世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

阿久悠さん…

2007年08月02日 23時19分56秒 | Weblog
作詞家の阿久悠さんが昨日亡くなられた。
阿久悠さんといえば、私が知っている歌謡曲の殆んどは彼の作詞によるものだ。

アニソンから演歌まで幅広く作詞を手掛けた阿久悠さん。

作詞って、限られた文字制限の中での「文学」だと思う。
文字数が限られているが故、使う言葉を厳選しなくてはならない。
それだけではなく、各々に宿る近似値的共感や歌詞の世界を想像させる余裕を聴き手に与える仕事なのではないかと、私は考える。

阿久さんは、そこんところ、ズバ抜けて秀でていた。

私が初めて阿久悠という名前を知ったのは、高校一年生の夏休み。
ちょうど14年前だ。
母親のカセットをたまたま聴いていた。
そして、慄いた。
曲名は沢田研二の「時の過ぎゆくままに」。
あまりの衝撃に、
「ママ、この曲、誰が作詞したの?」
と訊かずにはいられなかった。

曲調もダークなんだが、歌詞も凄い。
薄幸な…というか、道徳的にイケナイ男女が、古びたサイケな彩り豊かな連れ込み宿で、「はぁ~」と溜め息を吐いている風景…が、高校生の私には浮かんだ(←耳年増だった私。知識や想像力は抜群だった)。
今でも、疲れると、この歌をバスタブで呟いていたりする。
つい3週間前も、風呂場で脛毛を剃りながらこの歌を歌っていたっけ。
…あっ、勿論、恋愛で疲れているんではなく、仕事で疲れていたんだが…。

「あなたは すっかり
 つかれてしまい
 生きてることさえ
 いやだと泣いた」

…そんな夜は私にもある。
…何度も言うが恋愛関係の縺れではなく、仕事の縺れで。

高校時代に描いていた大人の世界とは、ちと違う人生を歩んでいる私だが、まぁ良いか。

そんなこんなで、様々な夢(妄想)を抱かせてくださった阿久悠さん。
慎んでご冥福をお祈りいたします。



「時の過ぎ行くままに」

作詞 阿久悠
作曲 大野克夫
歌  沢田研二

あなたは すっかり
つかれてしまい
生きてることさえ
いやだと泣いた
こわれたピアノで
想い出の歌
片手でひいては
ためいきついた

時の過ぎゆくままに
この身をまかせ
男と女がただよいながら
堕ちてゆくのも
しあわせだよと
二人つめたい
からだ合わせる

からだの傷なら
なおせるけれど
心のいたでは
いやせはしない
小指に食い込む
指輪を見つめ
あなたは 昔を
思って 泣いた

時の過ぎゆくままに
この身をまかせ
男と女がただよいながら
もしも 二人が
愛せるならば
窓の景色も かわっていくだろう

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