワイアンの演奏によりフォーレのピアノ曲がいかに深い音楽性を持っているかを
感じ取ることができるに違いありません。
ドワイアンの演奏は師であるマルグリット・ロンの影響を受けています。下はロン
が1936年に録音した演奏のCDですが、現代のピアニストとは全く違うものを
感じます。その演奏はすごいです。特に100~114小節目の表現は神業的な感じ
がする。





フォーレの夜想曲はこの第6番までは美しく聴きやすいが、第7番以降(第8番除く)
は徐々に暗い影を落としていきます。

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現代音楽を考える(ギターとの関連において)

2011-12-17 22:07:18 | ギター
こんばんは。
先月開催された第54回東京国際ギターコンクールのプログラムを読んでいたら、
作曲家の吉松隆氏の経歴が紹介されており、その中で吉松氏が「「現代音楽」の
非音楽的な傾向に異を唱え、調性やメロディを復活させた「新(世紀末)抒情主義
」および「現代音楽撲滅運動」を主唱」してきたとの記述がありました。
今は下火となった感がありますが、現代音楽は1960年代~1970年代にかけ
てさかんに作曲されましたね。
日本人の作曲家でクラシック・ギターの現代音楽を作曲したのは以下の方が知られて
います(私が曲を弾いたり聴いたりした方に限る)。

①野呂武男
②平吉毅州(たけくに)
③早川正昭
④原嘉寿子(かずこ)
⑤武満徹
⑥下山一二三
⑦野田暉行(てるゆき)
⑧毛利蔵人(もうりくろうど)
⑨三善晃

現代音楽の特徴は、無調、不協和音の多用、難解なリズム、作曲者の意図や心情を
感じ取り難い、といったところでしょうか。
前々回のブログで紹介した合唱曲「僕が守る」と対極をなすような音楽ですね。
現代音楽は、聴くと不快感を感じることが多いことから、好んで聴く人はあまり
いないと思います。
以前、家で現代音楽を聴いていたら家族から消してくれとクレームをつけられた
ことがあります。猫などの動物も現代音楽が流れると逃げていくとか。
私も以前は現代音楽には全く関心がなく、殆ど聴くことはなく、バリオスやポ
ンセなどのロマン的な音楽が好きだったのですが、その後日本旋法の曲に強い関心
を持つようになり、またその頃から現代曲も聴くようになりました。邦人作曲家
のギター曲を探した影響かもしれません。
今では現代音楽を聴いても殆ど抵抗はありません。むしろ面白い、というか聴いて
色々考えることが出来るところに魅力を感じます。
何でこんな音楽をつくるのかな、と考えてみるのです。
野心、難解さを競う意図、顕示欲、人間心理の負や影の部分、音楽様式や音楽理論
からの逸脱したところに何を作ろうとしているのか、など。
ロマン的な曲は、心の感覚で聴くのに対し、現代音楽は頭で色々考えて聴くという
感じかな。

ギターの現代音楽で比較的分かりやすい曲として、原嘉寿子作曲「ギターのための
プレリュード、アリアとトッカータ」があります。東京国際ギターコンクールの
課題曲にもなりました。
この曲は全体的に不協和音を多用していますが、特にアリアは恐ろしく不気味な
和音が聴けます。





普通の人はこのような和音を聴こうと思わないし、多くの作曲家はあえて不気味
な非音楽的なものは作ろうとしない。
でもこのアリアは最初は抵抗がありましたが、聴き続けていると結構、面白いと
いうか、ユーモアを感じるというか、見たくないもの聴きたくないものを感じて
いくうちに逆に親しみを感じてしまうんですね。面白い現象ですが。
下の楽譜の表現も奇抜ですが、何か人間の負の感情を表したように思えます。心地
よくはないけれど、心に残る。



下は最終楽章「トッカータ」の終末部。激しいラスゲアードの最後にタンボーラ
(ギターのブリッジの近くを右手親指の側面部で叩いて出す奏法)を入れている。



この終わり方は驚きですね。聴き手をびっくりさせる意図があるのか、奇抜な
表現を取り入れて新しい表現を示したいという気持ちが感じられなくもないが、
作者のこの曲に対する一貫した思いの帰結であることは間違いなく、むしろ
自然な表現なのかもしれません。

邦人作曲家による現代音楽は結構数多くありますが、その中でも野呂武男の
「コンポジションⅠ」や「コンポジションⅡ」は今後演奏や音楽解釈に取り組み
たいと考えています。
1960年に作曲され、1964年のパリ放送局国際コンクールで第2位に
入賞したほどの曲ですが、東京国際ギターコンクールの課題曲に取り上げられ
るまでは全くと言っていいほど陽の目を見ることなく、埋もれてしまっていた
曲です。楽譜は現在絶版です。





