非国民通信

ノーモア・コイズミ

酒を飲みながら書いているのかと

2008-12-21 23:08:54 | ニュース

門真市職員が給食のご飯を“私的流用”(産経新聞)

 大阪府門真市の職員6人が平成15年3月から17年4月、市立五月田小学校(同市北島町)の給食調理員から無料で給食の米飯を分けてもらい、職場で昼食として食べていたことが19日、分かった。約2年間で少なくとも20回に上り、市は近く、かかわった給食員4人とともに懲戒処分を検討。6人は「自前の弁当だけでは足りなかった」などと話しているという。

 市によると、6人は35~45歳の男性職員で、当時は市教委施設課(現・教育総務課)に所属。学校施設の修繕が主な仕事で、給食員とは顔見知りだった。

(中略)

 給食員が渡した米飯は1回につき約900グラム(約5合)で計約18キロ。金額に換算すると、6000円程度になるという。

 6人は「自宅から持ってきたり、買ったりする弁当だけでは足りなかった」と釈明。不正に関与した給食員の女性(53)は「米飯給食のときは以前から多少の残飯があり、どうせ捨てるのだから、その範囲内であればかまわないと思った」と話しているという。

 どう見てもおかしいと思ったのですが、誰もツッコミを入れていないみたいです。未だにβ版のイザ!には現時点で4件のトラックバックが付いていますが、どれも見当外れのことを言うばかりです。私は産経新聞サイドがこっそり記事を修正するのではないかと思っていたのですが、何故か放置されています。でも、絶対におかしいですよね。「約900グラム(約5合)って、それは何の重さですか?

 自分で米を炊いたことがある人ならわかると思いますが、米1合は約150gです。白米5合は、750gにしかなりません。というより、今回は生米ではなく炊飯後の米の話です。炊飯後の米1合は約330g……やっぱり900gで5合にはなりません。なんでしょうね、カップ麺1個は400円だと思っていた人もいたわけですが、産経新聞記者は米1合が180gだと思っているのでしょうか。まぁ、米を発酵させて作ったアルコール飲料なら、5合で約900gです。記事制作当時、記者の頭にあったのはたぶんそっちの方なのでしょう。周りに漢字の読み方を教えてもらえない大臣もいるくらいですから、まともに校閲もしてもらえない新聞社があっても、不思議ではありませんね!

 ここで歴史修正主義者なら、報道の些末な誤りを大きく取り上げて、さも記述全体が信用できないかのように見せかける、そうしたことで「なかった」ことにしてしまうわけです。「資料の内容に誤りがある! この資料は誤りだ! 従って、ここに書かれている虐殺も捏造であり、事実ではない!」と。勿論、この矛盾をはらんだ報道を捏造と断定するつもりはありませんが、それにしても不正とされている内容の方が遥かに些末です。月に1回あるかないか、1回約300円程度、どうせ余るのだからと、修理の人にご飯を振る舞っただけの話、この程度で咎め立てする新聞社の神経を疑います(この点では、産経新聞だけの問題ではありません)。まぁ公務員叩きは読者が喜ぶネタですし、橋下知事への援護射撃のつもりもあるのでしょう。

「霞が関を壊して」橋下知事、キアヌ・リーブス氏に(朝日新聞)

 ハリウッド俳優のキアヌ・リーブスさんが19日、大阪府庁で橋下徹知事と対談した。人類滅亡を宣告にやってくる宇宙人役で主演した映画のPRで来日した。

 お忍びで何度も大阪を訪れているというリーブスさんが「大阪は照明が素晴らしい」と持ち上げると、御堂筋などのイルミネーションに力を入れる橋下知事は大喜び。

 町を破壊するシーンもある映画にかけて「霞が関を一番壊してほしい」という橋下知事の依頼に、リーブスさんは「知事にお任せします」と切り返して笑いを誘った。

 あまりに妄言が多くて個人ブログではフォローしきれない橋下知事ですが、今度は「霞が関を一番壊してほしい」だとか。金正日にでも頼めば?とでも言いたくなりますが、誰であろうと頼まれた方は困りますよね。こんなのでも相手にしないといけない客商売は大変です。

 もう10年以上前から現体制に対する不満は募っている、現体制を否定する声が多数派を形成しているわけです。そこでは現体制を象徴している(とされる)ものをいかに攻撃するか、どれだけ声高に非難できるかが支持を得るための最も重要な要素になります。最初は小泉でしたが、その小泉の失敗から何も学べなかった人々が今度は橋下を支持している、不満の矛先は「官」に向け、ことあるごとに「官」への悪罵を繰り返す政治家をヒーローとして歓迎しているわけです(参考)。当面、同じ失敗を繰り返し続けるでしょう。

 11月には、厚労省OBが連続して襲撃される事件も起りました。色々と不可解な点も多い事件でしたが、容疑者は「官僚は悪いやつらなので襲ってやろうと思った」と供述していたそうです。ヘイトクライムだな、と私は書きました(参考)。無条件に悪い奴ら、とにかく打倒すべき対象として、それを破壊することで望まれているものとして「官」が位置づけられた結果です。そこで紛れもなく橋下はヘイトクライムを煽っている「加害者」であり、今後このような事件が起る度に責任を問われるべきものですが、今回の発言が何事もなく受け容れられているようでは、先行きは期待できませんね。

 

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ありがたくない申し出

2008-12-20 21:50:22 | ニュース

大分県で「就農」推進の動き 離職者よ職は農にあり 生産者 「受け入れ大歓迎」(西日本新聞)

