晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ケン・フォレット 『飛行艇クリッパーの客』

2011-06-11 | 海外作家 ハ
先日亡くなった児玉清さんが、何の番組か忘れましたが、
ケン・フォレットの「大聖堂」という作品が面白い、と
お薦めしていたのをたまたま観ていて、さっそく本屋へ
行ってみたのですが、その目当ての本が無く、あったの
は『飛行艇クリッパーの客』の文庫と、他いくつか。

背表紙の番号でいうと、「大聖堂」の次にこの『飛行艇~』
がきているので、仕方なく、といっては何ですが、購入。

はじめ、飛行艇とは、ツエッペリン号とかの(飛行船)を
想像していたのですが、作品に出てくるクリッパー号は、
水面を滑走路代わりにする飛行機で、正式にはボーイング
B-314型機といい、12機しか製作されなかったそう
で、陸上滑走路がいらないメリットがあったのですが、そ
の後、あちこちに滑走路ができてお役ご免になった次第。

時はナチス・ドイツがポーランドを侵攻、イギリスも参戦
を表明し、ロンドンでは灯火管制で夜は真っ暗になり、誰
もが不安でいっぱい、という状態の中、パンアメリカン社
の、イギリス・サウサンプトンとアメリカ・ニューヨーク
を結ぶ飛行艇“クリッパー”は人々の注目を集めていまし
た。

そのクリッパーで、イギリスからアメリカへ渡る乗客には
さまざまな背景や事情があって、ファシズムの父親の一家、
宝石泥棒、ハリウッド女優、護送する犯人とFBI、亡命
しようとしている科学者と知人、ロシアの元貴族、浮気を
した妻とそれを追う夫、会社を乗っ取ろうとする弟とそれ
を追う姉、あとは謎の男、それから乗務員。

物語は、フライトエンジニアのもとに電話がかかってきて、
妻を誘拐した、クリッパー号をニューヨークの手前の湾で
不時着させろと脅迫の電話がかかってくるところからはじ
まります。

他の乗組員にばれないように、不時着を成功させ、妻を
取り戻したいエンジニア。いっぽう、客室内でも大小の
事件というか揉め事、それぞれの“物語”が進行してい
きます。

総勢で20人ほどの登場人物ですが、しっかりと人物描写
がされていて、舞台はほぼ機内といういわば「一場劇」な
のですが、展開がとても広く思えます。

ネタバレにならない程度にしますが、ラストの宝石泥棒と
ある女性の逃避行はスカッとします。何といいますか、
「おお、やってくれたね」という感じ。

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