緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

アルトゥール・シュナーベルの演奏を聴く

2013-04-21 21:14:11 | ピアノ
こんにちは。
昨日、今日と寒い日が続きました。3月に逆戻りした感じでしたね。
さて今日もピアノの話題です。
年明けから随分とピアノの演奏を聴いてきました。もう聴きたいという欲求にまかせてたくさんCDを買ってしまったが、新品で手に入らないもの以外は極力中古品を買うようにして出費を抑えています。
昨日も中古CDを買いましたが、下の10枚組みのCDが900円(1枚あたり90円)。中古品も探せば安いものがあるものです。



このCDはオーストリアで生まれたピアノの巨匠、アルトゥール・シュナーベル(1882~1951)の演奏を録音したものです。
まだ全て聴いていませんが、シューベルトのピアノ・ソナタ、イ長調(D.959)とバッハの「半音階的幻想曲とフーガニ短調、BWV903」を聴いてみました。
シュナーベルは以前、ベートーヴェンのソナタ「月光」の聴き比べをしていた時に一度聴いたことがあるのですが、その時はあまりいい印象が無かったのですが、シューベルトのピアノ・ソナタを聴いてシュナーベルに対する見方が全く変わりました。
シュナーベルはピアノの鍵盤を強く叩きつけないのに、強く密度の高い音を出すことのできる奏者だと感じました。
先のピアノ・ソナタ、イ長調の第4楽章を聴いていたとき、シュナーベルの出す低音がすごく強く、芯の通った伸びのある音にまず魅かれた。
この低音で思い出したのはナルシソ・イエペスが10弦ギターで弾いたロドリーゴ作曲「祈りと踊り」です。



このイエペスの弾く「祈りと踊り」は超名演と言うべきもので、特に低音の響きは単に10弦ギターであるからという機能的なものを超える、何十年もの研鑽の結果、生み出されたものであると思っています。まさにイエペスしか出せない音ですね。
この低音はソロモン・カットナーの弾く、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番を聴いたときも感じました。
ギターでこのような強く、芯の通った伸びのある音を出すことは至難であり、楽器の良し悪しにも依存するが、ピアノも同じだと思います。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲の聴き比べをしていた時、比較的若い演奏家の音が軽く、シャリシャリ、シャンシャンといった音がしているものがありましたが、相当鍵盤を強く叩きつけているのにこのような音になってしまうのは何故なのだろう。
ピアノの鍵盤にも、ギターの弦の張力が強いものや弱いものがあるように、重いもの、軽いものがあるのでしょうか。鍵盤が軽いと速く弾くことが出来るが音は軽くなるのではないかと思う。
ギターも近年の楽器は弦の張力が弱い傾向が多いように思います。弦の張力が弱いと音は柔らかく、低音は深みのある音が出せますが、力強く芯の通った伸びのある音、鋼を打った時に出るような重厚な音は出せません。
弦の張力が弱くなったのは右手のタッチにも関係していると思います。
1980年代以降、ギターの右手の奏法はアポヤンドからアルアイレ奏法主体に変わりましたが、この奏法の変化で得られたのは均一な音で速く弾くことだけで、聴き手の心を打つまでには程遠いものだと思います。
実際、1980年代以降クラシックギターの録音数はうなぎのぼりに増えましたが、イエペスやジュリアン・ブリームなど一部の演奏家の録音を除いては、聴き応えのある演奏に殆ど出合っていません。
更にこの頃から録音時の生の音に、後から電気処理を加えて音を加工する録音が増えてきたことです。
音が軽くて生の音では聴いていられない、生の音で勝負することが出来ないからこのような加工処理(小細工?)をするのだと思う。これはとても残念なことだ。ピアノの録音も同じですね。生の音ではなく、加工処理された音では決して聴き手を感動させることはできないと思います。
シュナーベルの時代はこのような加工処理の技術も無かったし、編集録音も出来なかっただろうから一発勝負ですよね。だからこの時代の演奏家は生の音での真剣勝負だったし、聴き手の心に強く残るための音を出す為に一生懸命研鑽を積んだんだと思う。
そして録音技術者たちもいかに生の音を、実際側で聴いているのと同じくらいまで再現できるかに力を注いだのだと思います。

