緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

日本経済の立て直しに何が必要か

2012-04-28 09:56:32 | 時事
こんにちは。
今日から連休に入ります。
1週間前の朝刊に、厚さ1.5mmの極薄フライパンを開発した中小企業の社長の話が
掲載されておりました。



以前は従業員7名の部品下請けであったが、バブル崩壊後顧客から「代わりはいくらで
もいる」と切り捨てられたとのことだ。
そんな時、新聞に載っていた「3分の1の価格競争で戦うか、3倍困難な技術で戦うか
」という言葉が目にとまり、鋳造フライパンの薄さを極めると決心したそうだ。
そして9年間にわたり試作を繰り返し、厚さ1.5mmのフライパンを完成させた。
有名レストランのシェフは「鉄板、フッソ樹脂に続く第3のフライパン革命」と絶賛し
た。
その後注文が相次ぎ、この度フランスの調理器具メーカーと提携し世界デビューすること
になったとのことである。

以前このブログで日本の財政危機や崩壊しつつある日本経済を立て直していくためには、
まず消費税を増税と同時に、公共事業などの歳出を削減して財政を健全化させ、同時に
教育に力を入れていく必要がある旨の意見を述べた。
国などの税収が減少しているのは、20年前まで世界市場を席巻してきた日本の家電製品
などが、中国、韓国、台湾などのメーカーに技術水準で追いつかれ、また価格競争に敗れ
たことで、製造業の収益が大幅に減少したことが大きい。
そして日本の家電メーカーは工場閉鎖、縮小、撤退、資産売却に追い込まれた。
これから家電製品は韓国などの製品がどんどん日本や外国で売られるようになるだろう。
つい数年間まえは考えられなかったことだ。
日本はかつての栄光に甘んじすぎたと思う。日本経済が頂点だった1980年代の後半
に、日本が次に目指すべきビジョンを本気で考えなかったし、政府も目先の問題ばかり
に力をいれていた。ライブドア問題などその典型であろう。
消費税反対が過半数を超えていると聞くが、消費税を上げないで巨額の借金を返すとな
ると、消費税増税よりも負担が増えることは間違いないと思う。消費税増税と歳出削減
を同時に行わないと返していけない金額だからだ。そこのところを理解しないと。

話は戻るが、日本がこれから世界で先進国として生き残っていくためには、先のフライ
パン革命のような努力をどんどんしていかなければならないと確信している。
中国や韓国が造れないようなものをどんどん開発していくのである。
元々中国などは日本や海外のメーカーが厳しいコスト競争に打ち勝つ為に人件費の安い
中国に工場を建て、その工場で教えられた技術を元に急激に発展したのである。
そしてそこで得た利益を元に、競争力を失った企業を安く買収し、また世界各地の資源
を買い漁った。言ってみれば苦労せず日本などが培った技術をそのまま吸収して発展し
たと言える。
その点、日本が高度成長期に自ら欧米の製品を分解して徹底的に研究し、QCなどの独自
の品質管理手法を開発してきたのとは全く違う。
日本はこれからもっと「3倍困難な技術」を開発することに注力しなければならないと
思う。しかし東京大田区などの優れた技術力を持った中小企業が円高でどんどんつぶれ
てしまっていることは実に残念なことである。
政府はこのような優れた製造技術を持った企業をもっと活かす政策を打ち出して欲しい。
金属加工、鋳造、鍛造など高い技術を身につけるのに何十年もかかるものが消滅してし
まっているのである。
これらの技術を消滅させないために、いち早く日本経済を立て直さないとならないが、
今の若い世代や学生に、これらの技術、開発力をどんどん伝授できないだろうか。
会社を退職した人たちやリストラされた人でも、学校や研修センターに来てもらい、
若い人に徹底的に教え込む。
このようなことを技術や開発力が消滅してしまう前に各地で実行できると、日本経済
は土台から揺るがない技術力と発展能力を有した、世界に貢献できる国となると思う
のだが。
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アランフェス協奏曲を聴く (1) トゥリビオ・サントス(1967年)

