昨日は所属しているマンドリン合奏社会人団体のギターパートの懇親会だった。
懇親会といっても飲み会だけでなく、お昼から公民館で各自楽器や楽譜を持ち込み、合奏や独奏を自由に弾いて楽しみ、夕方から飲み会という趣向だ。
私は初めての参加だったので、演奏会はどんな雰囲気なのか分からず、とりあえず弾ける独奏曲を2曲持っていった。
合奏は、ギタートップの方がギター重奏の楽譜を数曲用意して下さっていて、集まったメンバーでパートを入れ替えながら初見で弾いてみるという。
ギター合奏は、東京に出てきて社会人になってまもない頃に入ったが数か月で止めてしまった社会人サークルで弾いて以来だ。
30数年振りだし、曲はポピュラーなクラシック曲の編曲だったが、ハイポジションの難しい部分は初見では全く歯が立たなかった。
それでもギタートップの方と二重奏で弾いたサティのグノシェンヌは楽しかった。
2人ないし3、4人の重奏も意外に楽しいのではないか、と一瞬感じた。
合間に独奏ということになり、用意してきた2曲を弾くことになったが、独奏で人前で弾くのは30代前半に老人ホームでのボランティア演奏で弾いて以来の長いブランクもあってか、凄く緊張してしまった。
何とか止まらずに弾き切ったが、お粗末な演奏。
にもかかわらず、聴いてくれて、また拍手もしてくれたメンバーたちに大変感謝している。
このような経験は長いことなかったので嬉しくもあった。
また合奏用楽譜をたくさん用意して下さり、楽しいひとときを経験させてくれたギタートップの方に感謝する次第である。
演奏会が終り、近くの居酒屋の飲み会に参加。
自分は警戒心が強く人見知りするたちなので、こういう飲み会が苦手で、最初は大丈夫だろうかとだいぶ緊張していた。
しかし、会が進むにつれて緊張はやわらぎ、会話も弾むようになってきた。
酒はたくさん飲んでも殆ど酔わないので、酒のせいで緊張が和らいだわけではないと思った。
前から少しづつ感じてはいたが、この団体のこのパートの雰囲気がおおらかというか、自分のような人間でもそこに居てもいいのでは、感じられるのである。
そういえば、5月の大規模演奏会の時も隣に座った方がこの団体に所属している方で、その方のおかげでだいぶメンバーと話せるようになったことを思い出した。それまではとても緊張していた。
みんな音楽、とりわけマンドリン音楽が大好きな人間たちということもあるだろうが、こういう雰囲気というのは長い間経験がなかった。
こういう世界もあるんだな、と今さらながら思った。
30代後半から50代初めにかけては仕事ばかりの生活で、平日は夜10時まで、休日も殆ど出勤していた時代だったから、こういうサークルの存在というものに関心がいかなかったのであろうが、この時代にこのような団体に所属していたら随分と違っていたのではないかと感じる。
一次会が終り残ったメンバーと二次会に行くことになった。
何と私の嫌いなカラオケに行くと言う。
一瞬、大嫌いな歌を歌うはめになるのかと思ったが、もっと音楽の話をしたかったので行くことにした。
カラオケルームに入って、早速歌を歌い始めると思いきや、何と楽器をケースから取り出し、みんな持ち寄った楽譜で二重奏をやったり、独奏曲を披露したりと、結局、歌は1曲も無かったのである。
これには驚いたがとても楽しかった。
リコーダーを持参した創立当時からのメンバーである大先輩からリコーダーとのアンサンブルをやろうと言われ、伴奏を弾かせていただいた。
また独奏ということで、私もアルハンブラを弾かせてもらったが、マンドリンのメンバーが旋律を付けてくれて、これも楽しいものだった。
少人数のアンサンブルも意外にいいものだと思った。
でもやはり自分はまだ独奏が一番好きだ。
アンサンブルは人と合わせる楽しみがあるが、曲に魅力を感じないのかもしれない。
社会人団体の活動がオフの今の時期に、何か弾きがいのある独奏曲、いままで弾いていない曲を完成させたいと思い、手持ちの楽譜のなかから買ったはいいけど一度も弾いていない曲で何かないか探したら、ルイス・ピポーの「歌と踊り第2番」の楽譜が出てきた。
