Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

SMWS2012Fall@松島

2012-11-19 08:54:29 | Weblog
一週間遅れになるが,11月10~11日,松島で行われたソーシャルメディア研究ワークショップについて簡単に報告しておきたい。参加したのは,マーケティングの研究者と実務家を中心に,社会学,社会心理学,物理学,情報工学,政治分析など多岐にわたる。



報告のタイトルを列挙すると以下の通り(当日変更されたものもある)。

・ソーシャルメディアを観光ビジネスに生かす
・ブログ記事からの観光体験談の抽出
・Twitter影響力評価のビジネス課題
・Twitterにおける情報伝播力の推定
・医薬品の購買行動と「ピッタリ指数」-Web通販サイトにおける実証実験
・SNSを活用したブランド・プロモーション事例研究
・ソーシャルメディアで広告は可能か?~アフィリエイト広告の教訓
・言語処理とソーシャルメディア
・ブログデータを用いたニュース・ブームの統計的解析
・エージェントベースモデルを用いた人間の集団行動の理解
・ヒット現象の数理モデルによるソーシャルメディア上の話題性の強さの分析
・異質な他者のいるネットワーク
・政治報道とソーシャルメディア
・ソーシャルメディアの自浄作用
・ソーシャルメディアテキストを用いた「マーケティング道場」実験

これらを見るとテーマは非常に幅広く,研究対象がソーシャルメディアであること以上の共通点はないように見える。実際,このワークショップが始まったとき(昨年の冬のことである),ソーシャルメディアについてどんな研究があり得るのかがはっきりわかっていなかった。

参加者のうち多数派を形成するマーケティングの研究者・実務家にとって,物理学や工学における緻密な分析,また社会(心理)学における深い考察から学ぶ点は多いと思う。他方,マーケティング側の発表が,他分野の研究者にどんな価値のある情報・刺激を与えたかが気になる。

このワークショップは今回で3回目になる。このまま同じような運営を続けていくことがよいかを問い直してもいい時期かもしれない。たとえば共通に取り組むべきテーマを設定し,それを中心に企画するのはどうだろう? もちろん,多様性を維持していくことも重要ではある。

1年経つと,そもそもソーシャルメディアのあり方がどうなっているかわからない,という意見もある。本当に研究したいのはソーシャルメディア自体というより,それを使う人間の社会行動である。そう考えると,一時的現象の背後に潜む普遍性を見いだせるかどうかが鍵となる。

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