大阪府門真市の職員6人が平成15年3月から17年4月、市立五月田小学校(同市北島町)の給食調理員から無料で給食の米飯を分けてもらい、職場で昼食として食べていたことが19日、分かった。約2年間で少なくとも20回に上り、市は近く、かかわった給食員4人とともに懲戒処分を検討。6人は「自前の弁当だけでは足りなかった」などと話しているという。
市によると、6人は35~45歳の男性職員で、当時は市教委施設課(現・教育総務課)に所属。学校施設の修繕が主な仕事で、給食員とは顔見知りだった。
(中略)
給食員が渡した米飯は1回につき約900グラム(約5合)で計約18キロ。金額に換算すると、6000円程度になるという。
6人は「自宅から持ってきたり、買ったりする弁当だけでは足りなかった」と釈明。不正に関与した給食員の女性(53)は「米飯給食のときは以前から多少の残飯があり、どうせ捨てるのだから、その範囲内であればかまわないと思った」と話しているという。
どう見てもおかしいと思ったのですが、誰もツッコミを入れていないみたいです。未だにβ版のイザ!には現時点で4件のトラックバックが付いていますが、どれも見当外れのことを言うばかりです。私は産経新聞サイドがこっそり記事を修正するのではないかと思っていたのですが、何故か放置されています。でも、絶対におかしいですよね。「約900グラム(約5合)」って、それは何の重さですか?
自分で米を炊いたことがある人ならわかると思いますが、米1合は約150gです。白米5合は、750gにしかなりません。というより、今回は生米ではなく炊飯後の米の話です。炊飯後の米1合は約330g……やっぱり900gで5合にはなりません。なんでしょうね、カップ麺1個は400円だと思っていた人もいたわけですが、産経新聞記者は米1合が180gだと思っているのでしょうか。まぁ、米を発酵させて作ったアルコール飲料なら、5合で約900gです。記事制作当時、記者の頭にあったのはたぶんそっちの方なのでしょう。周りに漢字の読み方を教えてもらえない大臣もいるくらいですから、まともに校閲もしてもらえない新聞社があっても、不思議ではありませんね!
ここで歴史修正主義者なら、報道の些末な誤りを大きく取り上げて、さも記述全体が信用できないかのように見せかける、そうしたことで「なかった」ことにしてしまうわけです。「資料の内容に誤りがある! この資料は誤りだ! 従って、ここに書かれている虐殺も捏造であり、事実ではない!」と。勿論、この矛盾をはらんだ報道を捏造と断定するつもりはありませんが、それにしても不正とされている内容の方が遥かに些末です。月に1回あるかないか、1回約300円程度、どうせ余るのだからと、修理の人にご飯を振る舞っただけの話、この程度で咎め立てする新聞社の神経を疑います(この点では、産経新聞だけの問題ではありません)。まぁ公務員叩きは読者が喜ぶネタですし、橋下知事への援護射撃のつもりもあるのでしょう。
「霞が関を壊して」橋下知事、キアヌ・リーブス氏に(朝日新聞)
ハリウッド俳優のキアヌ・リーブスさんが19日、大阪府庁で橋下徹知事と対談した。人類滅亡を宣告にやってくる宇宙人役で主演した映画のPRで来日した。
お忍びで何度も大阪を訪れているというリーブスさんが「大阪は照明が素晴らしい」と持ち上げると、御堂筋などのイルミネーションに力を入れる橋下知事は大喜び。
町を破壊するシーンもある映画にかけて「霞が関を一番壊してほしい」という橋下知事の依頼に、リーブスさんは「知事にお任せします」と切り返して笑いを誘った。
あまりに妄言が多くて個人ブログではフォローしきれない橋下知事ですが、今度は「霞が関を一番壊してほしい」だとか。金正日にでも頼めば?とでも言いたくなりますが、誰であろうと頼まれた方は困りますよね。こんなのでも相手にしないといけない客商売は大変です。
もう10年以上前から現体制に対する不満は募っている、現体制を否定する声が多数派を形成しているわけです。そこでは現体制を象徴している(とされる)ものをいかに攻撃するか、どれだけ声高に非難できるかが支持を得るための最も重要な要素になります。最初は小泉でしたが、その小泉の失敗から何も学べなかった人々が今度は橋下を支持している、不満の矛先は「官」に向け、ことあるごとに「官」への悪罵を繰り返す政治家をヒーローとして歓迎しているわけです(参考)。当面、同じ失敗を繰り返し続けるでしょう。
11月には、厚労省OBが連続して襲撃される事件も起りました。色々と不可解な点も多い事件でしたが、容疑者は「官僚は悪いやつらなので襲ってやろうと思った」と供述していたそうです。ヘイトクライムだな、と私は書きました(参考)。無条件に悪い奴ら、とにかく打倒すべき対象として、それを破壊することで望まれているものとして「官」が位置づけられた結果です。そこで紛れもなく橋下はヘイトクライムを煽っている「加害者」であり、今後このような事件が起る度に責任を問われるべきものですが、今回の発言が何事もなく受け容れられているようでは、先行きは期待できませんね。