ルイス・ピポーの「歌と踊り第2番」を初めて聴いたのは、今から20年くらい前に、現代ギター社か石丸電気で買ったアルベルト・ポンセの弾くCDだった。
アルベルト・ポンセ(Albert Ponce)と演奏家はクラシックギターファンであれば大抵は知っていると思うが、フランスのエコールノルマルのギター科教授で、福田進一や村治佳織を教えた人だ。
録音は少ないが、2枚のCDと10弦ギターでオアナの曲を録音したLPがある(他にもあるかもしれないが)。
なおYuotubeに第2番の録音がないか探したが、見つからなかった。第1番はたくさんあったけれど。
アントニオ・ルイス・ピポー(Antonio Ruiz-Pipó、1934-1997)はこれも誰もが知っているおなじみの「歌と踊り第1番」の作曲家であるが、元々はピアニストだったようだ。
スペインのグラナダ生まれ。
エコールノルマルではイーヴ・ナットやアルフレッド・コルトーに師事し、イエペスとも親交があったようで、ギターと管弦楽のための『タブラス』という曲をイエペスは録音している。
また自作のピアノ曲やアルベニスのピアノ曲の録音も残しており、その一部はYoutubeでも聴ける。
ギター独奏曲も「歌と踊り」シリーズは第6番まで、他にもエスタンシアスⅠ&Ⅱなど数曲残した。
エスタンシアスⅠ&Ⅱはアルベルト・ポンセの録音があるが、歌と踊り第2番と雰囲気が似ている。
「歌と踊り第1番」があまりにも親しみやすい曲だっただけに、第2番は出版されても殆ど顧みられなかったようだ。
楽譜はスペインのウニオン・ムシカル・エスパニョーラから出されたが、日本ではギタルラ社がピースを出版した。
実際第2番を聴いてみると、「歌」は静かであるが、かなり暗い。
そしてやや不気味で神秘的な和声を多用している。
不協和音ではないが、何か暗い物悲しい独特の和声だ。
例えば次のような部分だ。
この独特の和声の使い方がギターファンに敬遠されたのではないかと思う。
ギター愛好家は親しみやすい曲が好きな人が多いこともあると思う。
この曲のピースが以前、大量に在庫になっているのを見たことがあった。
でも私はこの曲が好きだ。とくに「歌」の和声の使い方が好きだ。
だから楽譜を買った。
「踊り」は変拍子が続く、リズムカルな曲だ。
単旋律のアクセントの付いたフレーズがメイン。
しかし第1番のような、陽気で明るい雰囲気は無い。
ちょっと聴いただけではつかみどころない、旋律性の薄い音楽だ。
第1番のような音楽が好きな人からすると、つまらなく感じるかもしれない。
「歌と踊り」の6曲を録音したCDが出ていたので、注文した。
あるサイトでこの6曲の冒頭部1分のみ聴けたが、第3番~第6番は一般受けするような印象はなかった。
なお、イエペスの録音でギターと管弦楽のための『タブラス』第1楽章がYoutubeにあったので、下記に貼り付けた。
名演だと思う。
Narciso Yepes interpreta "tablas para guitarra " de Antonio Ruiz Pipó (1)
本腰を入れてこの「歌と踊り第2番」に取り組みたい。
いつになるか分からないが、録音もできればと思う。
【追記201809302229】
ギターと管弦楽のための『タブラス』第2楽章の録音が見つかったので貼り付けておきます。
Narciso Yepes interpreta "Tablas para guitarra" de antonio Ruiz Pipó (2)
【追記201810022149】
「歌と踊り第1番~第6番」の楽譜(ウニオン・ムシカル・エスパニョーラ版)が届いて第2番の譜面を見ていたら、「歌」がギタルラ社版と異なっていたのには驚いた。
ギタルラ社版はイエペスの運指で5弦をソ、6弦をレに下げる調弦、ウニオン・ムシカル・エスパニョーラ版は通常の調弦であるが、イエペス運指のものより1音高い。
このウニオン・ムシカル・エスパニョーラ版は、Jean Bruno Dautanerというギタリストによるもので、この奏者によるルイス・ピポーのギター曲全集のCD(2枚組)も出ている。
第1番もイエペス編と比較したが、Jean Bruno Dautaner版で間違いを見つけた。