 「かつて農村は雇用の調整弁だった」。大分キヤノンや東芝の非正規労働者が大量に解雇される大分県で、離職者に農場で働いてもらおうという動きが広がっている。人手不足に悩む県内の農業関係者は「職場を失った若者たちに農業の魅力を伝え、後継者に育てたい」と期待している。

(中略)

 同県杵築市の「おおいた中央柑橘(かんきつ)園芸連」も選果場の補助員約20人を雇う用意がある。藤原洋三・果実部長は「長く働くことができる若い人は絶対に必要」と離職者の受け入れを歓迎。ただし「冷暖房もない環境で、賃金も決して高くない」と楽観はしていない。

 同市には後継者不足から耕作放棄されたミカン畑が多い。ミカン農家の50代男性は「離職しても畑に働き口がある。ミカンをやると決心すれば、農家の仲間で支えたい」とエールを送る。

 大分キヤノンのある同県国東市に隣接する豊後高田市には近年、自動車関連企業の進出が相次いだ。同市の北崎農園は、七草の選別などを行う作業員20‐30人を募集。北崎安行代表は「これまでは若者を製造業にとられていた。農業に心の充足を感じる若者が増える機会になれば」と期待を込める。

 元より選ぶ余地がなかったからこそ非正規で工場に勤めていた人が大半だと思いますが、クビを切られた人を農場で雇用しようという動きがあるようです。「パートタイマーと無職のどちらがいいか、ということ」そう語ったのはオリックスの宮内会長ですが、どうなんでしょうか、失業したまま社会保障も受けられず収入が途絶えるとなれば、今まで縁のなかった農業に目を向ける人も出てくるのでしょう。しかるに、曰く「冷暖房もない環境で、賃金も決して高くない」とか。

 そりゃ勿論、農業が「目的」の人はいいですよ、農業をやることそのものに「心の充足」を感じられる人なら、まぁやっていけるのではないでしょうか。しかし、あくまで目的は他にある、収入を得るための「手段」として仕事に携わっている人からしてみれば、工場に派遣されるのも農場の補助員として働くのも、あまり違いがないような気がします。むしろ「これまでは若者を製造業にとられていた」と言うからにはは、生活の糧を得る手段としての農業は、工場勤めよりも魅力のない――時間的、肉体的負担が大きく、収入が少ない、そして不安定な――仕事だと見なしても間違いではないはずです。

 都会暮らしですと、田舎暮らしや農村風景を美化しがち、変なノスタルジーが募りがちですが、実際に農業を身近に見ている人からすればどうなのでしょう。後継者不足で耕作放棄された畑が多いそうです。要するに地域の若い人にとって、職業としての農業の魅力は乏しい、農業を知っていれば農業ではなく他の仕事に付きたいと思わせるもの、それは否定できません。そんな地元の人がやりたがらないような仕事を、職を失って行き場のない人に差し出すというのも、考えようによっては残酷な話です。大分の農家の人に悪気はないと思いますが、希望を感じさせる話ではありませんね。

 で、もっとキツイ話はこちら。

「白木屋」「魚民」、失業者を正社員に 最大500人(朝日新聞)

 居酒屋「白木屋」「魚民」など1470店を全国展開するモンテローザは19日、来春までの間に、最大で500人を正社員として採用すると発表した。主に雇用調整で失業した人たちを対象とする考えで、「やる気のある人にきてもらいたい」と話す。

 年齢や経験は不問。居酒屋で接客や調理などを担当する将来の店長候補を求めている。単身者には寮も提供する。27日の神奈川県藤沢市を皮切りに、メーカーの工場などで雇用調整のあった地域を中心に説明会を開き、面接をして順次、採用を決める。

 一見すると、失業者を救済しようとする試み、非正規労働者の正規化に努める試みに見えるかも知れません。しかし、外食産業と言えば超長時間労働で有名です。しかも店長候補ですよ、これを「抜擢」などと取り違えてはいけません。飲食店の店長と言えばマクドナルドでもおなじみの「名ばかり店長」、店舗で唯一人の社員として全責任を負わされるが権限はなく、開店から閉店まで365日働きづめ、しかし管理職扱いなので残業手当は出ないため、1時間当りの給与はバイト以下というのが当たり前の世界です。同じ時間を働くなら、期間工の方がずっとマシです。以前、せっかく手に入れた正社員の座を守ろうと、バイト以下の給与で必死に働いた青年の例を取り上げましたが、これも外食産業の話でした。次に過労死のニュースが流れたら、どの業界かにも注目してみましょう。

 もちろん、一口に外食産業と言ってもピンからキリまであるわけです。激務薄給の名ばかり店長もいれば、本部に搾取されるだけの個人請負型店長もいる、そして中には、ちゃんとした労務管理の下、他業界と同等の賃金を受け取れる会社もあるでしょう。ただ、外食産業に異常な長時間勤務が目立つだけであって、全てがそうではないわけです。ですが……このモンテローザという会社、外食産業業界のみならず、あらゆる業種の中でも、最も待遇が悪いブラック企業として有名なんですが……

