非国民通信

ノーモア・コイズミ

No future for you!

2008-10-04 22:12:23 | ニュース

個室ビデオ店放火 夢絶たれた節約生活(産経新聞)

 大阪・難波の個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」で起きた火災は、同種の店がホテル代わりに利用されている実態を浮き彫りにした。現場となった店は、終夜過ごしても1500円程度という業界でも屈指の低価格が売り。犠牲になった15人のうち、介護ヘルパーの舞野学さん(49)は、この店に泊まることで家賃を切り詰めて資格取得に励んでいたという。3日午後には舞野さんの葬儀が営まれ、同僚らは「きちんとした家を借りていれば…」と、志半ばで人生を終わらざるを得なかった無念さを思いやった。

 舞野さんが倒れていたのは店の最奥部にある32号室前の通路。ここがなぜ、舞野さんにとっての“最終地”になってしまったのか。

 舞野さんは、かつて代表を務めていたアクセサリーの卸会社が倒産。多額の債務を背負いながら、新たな人生を歩むためにヘルパー2級の資格を取り、2年前、浪速区内の訪問介護会社に再就職が決まった。「ケアマネジャーになる」という目標もあった。

 当時、舞野さんは市内の別の場所に住所地があったが、借金の取り立てに苦しめられた。舞野さんが家賃を切り詰めるために選んだのが、ネットカフェや個室店に寝泊まりする生活。その一つが職場に近いキャッツなんば店だった。

 とりあえずミソをつけたいのだろうな、という意図だけは理解できるものの、それ以外は何を言わんとしているのか理解に苦しむコメントが何件かあった後ですと、ちゃんと意味の通じる日本語が書ける分だけでも産経新聞がまともに見えてしまう今日この頃です。ただ駄々をこねているだけで何も語っていないようなコメントでは反論も何もありませんからね。

 それはさておき今回の個室ビデオ店の事件ですが、産経新聞が最も詳しいような気がします。関係者の私生活や内面に踏み込むような記述もちらほら、まぁ新聞が踏み込むべきでないところもあるとは思いますが、色々と考えるヒントにもなります。とりあえず見出しの「夢絶たれた」は違うんじゃね、とか。

 ここで取り上げられている舞野氏の来歴を見るに、今回の事件で夢を断たれたのではなく、既に夢を断たれていた結果としてそこに辿り着いていたような気もします。生き延びていたとしてもそこから先に明るい未来が待っていたとはとても思えないのですが、まぁそこは人それぞれでしょうか。ただ諸々の事件で命を絶たれる人がいて、その都度犠牲者の「失われた明るい未来」が語られるわけですが、そこにいつも違和感を感じるのです。そりゃ、生きていれば成功できたはず、と思いたいのはわかるのですが、そう都合良くことが進むわけもない、なんとなく事件が美談化され、焦点が曖昧にされているような気もしませんか?

個室ビデオ店火災 「人のいい常連ばかり」 犠牲者らの事情さまざま(産経新聞)

 心肺停止状態で救出され、意識不明になっている男性(47)は、朝7時から夕方まで定食屋、午後6時から11時過ぎまではキャバレーのホールスタッフとして働いていた。1日の労働時間は17時間前後。八尾市内に部屋を借りていたが、定食屋に近いキャッツなんば店を利用することが多かった。

 病院に見舞いに来たキャバレーの上司は「うちで働き始めてから5年半。無断欠勤は一度もなかった。事件当日は店に来ないので、まさかと思って警察に問い合わせた。彼はこちらが心配するぐらい一生懸命働いていた。なぜそんなに働くのかと聞くと、『高齢の両親の面倒をみるためお金が必要だから』と答えていた」と振り返った。

 しかし、実際には、男性は数年前に奈良県の実家を出たきり、音信不通だったという。

 人生色々ですが、まともな勤務実態もないのに民間企業から給料をもらっていた青年時代を経て総理大臣の座に上り詰める人もいれば、毎日17時間働いては個室ビデオ店で寝泊まりする、どうみてもノーフューチャーな人もいます。少なからぬ事情もあったのでしょうけれど、真面目に働くだけじゃどうにもならないことってありますよね?

個室ビデオ店放火 「報知機すぐ止まった」 客ら証言 誤作動と勘違い切る?(産経新聞)

 一方、現住建造物等放火と殺人などの疑いで逮捕された無職の小川和弘容疑者(46)が競馬やパチンコなどで多額の借金を抱え、数年前に離婚していたことが2日、分かった。

 浪速署捜査本部は同日、小川容疑者を大阪地検に送検。事件の約2週間前、知人に土下座して「1万円貸してください」と金を無心していたとの証言もあり、家庭崩壊や借金などで自暴自棄になり、衝動的に犯行に及んだ可能性があるとみて詳しい動機を追及する。司法解剖の結果、15人の死因はいずれも一酸化炭素中毒と判明した。

 調べや関係者によると、小川容疑者は約10年前まで大手電機メーカーに勤務し、妻と子供2人と暮らしていたが、離婚や体調悪化による退職などで生活が一変。退職金はギャンブルなどで使い果たし、借金を重ねていたらしい。

 で、こちらが容疑者のケース。全二者と同様、夢も希望もなさそうです。だからこそ自棄を起こしたとしか言いようがない犯行に至るのでしょうけれど。明日を生きる動機があればともかく、守るものも何もないなら歯止めは利きません。労働分配率が引き下げられ、社会保障が切り捨てられ続けている昨今ですが、その反面、凶悪犯罪の減少と反比例させるかのように治安関係は予算増、人員増が行われてきたわけです。しかしいくら罰する側を強化したところで、それは失うものを持たない人にとっては何の脅しにもなりません。

 ………

 しかしまぁ、ネットカフェ難民というと若者が多いイメージがありましたが、今回の事件は中高年の犠牲者が多いですね。偶々なんでしょうか、それとも全国で共通する傾向なのでしょうか。ホームレスや自殺者の統計を見れば、ノーフューチャーな中高年が多いことは頷けますが、ネットカフェと個室ビデオで年齢層が違ったりもするのでしょうか。中高年層を既得権益云々と呼んで、労使の問題を世代闘争にすり替えようとする輩も少なくない昨今ですが、どの世代にとっても生きづらい社会のようです。

 

 And when there's no future, How can there be sin?

コメント (9)
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