晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

宮部みゆき 『魔術はささやく』

2008-11-20 | 日本人作家 ま
我が家には、買うだけ買っておいて、気が向いたときや、本屋に行っても、
これといって読みたい本が見つからなかったとき用に、何冊か本棚の肥やし
状態で置いてある(ほとんど文庫)のです。

例を挙げると、宮部みゆき、ジョン・グリシャムがそうなのですが、まずそ
の条件として「この作家はほぼハズレが無い」というもの。
文学賞を受賞していたり、映画化やドラマ化しているからといって必ずしも
面白いとはいえず、結局は自分に合う合わないの話になってくるんですが。

その「買うだけ買っておいた」本、宮部みゆき『魔術はささやく』を読みま
した。
人物描写、心理状態、状況説明はバツグンに上手いですね、この人は。
最後のほうで解き明かされる謎は、松本清張『砂の器』を思い出させました。
というか、もしも清張の出現以前に、宮部みゆきがデビューしていたのなら、
社会派推理小説というジャンルの旗手はこの人になっていたのではないか、と
すら思わせてくれます。

この物語には、現代社会の歪みから生まれたビジネスといっていいものに以前
関わりを持っていた人たちが事件に巻き込まれます。
そこに、そんなビジネスとは別の道を歩んでいた少年も巻き込まれるのですが、
絡ませ方が巧み。

最後のほうで解き明かされる謎というものは、私は正直いって、眉唾ものです。
ただ、そこら辺のユルい小説なら、不完全燃焼で読み終わってしまうのですが、
信じる信じないはともかくとして、物語として面白ければ、焚き火の後始末で水
をかけたにもかかわらず、小さな火種がぽつんと残っているようなもどかしさは
ありません。

これで本のストックが一冊減りました。
また補充しておかなければ。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 馳星周 『不夜城』 | トップ | マイケル・クライトン 『ジ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本人作家 ま」カテゴリの最新記事