 巷の噂をどこまで信用したものかはわかりませんが、中途採用に熱心な会社には、ちょっと注意した方がいいと思います。たしかに新卒至上主義は日本の悪習ですが、年に1回の採用で機能する会社とはすなわち、社員が1年やそこらでは辞めないからこそ、決まった時期の採用だけで十分なのです。逆に社員が3ヶ月も保たずに次々と辞めていくような会社は、こまめに社員を補充しないと業務が回らない、4月の一括採用だけでは対応できない、だからこそ逐次採用、中途採用が必要になってくるわけです。ともすると中途採用に熱心な企業ほど、柔軟で落伍者にもチャンスを与えているかに見えますが、実は頑なに新卒至上主義を貫いている企業の方が労務管理が行き届いていることを無視するわけにはいきません。

 あまりの待遇の悪さに社員が次々と逃げ出していくような会社は、当然、欠員補充の必要に迫られます。4月に新規卒業者が入社してくるのを待つ余裕はありません。絶えずギリギリの人数で回しているわけですから! そこでモンテローザはどうなのでしょうか? 私の場合、正社員に登用すると言われても今より給料が下がるようであれば派遣社員として止まる方を選びたいのですが(参考)、モンテローザの発表は失業者からどう受け止められているのでしょうか? 無職で収入0よりは……という思いはあるかも知れませんが、生命の危機にさらされかねない激務と、派遣社員以下の時間当り給与、工場勤務の方がマシだったと思う人も出てくると思います。とはいえ失業者に選ぶ余地はない、社会保障が機能していない以上、どんな仕事でも飛びつかざるを得ないのが日本です。自分を安く売ることを、失業者に迫る社会ですから。

 

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極左党公約

2008-12-19 23:59:59 | 文芸欄

公約6

・著作物の在庫にかかる税金を廃止します

 

・老人党と同じバーチャル政党なので立候補はしません
・極左党代表代行:管理人(かん・まさと)と民主党代表代行の菅直人は無関係です
・自称中道と違って堂々と左に立つので暫定的に極左党ですが、
 他に良さそうなネーミングがあったら別の名前にしようと思います

 

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日本的欺瞞

2008-12-18 22:57:45 | ニュース

倹約JAL社長、世界が注目 バス通勤や社員食堂利用(朝日新聞)

 販売不振にあえぎ、議会に資金援助を求めている米自動車大手「ビッグ3」首脳が破格の高給を取り、しかも議会に専用ジェットでやってきたことへの批判が国際的な話題となるなかで、バス通勤している日本航空(JAL)の西松遥社長(60)の「倹約ぶり」が海外メディアで注目を浴びている。

 きっかけは、11月に米CNNが放送した東京発のリポート。経営再建に取り組む西松社長が都営バスで通勤したり社員食堂に並んだりする映像とともに、07年度に自らの年収を960万円に減額したことなどを紹介。世界有数の航空会社の最高経営責任者(CEO)として「異例」とし、「同年代の早期退職者と痛みを分かち合う必要がある」という本人の言葉も伝えた。

 経営不振なのにCEOが巨額の報酬を得ている米国流との違いを強調する内容だっただけに、放送後、東京のJAL本社には「感激した」「米企業も見習うべきだ」「私のニューヒーローだ」といった米国からのメールに加え、カナダやオランダからも「努力に拍手」「経営者の手本」などの称賛の声が相次いだ。番組の映像がインターネット上にも転載されると、17万件以上のアクセスがあったサイトも出たという。

 予想外の大反響に西松社長は「社員と痛みを共有するのは当然。このように取り上げられ、戸惑っています」とコメント。JAL広報部は「日本の経営トップの感覚としては、さほど特別な取り組みではないとの認識です。文化の違いでしょうか」と話している。

 これ、安倍晋三も似たようなことをやっていましたよね。皆様、覚えていらっしゃるでしょうか? 安倍元総理が就任後、最初期に打ち出したのが自身の報酬の減額でした。自民党支持層はこの安倍元総理の決断を讃えたものですが、安倍氏は「ニューヒーロー」「政治家の手本」になれたと思いますか? 安倍氏の場合はあくまで父祖の代から積み上げた地位から収入を得ているのであって、議員報酬などあってもなくても構わないような立場ですから、別に自分の懐を痛めたわけではないのでしょうけれど、ともあれ自身の報酬を減額してみせることで、世論の支持を集めようとする人はいくらでもいるわけです。この点ではJALの社長が言う「日本の経営トップの感覚としては、さほど特別な取り組みではない」とは、事実認識としては正しいものです。

 ただ、天文学的な報酬を受け取るアメリカのCEOならいざしらず、日本の雇われ社長の給料は、そんなに高くありません。オーナー経営者ならば役員報酬以外のところから金を吸い上げますが、雇われ社長は、そこまで巨額の報酬を得ているわけでもないのです。たしかに、戦後最長の景気拡幅の中で労働者の給与所得平均は一貫して下がり続けた、それに反して役員報酬は鰻登りでした。私が一生働いても得られないような金額を1年で受け取る人も、ある程度はいるはずです。ただそれでも、雇われ社長の給与を減らす程度で会社の経営に影響を与えられるほどの水準には、幸いにして到達していません。社長の給与を減らして経営が変わるのは、社員3人の零細企業とか、むしろ小さい会社の方です。

 じゃぁ、何のためでしょうか。社長の給料を削って、何がしたいのでしょうか? 経営上は無意味でも、意識は変えられるということなのかも知れません。アメリカのようにトップが天文学的な報酬を受け取っているとなると、経営不振に陥った際は当然、激しい非難が巻き起こります。しかしトップが自らの報酬を減額しているとなると、途端に美談へとすり替えられます。トップも苦しい思いをしているのだ、今の経営状態は芳しくないが、それはやむを得ないことだ、トップもできる限りのことをしているのだ、と途端に経営側に同情的な世論が巻き起こるわけです。こうなれば、経営側は勝ちですよね。雇われ社長個人はちょっと痛いかも知れませんが、経営側という陣営は確実に守られます。