この曲も東京国際ギターコンクールの課題曲になりましたが、難解な曲ゆえに
コンクールでは楽譜を見ながら演奏する奏者もいました。
コンクール当日聴いた演奏は殆ど記憶に残っていないのですが、何故か「コン
ポジションⅠ」の最後のハーモニックスの部分だけは覚えていました。なんとも
いえない難解な表現です。



冒頭で吉松氏が現代音楽撲滅運動をしたという話がありましたが、現代音楽を
悪い音楽ととらえることには組しえません。
現代音楽は結構面白いし、学ぶものはたくさんあると思います。
作曲家でも三善晃氏のようにものすごく美しい合唱曲を作曲しているかと思えば
不協和音を多用した難解な現代音楽も作曲している。そのギャップに興味を惹かれ
るし、作曲家としての才能に感嘆する。
今後、聴いた現代音楽の中で印象に残るものは随時紹介したいと考えています。


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三木稔の音楽とギター・合唱曲

2011-12-10 23:48:22 | ギター
こんばんは。
昨日の夜から今日にかけてすごく寒い日でした。
金曜日の朝刊に作曲家の三木稔氏の訃報が載っていました。
三木稔氏は日本史をテーマにしたオペラを手がけるなど世界的に有名な
作曲家と言われていますが、裁判となった映画「愛のコリーダ」(大島渚監督)
の音楽を担当したことでも知られています。
また日本音楽集団という邦楽の楽団を創立し、多くの海外公演を行い、また野坂
恵子を始めとして多くのすぐれた演奏家を輩出しました。



私が三木氏の音楽に出会ったのは、10年ほど前、日本旋法の曲の魅力に惹かれて
日本旋法特に陰旋法のギター曲を探していた頃です。
当時邦人作曲家による日本旋法によるギター曲が弾きたくなり、いろいろ楽譜を
探しました。
古くからあるのは伊福部昭氏の曲ですが、ある時ギターオリジナル曲ではないの
ですが、「芽生え」という二十弦箏のための曲のギター編曲版が出ていることが
分かり、早速楽譜を買いに行きました。
この楽譜を見て初めてこの曲が三木氏の曲であり、また映画「愛のコリーダ」の
主題曲であることもわかりました。
ギターへの編曲はキューバ出身の世界的作曲家レオ・ブローウェルによるもので
す。
下の写真はブローウェル自身が演奏した「芽生え」が録音されたCDとギター
編曲譜です。






ブローウェルはこの映画を観て、日本的な美しいこの箏の曲に感動してギターに
編曲したと言われています。
この「芽生え」という曲は「箏 譚詩集 第二集」の中の1曲目であり、1976
年に作曲され、箏の第一人者であり世界的な奏者である野坂恵子氏により初演され
ています。
楽譜を買ったときには一度も聴いたことがなかったので、譜面を元にどう表現した
らよいか分からないことが多かったのですが、「愛のコリーダ」のビデオで流
れる箏の演奏を聴いて感じをつかむことができました。

野坂氏(数年前まえから野坂操壽と名乗っています)の演奏については伊福部昭
氏の曲の演奏で既に知っていたのですが、すごい演奏家です。ギターとも縁が深く
伊福部昭のギター三部作を箏で演奏しています。特に「箜篌歌」は感動的な演奏
です。

下の写真は野坂氏が三木稔の曲を4枚組のレコードに録音したもので、昭和54
年度文化庁芸術祭優秀賞を受賞した力作です。







野坂氏の若い頃の録音ですが、三木氏の曲をエネルギーに満ちた、情熱を込めて
演奏していることが分かります。

野坂氏はギターに対しても理解が深く、東京国際ギターコンクールの審査員を
務めたり、ギタリストとの共演もしています。

下の写真は鈴木一郎氏と共演したもの。



また野坂氏以外にも「芽生え」の優れた演奏として、日本音楽集団に所属する
木村玲子氏も聴き応えがあります。



ところで、三木稔氏は合唱曲も手がけており、私が聴いた中では「邦楽器と男声
合唱による「喜怒哀楽」」という曲が良かったです。



尺八や箏との共演なのですが、人間らしさをテーマにしたユニークな曲で、「喜」
と「怒」は楽しさも感じられます。「哀」と「楽」は尺八や箏の音色が非常に
日本的で美しいです。

改めて日本の伝統楽器のもつ美しい響きに感動させられます。
西洋から流れてきた音楽が氾濫する中で、このような日本古来から伝わる伝統
楽器による日本特有の旋法による曲というのは大変貴重だと感じます。
西洋の音楽が入ってくるまで、日本は1千年以上もこの日本旋法、特に陰旋法
による音楽を生み出してきたわけであり、我々日本人にとって根深いものであり
どんなに西洋の音楽に凌駕されても我々の心から切り離しがたいものを持っている
と感じます。

