非国民通信

ノーモア・コイズミ

辞任だそうです

2009-05-11 22:54:20 | ニュース

民主・小沢代表が辞任表明=衆院選控え「挙党一致」配慮-後任決定、今週後半にも(時事通信)

 民主党の小沢一郎代表は11日夕、党本部で緊急に記者会見し、代表辞任を表明した。西松建設からの違法献金事件で自身の公設秘書が逮捕、起訴されたことで党内から辞任を求める声が出ており、代表にとどまれば政権交代が懸かる次期衆院選への影響は避けられないと判断した。後任は、2009年度補正予算案の衆院通過後の今週後半にも代表選で選出される見通し。いずれも代表経験者の岡田克也副代表や鳩山由紀夫幹事長らが取りざたされている。

 さて、小沢一郎が辞意を表明しました。何でも「党内から辞任を求める声が出ており」とのことです。氏が代表に止まり続けることで党内対立が顕在化することを懸念してのことでしょうか。聞くところによると、こうした党内の小沢批判者を指して「反党分子」などと呼んでいる民主党支持ブロガーもいるとか。以前、(旧世代型の)サヨク的なるものを受け継いでいるのは現代の左翼ではなく、反左翼、左翼嫌いの人々だと書きました(参考)。今どき左翼は「反党分子」なんて言葉は使いませんが(生きた化石はさておき)、民主党集中制を訴えてやまない反・共産党主義のブロガーは昔年の共産党用語の使用にも躊躇いがないようです。

 ……で、当ブログは道徳的潔癖主義と戦うブログですから「汚さ」には相対的に甘い、ある程度までは「カネ」の必要性も認識してきたがゆえに、政治のボランティア化を強行、賛美するような論調には批判を繰り返してきました(これとかこれとかこれとか)。だから私が小沢一郎の行為を「仕方がないこと」と語るなら筋は通ると思うのですが、しかるに小沢を「熱狂的に」擁護している人の少なくない部分は、この騒動以前までは(とりわけ金銭面での)清潔さを政治に求めてきた人々だとしたらどうでしょうか?

 もちろん、企業のカネに手綱を握られているような状況は好ましくない、将来的には金のかからない政治、企業献金とは無縁な政治が望ましいと思うわけですが、そういう立場を取るならば当然、小沢一郎に対しても批判的でなければならないはずです。歴史修正主義者が口にする「日本ばかりが非難されるのは~」宜しく「小沢ばかりが~」と相対化に走って事態を有耶無耶にしようとするなど論外です。筋を通すなら、小沢もまた批判しなければならない、しかるに日頃は自民党議員と財界との癒着に否定的でありながら、企業から「こっそり」金を受け取ったのが小沢だと知るや、途端に政治には金がかかる云々と政治献金容認へと宗旨替えする、こうした豹変ぶりを発揮する人には感心できませんね。

 小沢のいいところは、自分の政治的な「好み」を優先しないところでしょうか。小沢自身の政治的なポジションは多分に右寄りのタカ派路線、新自由主義よりでしょうけれど、そうした自身の信条よりも「政局」を優先する人ですから。そういう人は暴走の危険性が小さいと思います。サッカーに擬えると「自分の理想とするサッカーを目指す」監督、「どういうサッカーであれ結果的に勝利することを目指す」タイプがいます(前者がクライフやライカールト、後者がカペッロやモウリーニョ辺り?)。言うまでもなく小沢は後者のタイプ、自分の趣味に走るよりも選挙結果等を重視しますから、自己正当化のために政治を犠牲にするような無茶はしない、結果のためには自説を曲げることを厭わない、その点では「穏当な」部類に入るでしょう。それに比べると小沢の後任はどうなりますやら、「論外」の一人である鳩山は小沢と一緒に幹事長退任らしいですが……

 会見で小沢氏は「次期衆院選での必勝、政権交代の実現に向け、挙党一致の態勢をより強固にするために代表の職を辞することを決意した」と表明。同時に「政治資金の問題について、一点のやましいことはない」と述べ、離党や議員辞職は考えていないことも明らかにした。

 元より代表就任に前向きでなかった印象のある小沢氏です。たぶん彼の目指していたのは「キングメイカー」「派閥のボス」といったポジションで、今のような地位は必ずしも本意ではなかったのかもしれません。その成果、あっさり辞任を表明したわけですがこれが結果的にどうなるかは微妙なところです。

小沢代表続投「納得できない」71%に増加…読売世論調査(読売新聞)

 読売新聞社が8~10日に実施した電話方式の全国世論調査によると、民主党の小沢代表が公設秘書の起訴後も続投していることに「納得できない」という人は71%で、「納得できる」22%を大きく上回った。

 「納得できない」は前回調査(4月3~5日)の66%、起訴直後に行った前々回(3月25~26日)の68%を上回り、これまでで最高となった。民主支持層でも「納得できない」は56%(前回43%)に急増し、初めて過半数を占めた。世論の小沢氏への視線は厳しさを増しているようだ。

 小沢一郎/民主党を信奉するあまり頭がヒートアップしている人に言わせれば「マスゴミの捏造」なんだそうですが、ともあれ小沢続投には「納得できない」という声が圧倒的でした。「筋を通す」ことがウリの政党ならいざ知らず、「国民の支持がある=政権交代に近い」のがウリの民主党であるなら、こうした声を無碍に扱うわけにも行かないはずです。筋を通したいだけなら自己の正当性を主張し続けてもいいのでしょうけれど、それで票を失う、議席を減らすようでは民主党の「らしさ」が消えてしまいますから。議席の少ない民主党に何の価値が?と。

 しかし、辞任すれば支持が回復するのでしょうか。タガの緩みきった安倍内閣以降、自民党の閣僚が怒濤の勢いで不祥事を連発、毎月のように辞任劇が続いたわけですが、辞任で国民が「納得した」かというと、その結果は言うまでもありませんよね。むしろ支持率の回復は仮想敵国の暴走や対立政党の不祥事など、常に「敵失」によって得られてきたわけです。筋の通った説明ができるならまだしも、それができないなら「身を低くして機会を窺う」のが最善の手段になってしまうのかも知れません。

 

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コメント (2)
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