 あるいは、社長自ら報酬を引き下げているのだから、社員もそれに続け、という風潮を作ろうとしているのかも知れません。立場の弱い従業員だけが給与カットや契約打ち切りなどの憂き目に遭うとなると、雇用側が加害者、労働者側が被害者と、構図が鮮明になります。しかし、下っ端だけではなく経営トップ自身も報酬が引き下げられたとなると、「痛み」を被ったのは下だけではなく上も、労働者だけではなく経営層も、と相対化されます。労働側の「被害」には何の変化ももたらしませんが、経営側も「被害」を受けたとなると、あたかも加害者はどこにもいない、労働者側の「痛み」は致し方のないことと正当化されるでしょう。苦しいのは社長も同じだよ、とアピールすることで。

 例えばそう、どこぞやの王様が遠征に出かけたとして、途中で深刻な兵糧不足に陥ったしまったとしましょう。兵隊達は食べるものがなくなりました。そこで王様は、自分の食料を兵士に分け与えることにしました、何と心優しい、部下思いの王様でしょう……というのが、このJALの社長のパターンです。もちろん、この王様は無能です。有能な王様は、ちゃんと必要な兵糧を事前に計算し、不足しないように十分な良を確保してから遠征に出かけるものです。部下に自分の食事を分け与える必要などありません、最初から兵士を餓えさせなければいいだけの話です。

 ……で、社長も総理も知事も同じで、自身の報酬を減らすことで世間の歓心を買おうとする、美談の主になろうとするのは、まやかしであり、欺瞞です。トップの報酬額など、我々の生活には関係ありません。問われるべきは、労働者に適切な賃金を支払えるかどうか、それだけです。社員に十分な賃金を支払っているのなら、社長が懐を暖めていたって別に構わないのです。逆に、社員に痛みを強いるようであれば、社長がどんなに自己犠牲を払っていようと、その社長は非難されるべきです。良い社長とは、労働者に支払うべきものを支払える社長であり、献身的な社長のことではありません。

 

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有給を申請したら主任に睨まれたでござる の巻

2008-12-17 23:08:01 | 編集雑記・小ネタ

 皆さん、有給休暇を使っていますか? かつてソ連では「有給休暇が年間45日では足りない、年間72日に延長しろ!」とデモが起ったりもしたそうです。またシベリア送りにされた場合などは「僻地手当」として有給休暇が倍になる制度もあったらしく、年間60日の有給休暇が年120日になる、なんてこともあったらしいのですが、マジでしょうか。今ではエッセイストとして有名な米原万里さんが、ロシア語通訳協会の偉い人だった頃の著書に書いてありました。

 ただ、日数だけの問題ではありません。制度上は存在しても、利用できるかどうかが問題です。中には日雇い派遣社員を対象にした失業手当のように、日本全体でも数人しか受給できないような、実質的に紙の上でしか存在しない制度もあります。それに比べれば有給休暇はマシな方かも知れませんが、権利はあるのに利用できない、そんな人も多いですよね。

 忙しいから、という人もいるでしょうか。私の職場は、毎月中旬は暇です。月末月初に比べれば、仕事量は半分以下ですから、余裕で休めます。休めますが……主任から嫌な顔されるんですよね、わざわざ業務に影響のない日を選りすぐって有給を申請しているのに、休まれることが腹立たしくて仕方ないみたいです。

 ここで書いたのですが、数ヶ月前まで、私は有休を取らず、必死で働くフリをしていました。ただ有給が貯まってきて、このままでは繰り越し日数の上限に達してしまうわけです。それは嫌なので、毎月1回のペースで計画的に有給を消化し始めたのですが、これが不評なのですよ。繁忙期に休むならともかく、暇な時期を選んでいるのだからいいじゃねぇかと思うのですが、主任との関係が急速に悪化しています。でも(゜ε゜)キニシナイ!!

………

 日本で「ムダを省く」とか「効率化」と言った場合、ほぼ間違いなく「社員を限界まで使い切る」「社員の余裕を0にする」ことを指しますよね。働く人を使い尽くすこと、余力を残させない状態を、ムダのない効率的な状態と、そう見なしているわけです。逆に言えば、「社員がゆとりを持って働く」状態は無駄が多い、非効率的になります。社員に一息つく暇を与えているなら、その時間をもっと有効に使わせなきゃダメじゃないか、と。

 で、半年ほど前の私は、一日も休まず働くフリに努めていました。傍目から見れば、仕事に全力を注いでいる、ムダのない状態だったわけです。おかげで給料も上がりました(それでも年収300万円を超えません)。ところがこの数ヶ月、毎月のように有休を使っているわけです。すると周りが私を見る目が変わってきます。「余裕あるの?」「暇なの?」 実際のところは、有給前後には本気で働くことで余裕を作り出しているわけですが、会社人間からすればこの余裕が憎いらしい、余裕があるのに、その分を労働に充てないのは人件費の無駄遣いであり、カイゼンの対象だとでも思っているのでしょう。

 でも本当に無駄なく効率的に働いたら、仕事が終わるのも早くなって、むしろ余暇が生まれるわけです。じゃぁ、何かイレギュラーな事態が発生するまでお茶でもすすりながら待機していようとか、今の内に有休でも使っておこうとか、そういうことになるはずです。しかるに、こうして社員を遊ばせておくことを最大のムダ、非効率と見なすのが日本式のような気がします。そして「効率」を掲げながら、実際にやることは正反対、社員にできるだけ余裕を持たせないように職場をカイゼンしていくわけです。日本の労働生産性が低いのは、「ムダ」や「効率」を取り違えているところにも一因がありそうですね。

 

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麻生首相は何がしたいの?