日本の伝統楽器による音楽を手がける作曲家が世を去り、日本旋法の曲も生み出さ
れることが少なくなってくると思いますが、三木氏が残してくれたような貴重な
曲をときに聴いてみてはどうでしょうか。
日本人が古来から積み重ねてきた心情が、自分の心のどこかにあることに気付く
かもしれません。
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心に残るNコン(NHK合唱コンクール)の名演 ①

2011-12-03 22:17:58 | 合唱
こんばんは。
急に寒くなってきました。もう本格的に冬の到来です。
さて、以前のブログにNコン(NHK合唱コンクール)の過去の演奏で、隠れた
名演を紹介したいと述べたことがあります。
私がNコンや全日本合唱コンクールで主に高校生の合唱を聴くようになってから
1年になります。
あるきっかけで合唱曲を聴くようになったのですが、ギターと同じくらいのめり
こんでしまいました。
この1年数多くの演奏を聴きかせてもらいましたが、素晴らしい演奏に出会うこと
ができました。これらの演奏を聴いて多くの元気をもらった。本当に感謝してい
ます。
ところでNコンなどの合唱コンクールは、コンクールの性格上審査があり、順位
(賞)が付けられるのですが、私はあまりこの審査をあてにしていません。
だから後で何度も演奏を聴いてみると、上位の賞を取っていなくても素晴らしい
演奏があることに気付くのです。

今回ここで心に残る名演と呼ぶに値する演奏を紹介したいと思ったのは、上位
の賞を取っていないがために、人にあまり聴かれることなく埋もれてしまうこと
がないようにしたいためです。
上位の賞を取った学校だけが素晴らしい演奏だとは思っていません。
上位の賞を取ってなくても、上位の学校以上に素晴らしい演奏もあるし、一生懸
命練習して素晴らしい演奏を残してくれたことに対し、報われるようにしてあげた
い。
但しここで紹介するのは、上位の賞であってもなくても賞に関係なく、何度も何度
も聴いて真に感動を与えてくれると確信した演奏だけです。Nコンの課題曲は全て
の高校の曲を何度も聴いて選出したもので、自信を持って紹介したいと選んだもの
だけです。
だから選んだ演奏は少ないです。
何度も繰り返し聴きたくなる演奏、何度聴いても深い感動の得られる演奏だけ
です。

NコンのCDはH22、21、20、19、18、17、13年度のみ所有
しており、まずはこの中から選んだ演奏を紹介していきたい。
H23年度はNコンのホームページ、他の年度は東京文化会館の音楽資料室で聴い
て選んだものを紹介したい。
新しい年度の順から紹介したいが、多少の前後はあるかもしれません。

さて前置きが長くなりましたが、第1回目はH23年度のNコンの課題曲「僕
が守る」(銀色夏生作詞 上田真樹作曲)です。
その演奏は東京都代表の大妻中野高校です。





この高校の演奏に初めて出合ったのはH17年度大会の演奏を聴いてからですが、
今年の9月始めに行われた関東甲信越地区ブロック大会で金賞を取り、全国大会
の出場を決めた演奏を聴いてすごい演奏だと思いました。
この日から今日までこの大妻中野高校の演奏をほぼ毎日聴いています。

全国大会の演奏はより洗練されたものであるが、全国大会の演奏も地区ブロック
大会の演奏も両方とも好きです。





では、この高校の演奏の素晴らしいところは何か。
それは他のどの演奏よりも、聴き手の潜在的な心に強く響いてくる力を持っている
ことだ。
この高校の演奏者たちの歌う姿を見て頂きたい。
演奏者たちはだた無心に純粋に、曲や詩を通して感じたものを自らの心に同化し、
統合して、気持ちを1つにして聴き手に伝えることに全力を出している。
真に素晴らしい演奏である。
心を無にしてこの演奏を聴いて欲しい。
この演奏を聴くと、心の内面から強い感情が湧き出てきます。
なぜ感情が強く湧き出てくるのか。それは演奏者たちが内面の深いところから
歌っているからに他なりません。
その感情とはどのようなものか。
それは年を重ねるごとに、また競争社会の中で生き抜くうちに失ってしまったもので
ある。いや、失ったのではなく、心の奥底に埋もれてしまったものである。
それは子供の時や思春期の頃に体験した感情である。人間誰しも持っている
根源的な感情といっても良いのかもしれない。人間にとって大切なものである。

この演奏を聴いてこれらの感情に触れることができた。
この演奏がこれらの感情を引き出してくれた。
私がこの学校の演奏が好きなのは、演奏を聴くことでこのような体験ができるから
なのです。だから多くの人にこの演奏を聴いて欲しい。
表面的な捉え方では決してこの演奏の良さはわからないと思います。
この演奏に細かい解釈などは不要である。この演奏から実に多くのものを学ぶ
ことができます。

この高校の演奏に出会えて本当に良かったと思っています。
この演奏がこれからも多くの人に聴き続けていかれることを願っています。


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