2012-04-28 00:10:26 | ギター
こんにちは。
明日から連休です。ギター三昧の日々をやっと過ごせそうです。
これからギター協奏曲の名曲、ホアキン・ロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲」の録音
で、私が今まで30年以上にわたり集めてきたLPやCD全てについて、その演奏の感想
などを不定期であるが述べていきたいと思います。
今まで多くの録音を聴いてきましたが、本当に素晴らしいと言える演奏は数えるほどしか
ないですね。全ての録音について感想を述べた後に、ベストの演奏を5つほど選んでみた
いと考えております。
感想は良くも悪くも正直に感じたことを述べたい。紹介する録音の順番はランダムですが
、同一奏者で複数の録音がある場合はなるべく連続して投稿するようにしたい。
さて第1回目は、ギター:トゥリビオ・サントス(1943年ブラジル生まれ)、ローランド
・ドゥアット指揮、パリ・コレギアム ムジクム(訳が変?)の1967年の録音です。



サントスが24歳の時の録音。10年後にエラートでも録音を残していますが、こちら
の方は後日紹介することにしたい。
アランフェス協奏曲の録音の中には、ギターの音量とオーケストラの音量とのバランス
が悪く、ギターの音が小さすぎるものがあるのですが、このサントスの演奏はギターの
音は大きい方です。
サントスの音は全体的な印象は軽いのですが、時折力のある強い音を出します。この強く
鋭いタッチでの音がサントスの魅力です。
ただ速いパッセージや連続するラスゲアードはあまり得意でないようだ。特に速いパッセ
ージでは音が小さくなる傾向があります。もしこの速く弾けるテクニックを身に着けてい
たならば、サントスは第一級の奏者と認められたのではないか。
第1楽章途中、下記譜面の部分は弾くのを省略していますが、あまり感心しない。あえて
意味があって弾いていないのだと思うが、原曲どおり弾いて欲しいものだ。



第一楽章の難所であり、最も聴き応えのある下記部分のサントスの演奏は、ややもたつ
くが、まずまず安定したテクニックに弾いています。ただこのようなパッセージになる
と音が小さくなるんですね。



第1楽章最後のトランペットの音がずれていたが、これは良くない。
次に第2楽章。
イングリッシュ・ホルンの演奏はなかなかいいです。
続いてギターがあの有名な哀愁のあるメロディを奏でていくのですが、テンポが遅すぎ
で、全体的に音が弱い。もう少し歯切れの良さ、強いアクセントのある音が欲しい。
テンポが遅い上にテヌートを多用しているので、緊張感に欠け、曲の全体象が理解しに
くく、ぼやけてしまっているのは残念です。



カデンツア直前の下記部分の演奏を省略しているが、これも第一楽章の先述の箇所と同様
、あまり感心しない。省略しない演奏した方が演奏効果があると思うのだが。



またカデンツア直前のファゴットの間延びした曲の流れを台無しにする演奏は興ざめだ。
カデンツアの演奏は、テンポは遅いが確実なテクニックで弾いており、音も明瞭です。
ただ音を強調しすぎる箇所があります。
カデンツア最後のクライマックスの箇所、下記譜面のラスゲアードはかき鳴らしの往復
が少なく歯切れが悪い。



カデンツアの後のオーケストラの演奏はなかなか良いのですが、最後のファゴットとクラ
リネットのテンポが崩れてしまったのが残念。

続いて第3楽章。
ギターの音が大きく力強く、オーケストラの音量に負けていません。オーケストラの音量
とのバランスは素晴らしいと思う。
時折出す音のアクセントの付け方も違和感がなく、速いパッセージの部分も何とかテンポ
に付いてっている。
トランペットと交互に演奏される高音の和音の部分は力強く切れの良い音で、サントス
の力量を最も感じさせる箇所だ。
第3楽章終わりの上昇スケールの直前に奏される金管楽器の音が強すぎなのが気になる。