2008-12-16 22:32:53 | ニュース

辞退するかは「人間の矜持」 「さもしい」発言で首相(共同通信)

 麻生太郎首相は15日の参院決算委員会で高額所得者が定額給付金を受け取るのは「さもしい」と発言したことについて「1億円も収入がある方はもらわないのが普通だ。人間の矜持の問題なのかもしれない」と自発的辞退が望ましいとの見解を示した。与党は定額給付金に所得制限を設けるか否かを市町村の判断にゆだね、総務省が高額所得者に辞退を呼び掛けることは可能とする案を示している。

 景気対策の基本は財政出動ですから、ちゃんとやれば定額給付にも効果は期待できます。しかし麻生首相の場合、何をやりたいのかよくわからない、場当たり的としか言いようのない代物に見えるのです。そして今度は、高額所得者が定額給付金を受け取るのは「さもしい」「1億円も収入がある方はもらわないのが普通だ。人間の矜持の問題なのかもしれない」だとか。相変わらず、意図がわかりません。先行きに不安を感じさせるばかりです。

 二転三転するばかりで本当に実行するつもりがあるのか甚だ怪しい定額給付金、当初は年収1500万円を境に給付を制限するプランがありました。それが1800万円になったり、1億円になったりと、相変わらずの右往左往ぶりです。これでは我々も、何を基準に考えていいのかわかりません。思いつきで行動するのはなく、もうちょっと計画性をもって政策を考えてくれと、そうも言いたくなりますね。

 で、「1億円も収入がある方はもらわないのが普通」だそうです。床屋か居酒屋で酔っぱらいが「感想」を述べているなら、まぁこんなものかも知れません。しかるに年収が1億を超えている人って、いったいどれだけいるのでしょうか? 公式の統計ではありませんが、2006年の段階で年収1億円超は9400人と聞いたことがあります。全人口の0.009%弱ですね。

 0.009%の増減など誤差の範囲です。1万分の1にすら満たない小さなもののために制度を動かすとなると、事務的なコストの方が遥かに高く付きます。仮に0.009%弱の高額所得者が挙って給付を辞退したとしても、財政に対する負担は変わりません。むしろこんな小さなもの、誤差のレベルに過ぎないもののために制度の運用を再検討するともなれば、それこそ時機を失するだけです。景気対策は迅速さも大事ですから。

 今回、麻生首相は「1億円も収入がある方」と具体的な金額を基準とした上で「人間の矜持の問題」と語っています。ただ、この「1億円~」が「十分な収入がある(と思われている)人」「恵まれている(と思われている)人」にすり替えられる可能性もあります。麻生首相が「給付金など必要のない人」の例を考えたときに、パッと思いついたのが「1億円~」だったわけですが、別のものが想起される可能性もあるわけです。たとえば、大半の国民の頭の中では、民間よりも遥かに高給と信じられている公務員などがそう、公務員が定額給付金を受け取ろうとすると「さもしい」「人間としての矜恃が疑われる」と、後ろ指を指されることも考えられます。そして、こうした風潮を煽っているのが当の定額給付金の発案者であるなら、いつもながらに支離滅裂です。本当に定額給付金をばらまいて消費を促したいのか、それとも定額給付金を出し渋って財政支出を抑えたいのか、どっちが麻生首相の「やりたいこと」なのでしょうか。あるいは定額給付金の受給を巡って「さもしい」云々と国民同志でも非難しあうのを望んでいるのでしょうか。とにかく、麻生首相のビジョンが見えません。先行きへの不安が消えないのも当然です。

 

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微妙な見出し

2008-12-15 23:09:20 | ニュース

正社員賃上げ原資、非正規に回せ 全国ユニオン春闘方針(朝日新聞)

 連合傘下で、非正社員らが個人でも加入できる労働組合の全国組織「全国コミュニティ・ユニオン連合会」(全国ユニオン=組合員数約3300人)が13日、09年の春闘方針をまとめた。相次ぐ「派遣切り」など非正社員の人員削減に対抗するため、正社員と非正社員の共生を目指す「緊急ワークシェアリング」を掲げ、「正社員の賃上げ原資を非正社員の雇用確保に充当する」ことを求めていく。

 この日、都内で開かれた春闘セミナーで、鴨桃代会長は「正社員、非正社員がともに『生きる、働く』を求める春闘にしよう」と呼びかけた。

 春闘方針では「賃上げ原資3%相当額の確保」を企業側に求めた上で、その原資を非正社員の雇用確保に充てるとした。具体策として、業務の減少に対して、政府の雇用調整助成金などを活用して休業補償をきちんとした上で正社員を一時的に休ませ、その間は非正社員が働くという形のワークシェアリングを提案。契約解除や解雇と同時に住居を失いかねない非正社員の雇用を守るためという。

 本文を最後まで読めば、相応に筋の通ったことを述べているのがわかりますが、見出しだけだと誤解を招きそうな記事ですね。曰く「正社員賃上げ原資、非正規に回せ」だとか。

 ある会社の人件費を除いた利益を100として、Aさんが30、Bさんが30、会社が40くらいの取り分だったとしましょう。これを10年ほど前のモデルとします。さて、戦後最長の景気回復を経て、どう変化したでしょうか? 利益は120に増大、Aさんの取り分は引き続き30、Bさんはリストラされて、代わりに入社した派遣社員のCさんの取り分は20、会社が70と、極々単純化すれば、こんな風に変化しました。

