緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

社会人マンドリンクラブ練習初参加

2018-05-27 21:40:57 | マンドリン合奏
先週本社へ出張した際に、異動の話があった。
6月末から東京の本社へ来てくれとのことだった。
今まで26年間、工場勤務だった。
工場で生産される製品の原価を管理する仕事をずっとしてきたが、同じ所で同じ業務をする社員が今回ターゲットにされたようだ。
今まで一組織の長であったが、それも解かれる。
今後は名ばかりの管理職となる。
話を聞いた時にはくやしさの気持ちが湧いてきたが、サラリーマンの宿命。
ただ今後も本社側の立場から原価管理を支援してくれとのことだ。
本社には知り合いがたくさんいるので不安はないが、労働環境は全く変わる。
私の大嫌いな東京のオフィス街のビルのだだっ広いワンフロアで、200人くらいいるのであろうか、その密集した中で仕事をしなければならない。
これはたまらない。
通勤も今まで車で30分、普段着(ジーパン)での通勤だったが、これからは私の大嫌いな背広を着なければならない。
交通手段も徒歩+バス+JR+地下鉄で下手すると片道3時間かかるかもしれない。
しかも行きも帰りも電車は立ちっぱなしだ。これはしんどい。
今から考えてもうんざりするが、反面、今まで知らなかった人と交流できるチャンスも出てくる。
これからは本社の人間とパイプを築くことに力点を置くことにした。
そこのところはちょっと期待しているし前向きの気持ちだ。
仕事は定時どまりにしておこうか。
今まで長い年月さんざん休日を犠牲にして尽くしてきたが、それに見合う見返りが無かったのも事実。
実にわびしい。

それはさておき、今日東京中目黒で社会人団体のマンドリンクラブの練習があり、初めて参加してきた。
この団体は、先日新宿で開催されたマンドリンオーケストラの大規模演奏会の打ち上げで、同じギターパートでこの団体に所属する方々から誘っていただいたのと、また自分もどこかしらの団体に入ってみたいと思っていたこともあり、とりあえず体験練習に参加する気持ちになったのである。
会場には10時に着いたが、事前に連絡を取り合っていたギタートップの方を始め数人の方々が来ていた。
挨拶をしギタートップの方に自己紹介する。
11時頃、会場の隅で外を眺めながら昼食のパンを食べていたら、大規模演奏会で同じパートの方から声を掛けられ挨拶する。
ちょっと嬉しくなった。
その後同じく大規模演奏会で一緒だったメンバー達から声を掛けられ挨拶を交わす。
合奏練習までは自主的な個人練習の時間にあてているようであるが、みんな真面目だ。
こういう雰囲気が好きだ。
自分もケースからギターを取り出し、未だ1回しか通していない譜面を見て練習を始める。
12時から合奏練習開始。
前半の指揮者はマンドリンオーケストラ界では名の通った有名な方。
初めてその指揮に触れた。
曲目の中には指揮者が自ら作曲した曲があり、今までのマンドリンオーケストラ曲で無かった雰囲気を持つ独自性のあるなかなかの曲だと思った。
後半は先日の大規模演奏会でⅠ部の指揮者だった方。
とてもバイタリティーがあり優れた方だ。
演奏しながら先日の演奏会の思い出が蘇ってくる。
1曲とても難しい曲があった。イタリア人作曲家によるものであるが、今日の練習では殆ど弾けなかった。
学生時代に弾いた曲で難しかった記憶があるのは、マネンテの「華燭の祭典」と、帰山栄治の「歴史的序曲第2番」だったが、この曲はそれ以上だった。
演奏会まであと2か月であるが間に合うのか。
練習も終わりごろになるとさすがに疲れてきた。
しかし練習が終わったあとは気持ちが良かった。

練習終了直後にギタートップの方から私に自己紹介するように言われた。
ちょっとびっくりしたが、自分はギターが好きで中学1年からずっとギターをやってきたこと、大学時代にマンドリンクラブに在籍し、鈴木静一、熊谷賢一、藤掛廣幸などの曲を弾いたこと、卒業後はマンドリン合奏はやらず長いブランクがあったが、学生時代好きだった鈴木静一の曲をもう一度弾きたい気持ちから先日の大規模演奏会へ参加し、これをきっかけに社会人団体に入ってマンドリン音楽を続けてみようと考えたことなどを、緊張で震えた声で話させていただいた。