シュナーベルの録音で次に聴いたのが、バッハ作曲「半音階的幻想曲とフーガニ短調、BWV903」。
この演奏は凄かったです。1948年の録音なので彼が66歳の時なのですが、60歳代とは思えないエネルギーに満ちた演奏です。
超絶技巧よりもこのエネルギーと音楽性に圧倒されてしまった。以前紹介したホルショフスキーのバッハ演奏と共に、バッハの音楽に強く感動を抱くことのできた稀な演奏の一つです。
シュナーベルは楽器から、その楽器の持つ最高の音を引き出すことのできる数少ない巨匠だと思います。あまり関心のない曲でもこの楽器のもつ音そのものに魅力を抱くことで、その曲が全く価値の違う曲に聴こえてきます。

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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番を聴く(3)

2013-04-14 18:36:03 | ピアノ
こんにちは。
4月も半ばになりましたが、それほど暖かくはありません。
夜は暖房を点けることがあります。
ピアノの話題に戻ります。
先日、チャイコフスキー作曲、ピアノ協奏曲第1番の聴く比べを紹介しました。これまで聴き応えのあった録音を4点紹介しましたが、今日はその続きです。今日紹介するのは下記の演奏です。

・ピアノ:ホルヘ・ボレット(1914~1990)、指揮:Gunter Wand、NDR交響楽団
 録音:1985年(ライブ)



キューバ生まれのホルヘ・ボレットはピアノに詳しい人であればご存知だと思いますが、リストを得意とするピアニストです。
ボレットは技巧派と見られることが多いようですが、このチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は71歳という高齢でのライブ演奏にもかかわらず、素晴らしい技巧と多彩な音楽表現を聴かせてくれます。
そしてボレットの演奏の最大の魅力は、強い音が決して不快にならないこと、人間的な暖かみに満ちていることです。
ボレットの演奏を聴いていると、ヴィルトゥオーゾによる超絶技巧による演奏とは一線を画していることが分かります。もっと別の、音楽の根源的なものが伝わってきます。そして表現が深い。

ボレットはこの後1987年に、シャルル・デュトワとの共演による録音を残しているが、さすがに技巧の衰えは避けられず前者の1985年の方がお勧めです。



なおボレットは60歳の時にカーネギーホールでライブ演奏を録音していますが、この録音は超お勧めです。
ショパンの前奏曲の終曲やタンホイザーなどは、技巧をはるかに超越し、人間の魂から出てきたとしか思えないような素晴らしい演奏です。


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加速時に息継ぎする原因

2013-04-06 21:21:19 | 
こんにちは。
この1週間の間に、寝室、浴室、車のヘッドライトと立て続けに電球が切れてしまった。
部屋の電球はスペアを常備していたので困ることはなかったのですが、自動車のヘッドライトはバルブを交換すれば済むタイプのものではなく、ヘッドライトそのものを交換するタイプのものであり、またその車は毎日の通勤にも使っているのですぐに交換と言うわけにいかず、5日間くらい片目走行になっている。
片目では危ないのでフォグランプをも点けてしのいでいるが、幸いスペアがあるので明日交換することにしました。
今日は音楽ではなく車の話題にします。
冬になってからでしょうか。通勤のために車を駐車場から出して、5分くらいして2つ目の交差点の信号を過ぎたあたりから、発進後、加速するためにシフトレバーを2速してアクセルを踏むと一瞬急に失速し、すぐにまた加速するという現象が繰り返し起きるようになりました。
初めのころはこの現象も1、2回現れるだけだったので特に気にもせずそのままにしていました。
ところが日増しにその現象が頻繁に現れるようになり、1週間前には、ちょっとやばいな、というくらいにまでなっていたので、何とか直す手立てを考える必要に迫られました。
整備工場に診てもらおうとも思ったが、お金を取られるし、今のところ何とか走ることもできるのでしばらく我慢して、原因を見つけることにしました。
実はこの加速時の息継ぎ現象、以前にも2回経験しています。
1度目は、今の車の前の車に載っていた時で、加速時に息継ぎするだけではなく、信号待ちなどの停車時のアインドリングしている時でもエンジンが止まってしまうので、恐ろしい思いをしました。信号待ちのときにエンジンが止まってしまわないように、ギアをニュートラルにして、アクセルを小刻みに吹かし、信号が青になったらいっきにクラッチを繋いで発進するということをやっていました。信号待ちで前の車が私がアクセルふかす音にあおられて怖かったのか、信号が青になった瞬間に凄いスピードで発進していきましたね。
この時の息継ぎの原因ですが、この車は燃料噴射装置が機械式のキャブレターというものだったので、ガソリンタンクの中の錆がこのキャブレターに燃料と一緒に送り込まれて、錆がキャブレターのジェット(燃料をエンジンに噴射する小さな穴のあいた部品)を詰まらせてしまったことです。
ガソリンタンクの中のガソリンが減ってくると空間ができるので、結露が発生し、結露による水がガソリンタンクの底に溜まって、タンクを錆び付かせてしまったんですね。
こうなるとキャブレターを清掃して錆を取り除いても、またこの症状が現れ、2回キャブレターを清掃した後で結局はガソリンタンクを洗浄してもらいました。
2度目は今の車なのですが、ある時時速50kmから60kmくらい速度を上げるために、アクセルを強めに踏んだ時、息継ぎが発生しました。低速時は起きません。
そして遠出した時、峠道を登るためにアクセルを深く踏み込んだ時、この息継ぎが激しくなり、ついには加速しなくなり、マフラーの触媒から焦げるような匂いが出てきました。
この時は強く加速さえしなければ自走可能だったので、ディーラーに診てもらったら、プラグコードがリークしていたとのこと、プラグコードを新品に交換すると完全に直りました。
しかし今回の場合は、過去の2度の症状とは微妙に違います。
その違いを下記にまとめてみると、