 ここでCさんの低賃金が問題になります。最初は「Cさんの自己責任だ」と、Cさんを非難する論調が支配的でした。しかし、Cさんのような境遇の人が増えるにつれ、そうも言っていられなくなります。では次の手は? ここでAさんとCさんの給与格差がクローズアップされ、「Cさんの給与が低いまま据え置かれているのは、Aさんが既得権益を手放さないからだ」と、今度はAさんに責任を擦り付けようとする傾向が強められてきました。

 さて、外需頼みの日本産業、海外景気の失速を受けて、会社の利益も120から100に戻ってしまったのが今日です。そこで、減少した「20」を埋め合わせようと、派遣社員のCさんを雇い止めにしようとしている……あくまで、極端に単純化した話ですが、大雑把にはこんなものでしょう。

 で、非正規雇用の待遇が悪いのは正社員の既得権益のせいだと、財界筋は偽ろうとしてきました。正社員の待遇を切り下げることが、非正規雇用の待遇改善に繋がると、そう騙るわけです。既に正社員の待遇が悪化を続けている以上、御用学者の理論が正しいなら非正規雇用の待遇がその分だけ改善していなければならないはずですが、勿論、そんなことはありません。ちょっとでも学習能力があるなら、すぐにわかることです。ただ、嘘も100回言えば真実になる……訳ではないにせよ、メディアも財界に同調することで、あたかも真実であるかのように見せかけられようともしているわけです。

 で、「正社員賃上げ原資、非正規に回せ」だそうです。この見出しではあたかも、非正規雇用中心の労組が財界や御用学者の主張するところに従って、会社の取り分は聖域として手を出さず、代わりに隣の正社員に八つ当たりを始めたかのような印象を与えてしまいます。私が日頃から、そういう事態を懸念していたが故に、過敏になってしまっただけかも知れませんが、新聞記者の意図はどうなんでしょう。あくまで今回は、原資を雇用側に求めるわけで普通の路線、正統派路線です。賃上げの代わりに休暇が増えるなら、正社員にも悪い話ではありませんし。賃金が増えなくても労働時間が減れば実質的な賃上げですし、元が働き過ぎの人も多いですから。まぁ正社員でも時給に直すとバイト以下で、残業代で稼がないと生活が成り立たない、なんてブラックなところもありますけど……そう言うところには労組など元から存在し……

 

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同じて和せず

2008-12-14 22:58:05 | 非国民通信社社説

 例えば佐藤優とか赤木智弘とか、妙な持ち上げ方をされる人がいます。普段は二枚舌の排外主義者には批判的なのに佐藤優のことはヨイショしたり、財界筋の御用学者には全く反対の立場なのに、その劣化コピーみたいな赤木智弘には好意的だったり、明らかに矛盾した評価を受けている人がいるわけです。

 主張の当否よりも、何より立ち位置を問う人もいます。どんなに欺瞞に満ちていようが支離滅裂であろうが、まず「自分と同じ陣営に属しているか」を基準にして、その人が評価されるケースもあるわけです。例えば同じ反自公政権の「同志」なら、その主張するところが自公政権の政策と似たようなものであっても同志ですし、自称にせよ作られた評価であるにせよ、「労働者側」として扱われている人なら、その説くところが財界の論理の引き写しであっても、やはり同志なのでしょう。

 国籍法改正を巡る一連の騒動では、城内実が他の議員経験者に先駆けてレイシズム剥き出しの見解を表明して一躍名を挙げました(参考にはなりません)。元より城内実と言えばチャンネル桜の出演者として排外主義、修正主義的な態度を鮮明にしていたわけで、今さらながらの感もないでもありません。ただこの城内氏、郵政民営化には反対票を投じた挙句、「刺客」を送り込まれて自民党を追われた経緯もあり、彼を反自公政権サイドに属する「同志」と目している人も少なからずいるのです。日頃からヘイトスピーチに励んでいる人が城内実を支持するなら自然なことですが、しかるに、基本的には逆の立場の人にも城内支持者がいるものでして、これはどうしたものかな、と。

 陣営を同じくすることを最優先してしまうと、その主張への批判は当然、鈍ります。自陣営内での対立は避けたい、分裂は避けたい、しかし相互の意見には埋められない溝がある、そんな時どうするのでしょうか? 往々にして、問題から目を背ける道が選ばれます。反自公政権の「同志」が排外主義を振りかざしても、その排外主義には触れないでおくことで、反自公政権陣営の擬似的な、全く以て疑似でしかない「連帯」を壊さないことを選ぶ人もいるわけです。その人自身はレイシストではなくとも、「連帯」を壊さないためにヘイトスピーチを批判できなくなる、退けることが出来なくなる、そうしてレイシズムや歴史修正主義、先軍主義を受け容れるようになっていく、そんなケースもあります。

 「自分と同じ陣営に属しているか」を最優先する他には、どのようなパターンが考えられるでしょうか。「異なった意見をも尊重する自分に酔いしれている」ケースもありますね。自称中道の人によく見られるケースですが、自称サヨクにも、この手の人がいないわけではないようです。このパターンでは、自らの判断を積極的に放棄します。一種の責任放棄でしかないのですが、自身で判断する代わりに、「どっちの意見もアリ」と、相異なる意見を持ち上げるわけです。