今日の練習の合間に、大規模演奏会で隣り合わせだった方から、先の超難曲について難しいから初めから弾けなくても心配することないと言ってくれた。
今まで普段の日常でかけてもらったことの無い言葉だったので嬉しかった。

しかし今までこのような活動、コミュニケーションの場があるとは全く想像もしていなかった。
コミュニケーション下手な自分からすると大人数の中に突然入っていくことはかなり勇気を要したが、もっと早く存在に気が付いておくべきだったとも思った。
仕事が根っから好きであれば仕事中心の生活の方がいい。
しかし大方、仕事で得た人間関係は仕事が無くなればそこで縁が切れるもの。
音楽が根っから好きなのであれば、同じように音楽が好きな人間と親しくなることに何故意識を向けてこなかったのか。
今まで長い間独りで生きてきて、そこにどっぷり浸かってしまっていたこともある。
コミュニケーション下手という負い目もあったかもしれない。
今まで長い間、プライベートではあまり人から暖かい気持ちをかけてもらったことが無く、そういうものを受けたときにどうしていいのか分からないという戸惑いがあったのかもしれない。

いずれにしても今日、この団体の練習に参加したことは良かったと思う。
7月中旬には母校の記念演奏会と重なり、練習が大変だが、できるだけ弾けるように持っていきたい。
練習や演奏会で音楽できることだけでも満足であるが、できれば音楽好きの人たちとの人間関係を大切にできるようになれれば更に嬉しい。
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演奏会を終えて

2018-05-22 21:35:40 | マンドリン合奏
去る20日、東京新宿で開催されたマンドリンオーケストラの演奏会が終った。
2年に1回の頻度で開催されるこの大規模な演奏会に初めて参加させていただいた。
2年前の演奏会の際は観客として演奏を聴いた。
その熱気に満ちた力強い演奏を聴いて、いつか自分も学生時代の時のように実際に演奏に参加して感動を分かち合えたらいいな、と思ったが、その時は夢程度の認識だった。
丁度1年前に記事にコメントをいただいた2名の方から、参加募集を教えていただき、それをきっかけに参加を決断した。
仕事が忙しかったので迷いもあったが、2年前の演奏会を聴いてちょっと頭に思い描いた、遠い今までの自分になかったものを現実にしてみたい、挑戦してもいいのではないかと思うようになった。
いざ申し込みした後も、本当に良かったのだろうか、という迷いの気持ちが時々起きた。
ギター独奏は、ずっと継続してやっていたけれど、合奏は30年以上経験が途絶えていたからだ。
しかし演奏曲目の中で、交響譚詩「火の山」があったことが、モチベーションを上げた。
この曲は、学生時代で演奏した曲の中で最も好きだった曲であり、今でもマンドリンオーケストラ曲で最も好きな曲である。
とにかくこの曲を弾けるだけでもいいと思った。

合同練習が2月末から始まり、演奏会当日まで10回の練習があったが、1月中旬から3月中旬がとても忙しく、平日は夜中帰宅、休日も土日どちらか毎週出勤という状況であったため、確実なレベルまでの完成度まで持っていくことができなかったことが心残りであるが、自分としては精いっぱい頑張ったと思う。
合同練習も全て参加し、昼休みも時間のあるかぎり練習にあてた。

演奏会当日はホールの広さ、大人数の観客、ステージの狭さ、音の聴こえ方が普段と違うなど、圧倒された。
長いブランクの後の本番のせいか、かなり緊張してしまい、普段弾けていた部分が弾けなかったこともあったが、懸念された第3曲目「月の変容」の難所は練習時よりも弾けたので、それだけでも大きな満足につなげられた。

演奏が終わったあとは一気に力が抜けてしまった。
終演後、ロビーに来ていた姉や姪、甥と久しぶりに話して、気持ちが和らいだ。
姉からもらったお菓子の手提げを打ち上げ会場にうっかりして忘れてしまった。
新宿駅について改札に入ってから気付き、会場まで引き返したが店は閉まっていた。
翌日店に電話したが電話に出ない。
生菓子で当日しかもたないと言っていたので、断念した。
姉さん、ごめんなさい。

今回の収穫は大人数による演奏で、演奏中に周囲の演奏者たちからもの凄い情熱的パワーを感じられたこと。
もっとリラックスしていたらもっと感じられたと思う。
私のように独奏を長くやってきた人間にとっては、とても新鮮であり、貴重な体験であった。
演奏後、控室や打ち上げで2人の指揮者と固い握手を交わすことができたのも予想もしてなかった体験であり、普段の練習で一度も言葉を交わしたことのない遠い存在の方々だったこともありとても嬉しかった。