また「踊り」の右手の運指が異なっている。
懇親会といっても飲み会だけでなく、お昼から公民館で各自楽器や楽譜を持ち込み、合奏や独奏を自由に弾いて楽しみ、夕方から飲み会という趣向だ。
私は初めての参加だったので、演奏会はどんな雰囲気なのか分からず、とりあえず弾ける独奏曲を2曲持っていった。
合奏は、ギタートップの方がギター重奏の楽譜を数曲用意して下さっていて、集まったメンバーでパートを入れ替えながら初見で弾いてみるという。
ギター合奏は、東京に出てきて社会人になってまもない頃に入ったが数か月で止めてしまった社会人サークルで弾いて以来だ。
30数年振りだし、曲はポピュラーなクラシック曲の編曲だったが、ハイポジションの難しい部分は初見では全く歯が立たなかった。
それでもギタートップの方と二重奏で弾いたサティのグノシェンヌは楽しかった。
2人ないし3、4人の重奏も意外に楽しいのではないか、と一瞬感じた。
合間に独奏ということになり、用意してきた2曲を弾くことになったが、独奏で人前で弾くのは30代前半に老人ホームでのボランティア演奏で弾いて以来の長いブランクもあってか、凄く緊張してしまった。
何とか止まらずに弾き切ったが、お粗末な演奏。
にもかかわらず、聴いてくれて、また拍手もしてくれたメンバーたちに大変感謝している。
このような経験は長いことなかったので嬉しくもあった。
また合奏用楽譜をたくさん用意して下さり、楽しいひとときを経験させてくれたギタートップの方に感謝する次第である。
演奏会が終り、近くの居酒屋の飲み会に参加。
自分は警戒心が強く人見知りするたちなので、こういう飲み会が苦手で、最初は大丈夫だろうかとだいぶ緊張していた。
しかし、会が進むにつれて緊張はやわらぎ、会話も弾むようになってきた。
酒はたくさん飲んでも殆ど酔わないので、酒のせいで緊張が和らいだわけではないと思った。
前から少しづつ感じてはいたが、この団体のこのパートの雰囲気がおおらかというか、自分のような人間でもそこに居てもいいのでは、感じられるのである。
そういえば、5月の大規模演奏会の時も隣に座った方がこの団体に所属している方で、その方のおかげでだいぶメンバーと話せるようになったことを思い出した。それまではとても緊張していた。
みんな音楽、とりわけマンドリン音楽が大好きな人間たちということもあるだろうが、こういう雰囲気というのは長い間経験がなかった。
こういう世界もあるんだな、と今さらながら思った。
30代後半から50代初めにかけては仕事ばかりの生活で、平日は夜10時まで、休日も殆ど出勤していた時代だったから、こういうサークルの存在というものに関心がいかなかったのであろうが、この時代にこのような団体に所属していたら随分と違っていたのではないかと感じる。
一次会が終り残ったメンバーと二次会に行くことになった。
何と私の嫌いなカラオケに行くと言う。
一瞬、大嫌いな歌を歌うはめになるのかと思ったが、もっと音楽の話をしたかったので行くことにした。
カラオケルームに入って、早速歌を歌い始めると思いきや、何と楽器をケースから取り出し、みんな持ち寄った楽譜で二重奏をやったり、独奏曲を披露したりと、結局、歌は1曲も無かったのである。
これには驚いたがとても楽しかった。
リコーダーを持参した創立当時からのメンバーである大先輩からリコーダーとのアンサンブルをやろうと言われ、伴奏を弾かせていただいた。
また独奏ということで、私もアルハンブラを弾かせてもらったが、マンドリンのメンバーが旋律を付けてくれて、これも楽しいものだった。
少人数のアンサンブルも意外にいいものだと思った。
でもやはり自分はまだ独奏が一番好きだ。
アンサンブルは人と合わせる楽しみがあるが、曲に魅力を感じないのかもしれない。
社会人団体の活動がオフの今の時期に、何か弾きがいのある独奏曲、いままで弾いていない曲を完成させたいと思い、手持ちの楽譜のなかから買ったはいいけど一度も弾いていない曲で何かないか探したら、ルイス・ピポーの「歌と踊り第2番」の楽譜が出てきた。
ルイス・ピポーの「歌と踊り第2番」を初めて聴いたのは、今から20年くらい前に、現代ギター社か石丸電気で買ったアルベルト・ポンセの弾くCDだった。
