緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

ネック順反り元に戻った

2023-08-10 23:39:42 | ギター
以前の記事で、これまでオーガスチン黒を常用していた楽器に張力の強い弦を張ったら、ネックが順反りしてしまったことを記事にしたが、その後、高音弦は元のオーガスチン黒、低音弦はオーガスチン黒よりも若干張力が強いアランフェス・クラシックシルバーに変えたところ、しばらくしてネックが元通りストレートの状態に戻っていることに気が付いた。







ギターのネックが反る原因は色々あるだろうが、最も大きな原因は、ネックの材質にあるのではないかと思う。
材質といっても、マホガニーやセドロの違いとか、高級品か普及品の違いとかではなく、そのネックの木材の強度のことだ。
数百万円の高級ギターのネックが新品時ですでに反っているのを見たことがあるし、2、3万円の安物の量産ギターのネックが弦を常に正調弦で張りっぱなしにしているにもかかわらず全く反っていない楽器を見たこともある。太いネックでも反っている楽器もある。同じ製作家の楽器でも反っている楽器もあれば反っていない楽器もある。

ネックが反るか反らないかは偶然性によるものではないか。
木材という材料は全く、使ってみないと分からないということだ。
ネックの反る原因として、フレットの打ち込みが弱いから、指板とネックの接着が弱いからという話を聞いたことがあるが、どうだろう。
フレットの打ち込みが甘い、指板の接着が弱いような造り方をする製作家はいないとは言い切れないが、たいていのプロの製作家はこのような作り方をするとは考えにくい。
湿度や温度の変化の影響も大きな要因かもしれないが、劣悪な環境に置いていても反らない楽器もある。

環境の変化や強い弦の張力の影響でもネックが反らない楽器に巡り合えることは宝くじに当たるようなものだと言える。
このような楽器であれば、今回のように張力の強い弦で一時的に順反りしてしまったとしても、張力を弱めれば元のストレートの状態に戻ってくれる。

演奏家にとって、ネックの状態というのはとても重要な要素だと思う。
反らないネックを持った楽器に当たった、ということは相当運が良かったと言えるのではないか。


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対人恐怖からの回復に向けて

2023-08-10 23:27:18 | 心理
今日、3年前の心理関係の講習会で親しくなった仙台の友人と久しぶりにライン通話した。
話し終えて思ったのは、会話が出来て楽しかったな、と感じられたこと。
以前は、こういう1対1の会話が辛かった。
普段感じている以上の恐怖が迫ってくるので、早くこの場から逃れたいという衝動を感じながら話を続けなければならないという、会話を楽しむ以前の深刻な問題を抱えていた。
そして会話から開放されると、ほっと安堵感に浸り、独りでいる方がましだと思うのである。

大方の対人恐怖症者はこのような状態になっているのであろう。
ただ独りでいることに満足できずに、人に対し恐怖感を抱き、人と会話を楽しむことが出来ない、そういう自分を許せない、好きになれずに憎むのも対人恐怖症者の特徴でもある。

人と楽しく会話できたらどんなに幸せだろう、と渇望しながら、同時に人に恐怖心を感じることに嫌悪感を感じ、そういう自分許せない、という感情を強く抱く。

そして対人恐怖する自分を変えようとすさまじい努力をする。
実に苦しい生き方であるが、この生き方が正しいと信じ、その結果、不幸な人生で終わる人は案外多い。
人間としての喜びを露ほども感じることなく、死んでいくのである。
真面目だからゆえに、このような選択をしたに違いない。
真に助けられるべき人間はこのような人たちなのだ。

対人恐怖する自分って、いけないのだろうか。
人生のある時期に、人から恐ろしいことをされたから、「全ての人」に対し恐怖を恒常的に感じるようになり、心を閉ざすようになってしまったのだ。
自分に落ち度があったわけではない。何も悪いことをしたわけではない。

人に対する恐怖は自然な感情であることを自覚したい。それだけ恐ろしい体験をしたのだから。人間は恐ろしい存在だと認識せざるを得なかったのだから。攻撃されるのは自分の方が悪いからだと受け止めざるを得ない状況にあったのだから。おかしな感情だと思ってはいけない。

対人恐怖を解消していくには、対人恐怖を憎む方向から、受け入れ肯定していく方向にベクトルを変換させる意外に道は無い。
ただこれは口で言うほど簡単なことではない。
潜在意識に刷り込まれた信念をを変えることは並大抵のことではない。何十年もかかる。
その間、よその人のような人並の幸福な人生ですら送れないことにもじっと耐え忍ばなければならないだろう。
とにかく時間がかかる。急に道が開けるようなことはない。薄紙を1枚1枚ゆっくりと剥がしていくような気の遠くなるような作業でもある。

短期間で解決できると謳う心理療法には注意した方がいい。
もしそのような方法で解決したとしたならば、自分の心の問題はその程度のものであったというだけのことだ。
人間だけでなくとも動物だって、心を閉ざしてしまったものを回復させるには多大な時間と忍耐を要する。

対人恐怖などの心の苦しみは、人間関係から生れたものである以上、人間関係で回復していくものだと言える。
心優しい人との関わりを持てるようになれれば変わっていく。
しかし、それだけではなく、重要なのは、自分の心の状態を正しく認識できるか、自分の心が今、どうなっているのか感じることが出来れば潮目を変えることができると確信する。

自分の心の状態が分かれば幸福に方向に向かう作用が自然に働いていく。
心優しい人と冷たい人との判別もできるようになってくる。

回復してきたな、と感じられるとき、周りの目に見えるものの息吹、放つエネルギーが、今、その瞬間にリアルに感じられるようになってくる。
幼かった頃、目に見える全ての存在が放つものをそのままで感じられたように。
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