以上かなり辛口のコメントとなってしまいましたが、サントスの演奏は個人的には好き
な方で、レコードもかなりの数を聴いてきました。
このアランフェスの録音で最も聴き応えのあるのが第3楽章で、この曲を演奏する人に
とって参考となるものは多いと思います。
この録音の10年後にフランスのエラートで再録しますが、サントスの演奏はかなり変化
しています。
これについては後日紹介したいと思います。


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驚くべきテクニックとパワー セレドニオ・ロメロの演奏

2012-04-22 23:34:40 | ギター
こんにちは。
2年ほど前に買ったCD「An Evening of Guitar Music(ギター音楽の夜)」と題する
を聴きました。



演奏者はセレドニオ・ロメロ(1913-1996)。ジュリアーニ、ソル、タレガといった古典
の曲を集めた録音です。
レコーディングが1985、1986年とあるからセレドニオ・ロメロが72歳、73歳の時の録音ですね。
ロメロというと、ペペ・ロメロやアンヘル・ロメロが有名ですね。セレドニオ・ロメロ
は彼等の父親で、セリン・ロメロを加えてロメロ四重奏団を創設した。
セレドニオ・ロメロの独奏の録音はめずらしいです。それまで一度聴いたことがなかった
のですが、高齢だからさぞかしたどたどしい演奏だろうとあまり期待しなかったので
すが、聴いてみてビックリ。
72,3歳とはとても思えない、驚くべきテクニックと音の強さ、パワーみなぎる表現、
名前を伏せて聴いたとしたら誰もが20歳代の人の演奏だと思うのではないか。
初めて聴いたとき信じられなかった。
手抜きのない確かなテクニック、ペペやアンヘルと比べても遜色のないスケールの速さ、
なぜこんな演奏ができるのか。
考えてみれば、アンドレス・セゴビアもテクニックや音楽性では60歳代、70歳代前
半が最盛期だと思う。
セゴビアの51歳の時の録音(1944年)を聴いてもやはり1950年代から1965
年くらいまでの演奏の方がパワーがあるし充実している。
セレドニオ・ロメロと同年代のギター奏者にルイーゼ・ワルカー(1912年生まれ)がいま
すが、彼女が1996年、84歳の時に開いた演奏会のビデオを見ると80歳半ばとは
思えないテクニックと音の強さを持っています。



なぜ高齢でも若者と変わらないテクニックを維持できるのか。
右手に関しては強いタッチを身につけているからではないか。3人に共通している。
年を重ねてもテクニックを維持する、これを意識して練習をしていきたいものです。

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弦楽合奏の名曲「弦楽のための三楽章 トリプティーク」芥川也寸志作曲

2012-04-14 22:57:27 | 邦人作曲家
こんにちは。
2週間ぶりの投稿です。先週は土日も仕事で休みがありませんでした。
最近20歳代によく聴いた伊福部昭のCDを探していたら、作曲家芥川也寸志氏のCD
が出てきました。
芥川也寸志氏はかの有名な作家、芥川龍之介の三男なのですが、私が初めて知ったのは
中学校時代にNHKの音楽番組で司会を務めていた頃です。
しかし彼の音楽を初めて聴いた(演奏した)のは、ずっと後の大学時代でした。
大学時代、私はマンドリン・オーケストラのギターパートに所属していたのですが、この
時に芥川也寸志が28歳(1953年)の時に作曲した「弦楽のための三楽章 トリプ
ティーク」のマンドリン・オーケストラ版に出会いました。
このマンドリン・オーケストラ版を演奏していた時は、あまりこの曲の素晴らしさに気
付きませんでした。演奏会が終わった後、一切この曲を演奏することはなくなりました。
でも何故かこの曲が私の心から消えませんでした。
大学を卒業して社会人になり数年後の20代半ばの頃、ふと立ち寄った秋葉原の石丸電気
でこの曲のCDを見つけました。マンドリン・オーケストラではなくオリジナルの弦楽
合奏で、作曲家自身が指揮をした録音です。そして迷うことなくこのCDを買いました。
何故このCDを買う気になったのか。恐らくこの曲が心に刻み込まれていたからではない
か。





