非国民通信

ノーモア・コイズミ

学生野球憲章?

2007-05-04 18:36:58 | ニュース

日本学生野球憲章に抵触、計373校に…高野連が発表(読売新聞)

 日本学生野球憲章で禁じられている野球部員の特待生制度について、加盟校延べ約4800校(軟式野球部約530校を含む)の実態調査を進めていた日本高校野球連盟(脇村春夫会長)は2日、加盟校からの申告を締め切り、同日午後6時までに実施校は44道府県の私立334校で、部員は7457人(判明分)が制度の適用を受けていたと発表した。

 発表後に東京都20校と茨城県10校など私立計39校が新たに申告、これで高知県を除く46都道府県で憲章に抵触する制度を設けていたことが判明した。

 日本高野連は2005年11月など2度にわたって禁止の通達を出していたが、問題が放置されてきた実態が浮き彫りになるとともに、今後、野球部の特待生制度禁止の是非が論議になりそうだ。

 高野連独自のローカルルールで特待生及びスポーツ奨学金が禁止されていて、それが守られていなかったとして問題になっています。これにより7500人の高校球児が試合出場禁止処分の対象になるとか。特待生を禁止しているのは今や高野連だけ、合理的な理由もなく特待生の禁止を強要できる権利があるのか、学校や学生側の自由への侵害ではないのか、そういう風に考えることも出来ます。

 前にも少し書きましたが、私は野球界には競争原理が持ち込まれるべきだと思っています。競争を廃したドラフトによる選手獲得、新規参入を原則として拒否して既得権益を維持し続ける談合体質、民間企業ではとうてい許されない放漫経営の球団に対する利益供与、こういった行き過ぎた保護主義には、時に苛立ちを感じるときもあります。普通の人々が過剰な競争社会に放り込まれて疲弊して中で、野球界はひっそりと競争原理に背を向け続けているのです。

 そもそも、事の発端は選手獲得を巡る裏金問題でした。この問題から火が拡がってそれが今日の高校生の野球特待生問題に至るわけですが、普通の人を巻き込むのならいざ知らず、トップアスリートの世界には自由競争の概念が許されてもよさそうなものです。優秀な人材を確保するために手を尽くすのは当たり前のこと、それが大幅に制限されているのは野球界ぐらいです。何万人もの野球少年達の頂点に立つ逸材を獲得するのに、それに見合った対価を払うのは当然のことにも見えますが、それでは不公平、不正だというのが野球界の論理、徹底して機会の平等にしがみつくその姿勢は、むしろ野球ファンに向けてではなく政府与党に向けてアピールして欲しいと感じるほどです。

 もう一つ、意識して欲しいのはアマチュアリズムの持つ独善性です。金に塗れた商業主義は汚い、スポーツはアマチュアリズムに則り、マネーゲームとは距離を置く、そう言ってクリーンなイメージを作ることは出来ます。ただ、スポーツがビジネスに結びつく、スポーツが職業として成り立たないと、そのスポーツに従事できる人が大きく制限されてしまうことも忘れてはなりません。

 もしスポーツが一銭にもならないのであれば、当然プロスポーツ選手もいなくなります。もし働かなくても暮らせるだけの財産があるならば、一銭にもならないスポーツに生涯を捧げることも出来るでしょう。しかし、ほとんどの人はそうも行きません。生活のために、金にならないスポーツではなく、金になる仕事を選ばなければならず、例えどれほど才能があろうとも、スポーツに専念することは出来なくなります。

 もしオリンピックが完全に商業主義から切り離され、全く収入に結びつかないものになったとしたら、そこに出場する人はどうなるでしょうか? 一銭にもならないスポーツに専念できる、一握りの裕福な人だけの祭典となってしまうのではないでしょうか。野球も同じで、金銭面での支えがあってこそ野球に専念できる人の裾野が広がっているわけです。それは格差が拡大を続ける昨今ならなおさらです。貧しい家の子供でも、金銭的な負担を無視して私立の強豪校で野球が出来る環境を用意する、これは維持されるべきことではないでしょうか。金のある家の子だけがスポーツエリートとして強豪校を選べる、そんな世界にしてはなりません。

 

 ←何か感じていただけましたら是非

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