 ともすると、「異なる意見を尊重する」ことは尊敬に値する態度に見えがちです。ただ、「見解の相違」と「明白な誤り」は区別されてしかるべきでしょう。例えば「阪神が最高だ」「読売が最高だ」と、こうした相違であれば両者を尊重することに何の問題もありません。しかし「2+2=4」と「2+2=6」、このように主張が別れた場合、両者を尊重することはどうなのでしょうか? 「自分は2+2=4だと思うけれど、2+2=6だとする人の主張も考慮しなければならない」などと言い出したら、それは単なるウケ狙いか、さもなくば知性に対して不誠実であるとしかとれません。それが考慮するに値するものなのか、全くのデマにすぎないのか、問い続けることを最初から諦めているだけです。

 あるいは、勢いのあるところに媚びたい、手っ取り早く自分の見方を増やしたい、そういう思惑から動く人もいるでしょうか。排外主義ブロガーから共闘を持ちかけられて舞い上がっている(元)左派ブロガーなんかも頭に浮かびますが、最近では田中康夫や川田龍平が典型的な例になりそうです。ある意味で国籍法改正はリトマス試験紙の役割を果たした――成立前夜までは自民党閣僚はおろか産経新聞ですら法案に何の疑問も感じなかった当たり障りのない代物でありながら、法案とは無関係な理由で反対運動が盛り上がり、結果として「デマを無視するか/デマに屈するか」、政治家の資質を問う結果になった――わけですが、そこで反応した、ネット上の妄言に付き合いだしたのが田中康夫や国民新党です。あの麻生首相でさえ、対馬問題に引き続きこの国籍法改正案でもネット上及び産経新聞紙上の妄言は無視しているだけに、ここでウヨに媚びておけば自民党に先んじることができるとでも思ったのでしょうか。

多文化・多民族・多国籍社会で「人として」-「人身売買促進法」説と「ドイツの法改正が他山の石になっとらん」説に関する参院法務委員会質疑。小沢代表の怪しい約束

村野瀬玲奈の秘書課広報室-国籍法改正の趣旨を理解せず反対の理由だけを探す態度はいただけないと思います。
その1 その2 その3

 国籍法改正の当否については、まぁ父親が認知しなければ無効という点で不十分と思わないでもないですが、ここでは問いません。とりあえず参考になるサイトもたくさんありますので、付き合いのあるところを紹介するに留めます。問題は、今回の改正案とはほぼ無関係な理由で、国籍法改正に反対している人々と、そうした人々の「デマ」に付き合おうとする人々が現れたことです。上述の田中康夫がそう、法案ではなく、ネット上の妄言に基づいて問題提起する人が国会議員の中にさえ現れたことが問題なのです。幸いにして国会では一蹴されたようですが、国民新党などは田中康夫に同調したのか妄言路線に転向、今後に大きな不安を残しています。

 一部のレイシストが騒いでいるだけなら、まぁ致し方ありません。どこの国でもそういう人はいます。問題はそうした人々が影響力を持つかどうか、持たせているかどうかです。「被害妄想に付き合うつもりはない」とキッパリ退けられている間は、レイシズムも修正主義も思想/信条の自由のうちですが、しかるにこれを国会議員や大手メディアが取り上げるとなると、事態は深刻化します。責任ある立場から発信されることで、根拠のない妄言ですら、あたかも実在する危険性であるかのように思われてしまう、それが「国民の目線」になってしまう虞があるのです。

 レイシズムや歴史修正主義以上に、そうした言説を受け容れがちな社会にこそ危うさが感じられます。退けるべきものを退けられない、批判すべきものを批判できない、そうなったときこそ危機なのです。なるほど、確かに今の自公政権は国民の首を絞める、それに立ち向かうためには、意見の対立を乗り越えて共闘しなくてはいけない、ごもっともです。しかし、退けるべきもの、批判すべきものから目を背けた「共闘」の結果はどうなるのでしょうか?

 批判すべきものには目をつぶって共闘を訴える、私は馴れ合いと呼んでいますが、この馴れ合いの結果として到達するであろうものを考えてください。口には生活者重視、だけど「既得権益者」と一方的に認定した相手の権利は真っ向から否定、「国民のために」と言いつつ、その「国民」の範囲は著しく狭く「日本人」を認めた人の保護を訴える分、「日本人」とは認められなかった人を排斥する意図を隠さない、まさに国家社会主義日本労働者党ですね。この「共闘」の参加者の中には人権重視、差別反対の人もいるかも知れませんが、しかし共闘の枠組みを壊さないために「同志」への批判はタブー視し、結果として人権抑圧、排外主義路線を存続させるのに協力するとなったらどうでしょう? こうした「馴れ合い」の中にはファシズムの萌芽があります。

 

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派遣会社はどこに消えた?

