12月9日,朝から電通ホール(汐留)で開かれた日本マーケティング・サイエンス学会の第92回研究大会に参加。八島明朗先生(早大)の報告にコメントをし,自分の部会の活動報告をしたあと,澁谷覚先生(東北大)に研究報告をしていただいた。澁谷さんの JIMS デビューの瞬間だ。
澁谷さんは JIMS をアウェイと感じておられるようだが,この学会でも実験アプローチの研究は決して少数ではない。マーケティング・サイエンスで一世を風靡した(?)コンジョイント分析もまた実験といえる。行動経済学に刺激を受け,実験による研究は今後さらに増えるだろう。
午後のセッションでは,濱岡豊先生(慶應大),鶴見裕之先生(横国大)がそれぞれ Twitter データを用いた研究を報告された。データの収集や処理におけるパワーでは理工系の研究者に一日の長があるものの,いずれもマーケターらしい視点を入れた,手堅い分析であった。
坂本和子先生(京都工繊大)のデザイン嗜好の研究は,ぼくが JIMS で最も楽しみにしている発表の1つである。東アジアで行われてきた国際比較調査がフィンランド,オランダに拡大され,興味深い結果がさらに蓄積されているようだ。次回どんな結果が発表されるのか楽しみである。
旧知の研究者・実務家とお会いできるのもこの学会のうれしい点だが,しかし,だんだんそれを味わう機会が減りつつある。懇親会の参加者が大会参加者に比してかなり少ない。特に,この学会の中核を担っている中堅・シニアの方々が少ない。彼らと話したい若手には残念なのでは・・・。
発表の量や質が以前より低下しているというわけではない(多分)。しかし,少なからぬ発表者が発表だけして立ち去っている。研究大会は単なる顔見世興行でしかない。発表する人と聴講する人が以前に増して分化して互いの交流がない。こういう現象は他の学会でも見られるかもしれない。
しかし,ぼくが入会した四半世紀前の JIMS はそうでなかった気がする。もっと小規模だったが(いや,その故か)相互の交流があった。よく考えれば,あれは学会というより,ワークショップに近いものだったのではないか。この学会がこの規模のまま,当時に戻ることは難しいだろう。
JIMS は静かに衰退しつつある・・・と感じる(正確にいえば「あの頃の」JIMS と比べて,だが)。ただし,JIMS の原単位は部会にあり,どこかの部会に属して議論を戦わせようというのが元々の考え方だ。問題は,したがって,研究大会ではなく個々の部会の活動にあるのかもしれない。
部会がオープンで,研究者間の交流の場になっているのか。大会での発表権を獲得するためだけの手段になっていないか。そうした意味では,僭越ながら自分が主宰する部会は,本来の趣旨に沿った交流の場を提供しているのではないかと思う(学会員以外に開かれすぎているとしてもw)。
とはいえ同じメンバーで運営される部会はどうしてもタコツボ化する。部会よりは大きく,肥大化・ルーティン化した学会よりは小規模な,流動的で柔軟なワークショップが最適になる。SMWS は1つの試みだが,それに限らない。自分でもできることとして,ワークショップを構想しよう。
澁谷さんは JIMS をアウェイと感じておられるようだが,この学会でも実験アプローチの研究は決して少数ではない。マーケティング・サイエンスで一世を風靡した(?)コンジョイント分析もまた実験といえる。行動経済学に刺激を受け,実験による研究は今後さらに増えるだろう。
午後のセッションでは,濱岡豊先生(慶應大),鶴見裕之先生(横国大)がそれぞれ Twitter データを用いた研究を報告された。データの収集や処理におけるパワーでは理工系の研究者に一日の長があるものの,いずれもマーケターらしい視点を入れた,手堅い分析であった。
坂本和子先生(京都工繊大)のデザイン嗜好の研究は,ぼくが JIMS で最も楽しみにしている発表の1つである。東アジアで行われてきた国際比較調査がフィンランド,オランダに拡大され,興味深い結果がさらに蓄積されているようだ。次回どんな結果が発表されるのか楽しみである。
旧知の研究者・実務家とお会いできるのもこの学会のうれしい点だが,しかし,だんだんそれを味わう機会が減りつつある。懇親会の参加者が大会参加者に比してかなり少ない。特に,この学会の中核を担っている中堅・シニアの方々が少ない。彼らと話したい若手には残念なのでは・・・。
発表の量や質が以前より低下しているというわけではない(多分)。しかし,少なからぬ発表者が発表だけして立ち去っている。研究大会は単なる顔見世興行でしかない。発表する人と聴講する人が以前に増して分化して互いの交流がない。こういう現象は他の学会でも見られるかもしれない。
しかし,ぼくが入会した四半世紀前の JIMS はそうでなかった気がする。もっと小規模だったが(いや,その故か)相互の交流があった。よく考えれば,あれは学会というより,ワークショップに近いものだったのではないか。この学会がこの規模のまま,当時に戻ることは難しいだろう。
JIMS は静かに衰退しつつある・・・と感じる(正確にいえば「あの頃の」JIMS と比べて,だが)。ただし,JIMS の原単位は部会にあり,どこかの部会に属して議論を戦わせようというのが元々の考え方だ。問題は,したがって,研究大会ではなく個々の部会の活動にあるのかもしれない。
部会がオープンで,研究者間の交流の場になっているのか。大会での発表権を獲得するためだけの手段になっていないか。そうした意味では,僭越ながら自分が主宰する部会は,本来の趣旨に沿った交流の場を提供しているのではないかと思う(学会員以外に開かれすぎているとしてもw)。
とはいえ同じメンバーで運営される部会はどうしてもタコツボ化する。部会よりは大きく,肥大化・ルーティン化した学会よりは小規模な,流動的で柔軟なワークショップが最適になる。SMWS は1つの試みだが,それに限らない。自分でもできることとして,ワークショップを構想しよう。