打ち上げで、同じパートメンバーの何人かの方から、社会人団体に入ってみないかと誘われたのも嬉しかった。
3団体ほど紹介してもらったが、場所や練習時間、選曲の傾向から、東京都23区内で活動している団体に入ってみようかと思うようになり伝えたところ、同じギターパートでその団体に所属する方から楽譜を送ってあげると言って下さった。
今日、楽譜が届いた。とてもありがたい。

とにかくアンコール曲も含めて、難曲揃いの曲だったため、終わった後、昨日までは燃え尽きた感じで、仕事以外は何も手が付かなかった。
しかし今日から前向きな気持ちが蘇ってきた。
7月中旬には母校の50周年記念演奏会が控えており、これから猛練習しなければならない。
6月中旬に合同練習に参加するため、札幌に行く予定だ。
また合わせて、これから練習に参加しようとしている団体も7月末に演奏会があるとのこと。
もしこの演奏会にも参加するとなると、仕事と睡眠、食事以外は殆ど全て練習にあてなければならないだろう。
しかしそれでもいいか。
音楽をやっていた方が毎日が楽しいし、力も出てくる。
新しい方々との出会いやコミュニケーションも出てくる。
今までの自分では考えられなかったことであるが、しばらくはマンドリン合奏漬けの日々となりそうだ。
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最終練習前夜

2018-05-18 21:19:11 | マンドリン合奏
今日は関東北部の工場で打ち合わせ。暑い日だった。
勤務先も工場であるが、工場間の行き来はかなりある。
移動時間は仕事が出来ないので、戻ってから残務を片付けなければならないのであるが、今日は早く仕事を切り上げた。
いよいよマンドリン合奏の演奏会が明後日と間近に迫った。
明日は最後の合同練習である。

2月末の初回合同練習から10回ほどの合同練習であったが、全て参加できて良かった。
1月中旬から3月中旬にかけて1年で最も仕事が忙しい時期なので、この間毎週休日出勤が続いたが主に日曜日に開催されるこの合同練習に毎回参加できたことは、本当に良かった。
この間は仕事とマンドリン合奏のことしか頭に無かったが、毎日が以前に比べ充実していたと思う。

明後日の演奏会には姉と姪が来てくれることになった。
姪は今年大学1年生となった。
家計を少しでも助けようと、学校が終わったらマクドナルドでアルバイトをしているという。
頑張っているんだな。
自分も演奏会で頑張っている姿を見せられればいいんだが。

演奏会では、後で後悔することなく感情的パワーを出し切りたい。
演奏する作品を作った方の感情、思い、といっていい。
この4、5年で学生オーケストラを中心に、かなりのマンドリン合奏の演奏を聴いたが、聴き手からすると、聴き手の心の奥の核となる所まで届くほどの感情的強さが放出されないと感動させられないし、聴き手と音楽を共有できない。
もちろん、要所要所での決め所、絶対に守らななければならないポイントはある。
そこは最大限に注意する。
しかし全体としては、演奏する作品に対する思いの強さで決まる。
その思いの強さが伝わるように持っていきたい。
演奏することで、その作品から生み出された感情や気持ちで聴き手を動かすことが出来ればと思っている。

短い期間ではあったが自分としては出来るだけの練習はやったと思う。
あとは本番を楽しむだけ。
人一倍緊張しやすい人間だが、このステージでの貴重な体験の機会をいただいたことに感謝しつつ、何十年か振りかの合奏を楽しんきたいと思う。
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飲み会参加

