早稲田大学で開かれた関東学生マーケティング大会を聴講した。わがゼミに参加しないかという打診を受けたので,下見のためである。学生が運営しているということで,会場は多数のスーツ姿の学生で溢れていたが,教員の姿はほとんどない。教室の端っこで発表を聴いた。
参加しているのは首都圏の12大学18ゼミの約50のグループだ。1次審査でそれが9グループに絞られ,2次審査でさらに3グループになり,最終審査で順位がつけられる。1次審査は院生が行い,2次,最終審査では7人の企業人が中心になる。それ以前に論文審査もある。
二次審査と最終審査を聴いたが,その範囲ではどの発表も「問題意識→予備調査→既存研究のサーベイ→仮説の設定→質問紙調査→仮説検証(ほとんどが共分散構造分析を使用)→マーケティングプランの提案」という形式を踏んでいた。これがデファクトスタンダードなのだろうか。
細かい点では突っ込みどころ満載で,さすがに学会発表できる域には達していない。しかし,おそらく参加学生の大半は3年からマーケティングのゼミに入り,約半年しか経っていない。それを考えると驚くほど高いレベルだ。自分のゼミでどこまでできるか・・・いい刺激になった。
ただし,そうした方向性に,審査員となった日本を代表する企業のマーケターたちは多少違和感を感じていたかもしれない。最後の講評での「来年からは共分散構造分析は禁止したらどうかと他の審査員と話していた」というジョークが,それを端的に表していたように思う。
最初に閃いた現実的な問題意識を,消費者行動研究の文献から見つけた一般的な理論と対応させ,抽象的な構成概念に転化させる。測定変数を与え,パス図を描き,共分散構造分析にかける。こうした流れは「普遍的な」知識の獲得を目指す学術的研究としては間違っていない。
しかしその結果,ビビッドな問題意識があまりに一般的な,驚きのない命題に回収されるおそれがある。実務家たちはそこを残念だと感じたのだろう。この矛盾は,大学におけるマーケティングの研究・教育が抱える問題そのものでもある。難しいが,挑戦しがいのある課題といえよう。
ちなみに今回の最優秀賞は早稲田大学・守口剛ゼミのグループ,2位,3位はいずれも慶應義塾大学の清水聰ゼミのグループであった。学会でよくお目にかかる先生方だ。Congrat !
参加しているのは首都圏の12大学18ゼミの約50のグループだ。1次審査でそれが9グループに絞られ,2次審査でさらに3グループになり,最終審査で順位がつけられる。1次審査は院生が行い,2次,最終審査では7人の企業人が中心になる。それ以前に論文審査もある。
二次審査と最終審査を聴いたが,その範囲ではどの発表も「問題意識→予備調査→既存研究のサーベイ→仮説の設定→質問紙調査→仮説検証(ほとんどが共分散構造分析を使用)→マーケティングプランの提案」という形式を踏んでいた。これがデファクトスタンダードなのだろうか。
細かい点では突っ込みどころ満載で,さすがに学会発表できる域には達していない。しかし,おそらく参加学生の大半は3年からマーケティングのゼミに入り,約半年しか経っていない。それを考えると驚くほど高いレベルだ。自分のゼミでどこまでできるか・・・いい刺激になった。
ただし,そうした方向性に,審査員となった日本を代表する企業のマーケターたちは多少違和感を感じていたかもしれない。最後の講評での「来年からは共分散構造分析は禁止したらどうかと他の審査員と話していた」というジョークが,それを端的に表していたように思う。
最初に閃いた現実的な問題意識を,消費者行動研究の文献から見つけた一般的な理論と対応させ,抽象的な構成概念に転化させる。測定変数を与え,パス図を描き,共分散構造分析にかける。こうした流れは「普遍的な」知識の獲得を目指す学術的研究としては間違っていない。
しかしその結果,ビビッドな問題意識があまりに一般的な,驚きのない命題に回収されるおそれがある。実務家たちはそこを残念だと感じたのだろう。この矛盾は,大学におけるマーケティングの研究・教育が抱える問題そのものでもある。難しいが,挑戦しがいのある課題といえよう。
ちなみに今回の最優秀賞は早稲田大学・守口剛ゼミのグループ,2位,3位はいずれも慶應義塾大学の清水聰ゼミのグループであった。学会でよくお目にかかる先生方だ。Congrat !