①長時間停車した後であっても、夜の通勤時よりも朝の通勤時のほうが頻繁に発生する。
②朝、駐車場から出て5分くらいは症状は現れなく、その後、信号待ちから発進した直後に現れる。
③発進後、ギアを1速から2速に入れ、2速で加速するときに最も症状が強く現れる。速度が40、50km以上になると症状は現れない。
④症状が続くのは5分程度で、その後は加速時でも症状は現れない。
⑤アイドリングは全く乱れない。
⑥朝露がすごく発生していた日に、症状が顕著に現れた。
⑦雨の降る日、晴れの日の症状の相違はない。

最初は、オイルキャッチタンクに満タンとなったオイルがサージタンクに過剰に入り込み、そのオイルが点火プラグに付いて失火しているのではないかと思い、ものぐさして満タンになってしまっていたオイルを全部排出して様子を見てみたが、症状は消えませんでした。
次にプラグがもう寿命になったのかもと思ったが、高速走行時は何の問題もないので、この原因ではなさそうでした。
次に燃料フィルターの詰まりを疑い、フィルターをディーラーに注文したが数日かかるとのことで、交換できず、その間に症状も大きくなってきたので、何とか考えたあげく、上記⑥のことが気になり、もしかしてガソリンタンクの底に水が溜まっていて、ポンプがその水を吸い始めたときに症状が出るのではないかという考えに至りました。
朝、通勤のために車を走らせた直後に症状が出ず5分くらい経ってから出るのは、ポンプがタンクの底の水を吸い上げるのにしばらく時間がかかること、症状が現れてから5分くらして走っているうちに治ってしまうのは、タンク内のガソリンと水が攪拌されてガソリンに含む水の割合が減るからなのではないか、等推測してみました。
そしてガソリンタンクの水抜き剤として売っている次の写真のようなもの(アルコールらしい)をタンクの中に入れて、翌日車を走らせてみたら症状は現れませんでした。
3日経過して一度も症状が現れないところをみると、やはりガソリンタンクの底にたまっていた水が原因だったようです。
そういえばガソリンを入れるのが、ガソリンが残り少なくなってからにしてから調子が悪くなったようです。これは今行っているスタンドが20リッター以上ガソリンを入れるとサービス券を発行して、10点集めると景品をくれるので、できるだけタンクが空に近くなってから入れるようにしたためですね。
以前はタンクの半分までくる前に入れていたので大丈夫だったのだろう。
景品がもらえなくなるのは惜しいが、ガソリンタンクの半分より手前でガソリンを入れるようにしようと思った。



1本99円。

【追記(2014.6.28)】
この症状の本当の原因が分かりました。
原因は3本あるうちのプラグの1本が劣化して、失火していたことでした。
交換した後で症状は全く無くなりました。燃料フィルターも合わせて交換しておきました。
もっと早くコメントしておけばよかったです。
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