2018-05-13 22:29:59 | マンドリン合奏
マンドリン合奏の演奏会まで1週間を切った。
昨日、今日と東京のいつもの場所で練習があったが、昨日の練習から座席指定となった。
座席表を見てやっとメンバーの名前が分かってきた。
この演奏会は殆どのメンバーがなにかしらの合奏団体に所属しているし、過去の演奏会のリピーターも多いので、お互いに顔見知りの方々が多いのであるが、私のようにどこにも所属していなく、過去にも参加していない立場からすると、こちらから積極的にかかわっていかないと折角一緒に演奏する機会を得たのに、今回の演奏会で終わってしまうのは勿体ないし寂しいと思った。
そこで昨日と今日、練習後の飲み会に参加した。
昨日は私を含め同じパートで4人のみであったが、全員ギター経験が豊富でかつ、音楽に対する造詣も深い方ばかりだったので、話が弾んだし、楽しかった。
卒業後、ずっと殆ど一人で音楽をやってきたが、音楽大好き人間と話すのがこんなに楽しいものだとは今まで思っていなかったし、その後の練習も力が抜けてリラックスできた。
昨日はビール中ジョッキ5杯くらい飲んだであろうか。
東京夜9時だと最終バスに間に合わず、タクシー帰りとなってしまった。
昨日寝たのが夜中の1時過ぎ。目覚ましをかけるのを忘れたため、寝坊してしまった。
よく寝過ごさなかったと思う。

今日も飲み会に参加。
今日は他パートの方数名を含めて10人以上だったが、今日も終始音楽の話で楽しかった。
私のようにずっと単独だった者に対しても、合奏団体に入ってみないかと誘って下さった方もいた。
このような経験は今までなかったので嬉しい。

この演奏会もあと1週間で関係が途絶えてしまうが、それまでに出来るだけのメンバーと交流をもてるようにしたい。
何故もっと早くに行動しなかったのかと思うが今さら言っても仕方がないか。
演奏会が終ったら母校の記念演奏会の練習があるが、どこかしらの合奏団体には入りたいと思う。
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マイケル・バークリー作曲「一楽章のソナタ」を聴く

2018-05-06 21:56:13 | ギター
9連休がついに終ろうとしている。
今年のゴールデンウイークは、マンドリン合奏の合同練習2日間+一人合宿7日間で幕を閉じた。
1年前のゴールデンウイークは殆どが仕事だったが今回は全く別の過ごし方だった。

社会人になってから、朝から晩までこんなにギターばかり弾いたことはなかった。
本番演奏まであと2週間足らず。
難しいパッセージやテンポを合わせるのが難しかった箇所もだいぶクリアされてきた。
あとは難しい所を中心にとにかく時間の許す限り最後の練習だ。

メンバーは大勢いるが、まだ名前も殆ど分からない。
次回の練習から座席が指定となるので、まずは座席表と顔を見比べて覚えることにしたい。
練習中は基本、おしゃべりや音出しは厳禁となっており、隣の人ともあまり話ができないのである。
曲の途中で指揮者が打ち切った時にちょっとでもオーバーランしてしまうと、シーッとやられてしまうから気を張り詰めていなければならない。
しかし演奏中は楽しいし、物凄くやりがいがある。
大学卒業以来こんな体験は正直無かった。

一人合宿の後は好きなギターを聴いて気休めにしたい。
昨日の記事で、マイケル・バークリー作曲の「ウォーリー・ビーズ(Worry Beads)」という曲のことを書いたが、マイケル・バークリーのギター曲での代表作「一楽章のソナタ(Sonata in One Movement)」のことにも少し触れた。





この曲は1982年の第36回エジンバラ音楽祭でジュリアン・ブリームにより初演され、1983年前後だったと思うが、当時大学生だった時、兄がたまたまこのライブ演奏をFMラジオからカセットテープに録音し、私はこの録音でこの曲を初めて知ったのである。



大学時代にこの曲を何度も何度も聴いた。
とにかくブリームの演奏が完璧で素晴らしかった。
テクニックや音の表現、リズムやテンポの正確性、どれをとっても超一流の演奏である。
当時使っていた1973年製のホセ・ルイス・ロマニリョスの音が会場全体に響きわたっているのが伝わってくる。
それにしても凄い音だ。ブリームが最盛期の時の演奏。

この「一楽章のソナタ(Sonata in One Movement)」はブリームが何故かレコーディングしなかったため、殆ど知られていない。
そのためギター愛好家の殆どがその存在を知らないのではないか。
しかしYoutubeで検索してみたら、あった。
2017年1月に投稿されていた。
また第36回エジンバラ音楽祭で演奏されたブリームのプログラム全曲の投稿が2015年2月にされていた。
この「一楽章のソナタ」がレコーディングされていたら、この曲はもっとこれまでに演奏されていたと思う。
私の聴いた範囲では10年くらい前の東京国際ギターコンクールの本選で、日本人の方がこの曲を自由曲で弾いていたのが思い出される。
彼がブリームの演奏を聴いていたかは不明だが、よくこの難曲を選んだと思う。

