緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

NLPによって対人恐怖症は改善されるのか(10)

2023-08-31 21:24:26 | 心理
(前回からの続き)

Ⅱ 勇気を持って人に接する

B.無意識で行っている自己否定と自己否定した自分を守るための強迫的衝動による行動パターン(自動回路)の意識化と解消
A.周囲の人間全てを自分を攻撃する敵と認識し、強化された信念の意識化と解消

これらの苦しみがこれまで述べた方法で解決されてくると、それまで他人に対し閉ざしていた凍った心が少しずつ溶解され、心の最も深いところで眠っていた人と心を通わせたいという、人間全てが根源的に有している感情が湧き上がってくるようになる。

これまで人と接する、人といっしょにいることが苦しくて、何十年も孤独でいることを余儀なくされていた。
何故か。強烈な恐怖と、上記A,Bで述べた潜在意識上での自動回路により絶えず生じていた、怒り、憎しみ、悲しみ、不安、強迫、孤独感などのマイナス感情を力でもって抑え込み、そのうえで人と接しなければならなかったからだ。
これでは人といっしょにいることが楽しめるわけがない。苦痛以外の何物でもないことは何よりも明らかなのだ。別に自慢する意図があるわけではなく、体験者でないと理解出来ない苦しみなのだということだ。

しかし上記A,Bによる苦しみが解消されてくると、人と接する苦しみが和らいでくるので、閉ざした心の僅かな隙間からでも、人の気持ちというものが感じ取れるようになってくる。
厚い、鋼鉄の壁に穴が、最初は小さな穴1つかもしれないが、徐々にその穴が増えたり、拡がっていく感じをイメージすると分かりやすいかもしれない。
これがいい方向に続いてくると、人間の中には案外、いい人、優しい人がいるのではないかという感覚が芽生えてくる。
これまでも、恐怖に支配されていた時に接した人の中でも自分に対して優しい気持ちをかけてくれた人がいたのかもしれないが、周囲の人間全てを自分を攻撃する敵と認識し、それが信念となるまで強化されていたために、その気持ちを悉く撥ねつけていたからだ。厚い鋼鉄製の鎧で全身を覆っているようなものだ。人の話す言葉全てが槍だと感じているのである。
人の言葉を反射的にさえぎるためにシャッターが瞬時に降りるような規制が働くのである。

そして、この鋼鉄製の壁や鎧に開いた穴なり隙間から感じ取ることが出来た、人の優しさが本物であると確信できたとき、かなり大きな変化が心に起きてきたと思っていい。
そのためにも勇気を持って人と関わっていくことが大切だし、重要だ。

私の場合は、20代半ばから50代半ば近くまで仕事以外の人間関係を持つことが出来なかった。仕事は独りで生きていくために必要だと思っていたし、うつ病時代に仕事を干された経験からそれ以後は殆ど休まず勤務してきたが、私生活では人と親しくすることはついに出来なかった。ずっと孤独な生活を送ってきた。
しかし転機が訪れたのは今から約6年前、ある偶然のきっかけで学生時代やっていたマンドリンオーケストラに30数年ぶりで参加したことであった。
これをきっかけに私生活で人と関わる機会が否応にも得られるようになった。
それでも最初はかなり苦痛であったが、徐々にその苦痛も軽減していった。
それは参加した団体にこれまで関わってきた人間とは全く性質の異なる人たちがいたからだ。
彼らと接するうちに、自然に、それまで歪んでいた人に対する認識が矯正されていったといっていい。
そして2020年に参加した心理療法の講習会で、生涯の友と言える2人の方と親しくなることが出来た。
心理療法のセッションでその方々とラインで5時間ぶっとおしで話したことも何度もあった。2時間ほどしか寝ないで職場に向かったことも何度かあった。
それまで5分話すだけでも苦痛だった自分が長時間話せるように変わっていったのである。

前回までの記事で、心を病む原因が対人関係であれば、治せるのも対人関係ということを書いた。これは鉄則だと思う。
技術的手法では決して人の心は変えることは出来ないということなのだ。
案外、プロの心理療法家ではなく、普通の人の方が閉ざした心を開くことができるのではないかと思ったほどである。
人の心に変化をもたらすのは本物の気持ち、本物の感情でしか無いということなのだ。

(次回に続く)
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