2008-12-13 22:27:59 | ニュース

トヨタ系部品メーカー、派遣9割を削減 トヨタ紡織九州(朝日新聞)

 トヨタ自動車系の部品メーカー、トヨタ紡織九州(佐賀県神埼市)が来年3月までに派遣社員の9割に当たる約100人を削減することが分かった。10月から順次、契約期間が終わった人について契約を打ち切っている。

 「100人」というと大したことがないようにも見えますが、「9割」と書かれると大事に感じられますね。まぁ、この会社だけに限ったことではありません。新卒なら内定の取り消し、正社員なら早期退職の強要と色々ある中で、とりわけ目立つのがこの派遣契約の打ち切りです。

マツダも大半が雇用打ち切り(中国新聞)

 景気悪化を受け、派遣社員や期間従業員など非正規労働者に寒風が吹き付けている。大手製造業を中心に人員削減が中国地方でも本格化。マツダ本社宇品工場(広島市南区)では5日、派遣社員約800人の大半の雇用が打ち切られた。再就職や住居、家族の将来…。さまざまな不安を抱え年末を迎える。さらなる減産や景気後退も懸念され、地域経済の足元が揺らいでいる。

 午後5時すぎのマツダの宇品工場西門。家路を急ぐ人波が続く。一部はもう戻ることのない派遣社員。九州出身の40歳代男性は「3年働いた。今日が最後だと思うと寂しい」と何度も後ろを振り返った。派遣会社の寮住まいで次の住居は未定。「この年齢では職探しも難しい」とつぶやいた。

 来年3月までに、シャープ福山工場(福山市)や三菱自動車水島製作所(倉敷市)など大手が次々と非正規労働者の雇用打ち切りを計画。その数は中国地方で約4600人に上り、さらに拡大する恐れもある。

 好景気では高操業を支えた一方、減退期では「調整弁」としてカットされる悲哀が、派遣社員など非正規労働者に押し寄せる。

 会社の規模相応に問題も大きいということでトヨタの名前が挙がることも多いですが、それに劣らずマツダの名前をよく見かける気がしますね。しかし日本の自動車産業のライバルであるアメリカのビッグ3は瀕死状態、競合他社が経営破綻の危機ならシェア拡大のチャンスだと、プラス思考で考える企業が出てきてもよさそうなものです。とくに、通期ならバッチリ黒字を確保しているトヨタなどは。

 それはさておき、派遣切りが深刻です。深刻ですが、「派遣先」企業の名前が挙がるばかりで「派遣元」の名前が挙がってこないのが不思議です。就業先企業と労働者だけの問題ではなく、派遣会社も関与しているはずの問題なのですが、不思議と派遣会社の姿が見えません。トヨタやマツダと違って、名前を挙げられても誰もピンと来ないようなマイナーな会社だからでしょうか? それとも「専ら派遣」、すなわち直接雇用を回避するためにグループ内に派遣会社を作って、いざというときに切り捨てられるよう籍は派遣会社に置かせるが、実質は直接雇用するものだからでしょうか? いずれにせよ派遣社員が契約を打ち切られたからには、派遣先企業と派遣元企業の契約も破談になっているわけで、ならば契約を打ち切られた派遣元企業はどうなっているのでしょうか?

 カンバン方式――普段は下請けに在庫を持たせておき、トヨタが必要になったときに必要な分だけトヨタに納入させることで、トヨタが在庫を抱えずに済む方式――は、なにも部品在庫に限ったことだけではありません。下請け企業を派遣会社に、部品を人間に置き換えてください。普段は下請け企業=派遣会社が部品在庫=労働者を用意しておき、トヨタが要求したときにそれを供給する、そしてトヨタは余分な在庫=余剰人員を持たない、完璧なカンバン方式です。部品在庫を保有していれば倉庫代と税金がかかりますが、派遣社員を登録しておくのはタダ、という点に違いがありますが。

 派遣会社側の抗議がないのがおかしい、とも思います。派遣社員が契約を打ち切られてしまったら、収入を失うのは派遣社員だけではありません。派遣会社だってそうです。派遣会社には、派遣会社の利益を確保するためにこそ、契約の延長を派遣先企業に求めてもよさそうなものでしょう? しかるに、そんな動きがほとんど見えてきません。我々の社会の注目度が低いからでしょうか? これがプロスポーツの代理人の世界だったら、話は違います。代理人は契約選手の年俸の何%かを自らの報酬とするわけで、選手の年俸が上がれば代理人の取り分も増える、だからこそ貪欲な代理人は選手の年俸をつり上げ、有利な契約を結べるよう奔走します。しかし派遣会社の姿は見えてきません。

 正社員は手厚く保護されているが、派遣社員は~という見方もありますが、それ以上に問題なのは、派遣社員を保護すべき制度の大半が形骸化しており、ほとんど守られていないことにあります。例えば、派遣社員の事前面接は禁止されていますが、この禁止を守る会社などどこにもありません。本来であれば、派遣先企業と派遣元企業が契約を結び、派遣元企業と派遣社員が契約を結ぶわけで、面接の必要があるのは派遣先と派遣元企業の担当者、及び派遣会社と派遣社員の間だけです。派遣社員を選ぶのは派遣会社であって、派遣先企業ではないわけです。ですが、ここでも派遣会社は姿を消し、派遣先企業が面接して当否を決めるのが常です。そしてクビキリもまた同様、派遣会社は姿を消しているかのようです。派遣制度の在り方もさることながら、日本式派遣会社の在り方もまた再考される必要がありそうな気がしますね。

 

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極左党公約

2008-12-12 23:29:31 | 文芸欄

公約5

・極左党は経済的な豊かさを約束します

 精神的な豊かさは、各自で何とかしてください

 

・老人党と同じバーチャル政党なので立候補はしません
・極左党代表代行:管理人(かん・まさと)と民主党代表代行の菅直人は無関係です
・自称中道と違って堂々と左に立つので暫定的に極左党ですが、
 他に良さそうなネーミングがあったら別の名前にしようと思います

 

 ←清くなくてもとりあえず1票を!

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