演奏時間約12分。
調性は無い。
拍子も4分の4、4分の5、4分の2、4分の3、8分の7、8分の5など、めまぐるしく変化する。
曲はLentoで始まる。



静かなGの重音で始まるが、このGの重音がこの後何度か再現される。
何かを暗示していると思われる。
この後不気味で不安定な雰囲気が続く。
リズムをとるのが難しい。
ブリームの演奏はリズムが正確であるが、単に機械的に正確というのではない。
何度も聴いていると曲の音楽的意味をとらえたリズムの取り方であるのがわかる。
機械的であるならば音楽大学の学生でも可能だ。
ここがギターの巨匠と言われる演奏家の違いだと思う。

Anmatoに入ると不安定感が強さを増し、何かを訴えているように聴こえる。



しかしすぐに静かになり荒涼感を感じさせるハーモニックスと実音との重音の連続する部分が現れる。
しかしその後下降上昇スケールが奏され、意表をつく4分の3拍子の伴奏部が分散和音、上声部が旋律となるいわゆる普通の書法で書かれたフレーズが現れる。



不安感を感じさせるもののどこかで聴いたことがあるかもしれないような旋律だ。
しかしこのフレーズも長くは続かず、すぐに冒頭部の不安定な雰囲気に戻る。
そして4分の6拍子から4分の2拍子の静かな重音を過ぎると、突然不協和音が連続する激しい音型が現れるが、



これもすぐに鎮静化し、冒頭部の変形した音型が繰り返され、ハープのような分散和音が4回繰り返され、Allegroに入る。
このAllegroからが物凄く難しい。





随所に音符の一部を楽器の表面板をこぶしで叩く(percussion on sound board)奏法が用いられている。
速い5連符、スタッカート、アクセントなど激しい表現の連続であるが、この部分のブリームの演奏が凄く、聴いていて爽快だ。
そして古いヒチコック映画のBGMに出てくるような特徴的なフレーズが現れる。



速度がいったん半分ほどに緩められるが再びAllegroの速さにもどるが、しばらくは低音弦だけで奏される部分が続く。アクセントのあるリズムだ。



途中、8分の3拍子→16分の11拍子→8分の4拍子→8分の3拍子→16分の7拍子と続くが、この部分の旋律が何か過去を追想するような感じを与える。



そしてこの後激しい重音の連続が続く。



この曲で技巧的に最も難しい箇所の1つだ。
Marcatoに入って速度は冒頭のLentoに近い速度まで落とされる。
そしてゆっくりとした音の流れの進行の中で何か明るさを予感させるような流れが続き、速い6連符の連続パッセージの後、Vivo fast walts、6分8拍子に入るが、この部分がこの曲の特徴をさらに際立ている。



ユーモア感のある、軽やかで楽しく躍動感のあるフレーズだ。
そして三連符の上昇スケールの後に、あのAnmatoに入ってしばらくして現れる4分の3拍子のやや寂しいが親しみやすい部分が再現されるが、これも長くは続かず、何度か繰り返された低音と高音の交互弾弦による不安定な雰囲気を持つ音型が現れる。
曲は終結部に入る。
やや不気味だが神秘的にも感じられる和音が奏でられた後、静かに推移し、何度か現れた荒涼感のあるハーモニックスと実音との重音が続いた後、何とも言えない不思議な感じのする和音が静かに響く。
そして意表を突くように、激しく速い6連符の後に表面板をこぶしで打ち付け、fffの強い和音で曲を閉じる。



この最後の終わり方が最高にかっこいい(ちょっと不謹慎な言い方だが本当にそう思う)。

とにかく変化に富んだ素晴らしい曲。
超絶技巧を要し、リズムやテンポを取るのが難しい曲であるが、プロの方のみならずギターが好きな方であれば必ず弾きがいのある曲だと思う。
コンクールの自由曲にももっと採用されても不思議ではない。

ジュリアン・ブリームの最盛期にはイギリスの作曲家に多くの作曲を頼んだようだが、他にもレコーディングされていない現代音楽がまだあるようだ。
昨日、それらしき曲を見つけたので後日感想を書きたい。

下はYoutubeで見つけた音源。
エジンバラ音楽祭の方は、「一楽章のソナタ」は28:30からスタートする。

Julian Bream plays Michael Berkeley Sonata in One Movement (1982)


Julian Bream: live concert at 1982 Edinburgh Festival
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