アルベルト・ポンセ(Albert Ponce)と演奏家はクラシックギターファンであれば大抵は知っていると思うが、フランスのエコールノルマルのギター科教授で、福田進一や村治佳織を教えた人だ。
録音は少ないが、2枚のCDと10弦ギターでオアナの曲を録音したLPがある(他にもあるかもしれないが)。
なおYuotubeに第2番の録音がないか探したが、見つからなかった。第1番はたくさんあったけれど。
アントニオ・ルイス・ピポー(Antonio Ruiz-Pipó、1934-1997)はこれも誰もが知っているおなじみの「歌と踊り第1番」の作曲家であるが、元々はピアニストだったようだ。
スペインのグラナダ生まれ。
エコールノルマルではイーヴ・ナットやアルフレッド・コルトーに師事し、イエペスとも親交があったようで、ギターと管弦楽のための『タブラス』という曲をイエペスは録音している。
また自作のピアノ曲やアルベニスのピアノ曲の録音も残しており、その一部はYoutubeでも聴ける。
ギター独奏曲も「歌と踊り」シリーズは第6番まで、他にもエスタンシアスⅠ&Ⅱなど数曲残した。
エスタンシアスⅠ&Ⅱはアルベルト・ポンセの録音があるが、歌と踊り第2番と雰囲気が似ている。
「歌と踊り第1番」があまりにも親しみやすい曲だっただけに、第2番は出版されても殆ど顧みられなかったようだ。
楽譜はスペインのウニオン・ムシカル・エスパニョーラから出されたが、日本ではギタルラ社がピースを出版した。
実際第2番を聴いてみると、「歌」は静かであるが、かなり暗い。
そしてやや不気味で神秘的な和声を多用している。
不協和音ではないが、何か暗い物悲しい独特の和声だ。
例えば次のような部分だ。
この独特の和声の使い方がギターファンに敬遠されたのではないかと思う。
ギター愛好家は親しみやすい曲が好きな人が多いこともあると思う。
この曲のピースが以前、大量に在庫になっているのを見たことがあった。
でも私はこの曲が好きだ。とくに「歌」の和声の使い方が好きだ。
だから楽譜を買った。
「踊り」は変拍子が続く、リズムカルな曲だ。
単旋律のアクセントの付いたフレーズがメイン。
しかし第1番のような、陽気で明るい雰囲気は無い。
ちょっと聴いただけではつかみどころない、旋律性の薄い音楽だ。
第1番のような音楽が好きな人からすると、つまらなく感じるかもしれない。
「歌と踊り」の6曲を録音したCDが出ていたので、注文した。
あるサイトでこの6曲の冒頭部1分のみ聴けたが、第3番~第6番は一般受けするような印象はなかった。
なお、イエペスの録音でギターと管弦楽のための『タブラス』第1楽章がYoutubeにあったので、下記に貼り付けた。
名演だと思う。
Narciso Yepes interpreta "tablas para guitarra " de Antonio Ruiz Pipó (1)
本腰を入れてこの「歌と踊り第2番」に取り組みたい。
いつになるか分からないが、録音もできればと思う。
【追記201809302229】
ギターと管弦楽のための『タブラス』第2楽章の録音が見つかったので貼り付けておきます。
Narciso Yepes interpreta "Tablas para guitarra" de antonio Ruiz Pipó (2)
【追記201810022149】
「歌と踊り第1番~第6番」の楽譜(ウニオン・ムシカル・エスパニョーラ版)が届いて第2番の譜面を見ていたら、「歌」がギタルラ社版と異なっていたのには驚いた。
ギタルラ社版はイエペスの運指で5弦をソ、6弦をレに下げる調弦、ウニオン・ムシカル・エスパニョーラ版は通常の調弦であるが、イエペス運指のものより1音高い。
このウニオン・ムシカル・エスパニョーラ版は、Jean Bruno Dautanerというギタリストによるもので、この奏者によるルイス・ピポーのギター曲全集のCD(2枚組)も出ている。
第1番もイエペス編と比較したが、Jean Bruno Dautaner版で間違いを見つけた。
また「踊り」の右手の運指が異なっている。