この曲は短い三楽章の弦楽合奏なのですが、非常に完成度の高い曲で、聴き手を終始惹
き込む力を持った名曲です。音楽の構築力、旋律、リズムどれをとってもレベルが高く、
28歳で作曲したとはとても思えない優れた名曲です。
とくに子守歌と名づけられた第2楽章はものすごくいい曲です。是非聴いて下さい。
作曲者が自身の娘のために作曲したと言われるこの第2楽章は、聴いて眠くなるどころ
か、却って覚醒し、心の深いところにある感情が呼び覚まされてきます。聴き手の心の
深いところまで刻み込まれるものを持った曲です。だからこの曲を忘れることができな
かった。
この第2楽章を聴くと、今はもう殆ど消滅してしまった日本の情景、情感を感じ取る
ことができる。戦後間もない頃までは確かに存在した、美しい日本が生み出していた
もの、夜の静けさや風の音、純粋な人のやさしさなど。
1960年代に入り、西洋の音楽が大量に入ってきて、日本の音楽界もそれに合わせて
変化していった。芥川氏の音楽もこの曲の作曲後は作風がかなり変遷した。
しかしこの「トリプティーク」は西洋の音楽に影響されない日本独自のものがある。
この曲を聴くことで、聴き手は自分の心のどこかに忘れていた、日本が古来から積み重
ねてきた日本人の心情、日本人だから感じとれる何かを思い起こすに違いない。
因みにトリプティークとは「三連画」を意味し、芥川氏が愛聴していたアレクトル・
タンスマン(ポーランド出身でフランスで活躍した作曲家。ギター作品も多い)の
同名曲から採ったとか。
この曲は1回限り聴くだけではもったない。何度も聴くことでその素晴らしさがわか
ってくる種類の曲である。
私は20代で出合って、この曲の良さが理解できるまでに20年以上かかった。
さてこの曲の名演は先のCD、芥川也寸志指揮、新交響楽団のライブ録音(1986
年)の他に、1963年に録音された、森正指揮、東京交響楽団の演奏があります。



このCDはバブルの頃、復刻版のシリーズもの(10巻)の一つとして発売されたもの
ですが、今は廃盤のようです。
他の録音も聴きましたが、この2つの録音がお勧めです。
この曲の演奏は上手に弾くだけの演奏だと聴いていられないです。多少破綻があっても
聴き手の心に深く入ってくるような演奏でないとこの曲の素晴らしさを理解できないで
しょう。
その意味でもこの曲は演奏するのが非常に難しいのだと思います。





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感動した合唱曲(NHK全国学校音楽コンクール:Nコン)(5)

2012-04-01 23:44:53 | 合唱
こんにちは。
前回のブログで、Nコン(NHK学校音楽コンクール)で感動した演奏の紹介として、
第72回(平成17年度)大会の課題曲「風になりたい」(作詞:川崎洋、作曲:寺嶋
陸也)の女声3部合唱の2校を選びましたが、今回はその2校目です。
2校目は関東甲信越ブロック代表の東京都大妻中野高等学校です。
この高校の演奏はとても瑞々しく生命力に溢れています。そしてエネルギーに満ち溢れ
ています。聴いている方が元気付けられますね。
注目すべきはただ表面的に活き活きと歌っているのではないということ。注意深く聴いて
いると分かりますが、この曲の主題である「風」の気持ち、この「気持ち」をそのまま
出しているんですね。
それは例えば「うつむく人の背を押して、太陽へ一歩踏み出させたい」のフレーズに込め
られた気持ちを感じ取ることで理解できる。
そしてこの学校の演奏で最も好きなフレーズは、曲の中間から後半にかけて現れる、「
風のはたらきを心にとめて、私にできる役割を担いたい」という部分なのですが、何とも
いえない優しさと役割を担いたいという強い気持ちが伝わってくるんですね。
これは意識して出そうとしたものでは決して無い。
この演奏を聴くと合唱曲の演奏で何が大切なのか、ということが分かるような気がする。
この演奏も心を打たれる素晴らしい演奏です。



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