Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

〈生〉への反省的想像力

2008-09-16 19:08:45 | Weblog
Life という英語に対応する日本語は「生命」「生活」「人生」・・・ 関連しつつも,かなり意味が違うものと日本人は考えている(はず・・・)。しかし,最近社会学者は Life をあえて分節化せず,「生」ということばで一括することによって,何かを見ようとしているようである。畏友・藤村正之の近著『〈生〉の社会学』は,まさにそれを試みた著作である。一定水準以上の本屋では平積みされていることが多く,「一般読者」を獲得するという意味でのメジャーデビューの気配である。
〈生〉の社会学
藤村 正之 
東京大学出版会 

このアイテムの詳細を見る

しかし,著者は筋金入りの社会学者なので,それなりの思考様式を共有しない読者には,すらすら読める本ではない。本書は「日常生活で反省的な想像力を働かせ」ることを主張する。これは,日々の〈生〉から目をそらし,自分にとっては「高尚」な目標を追い求めつつ,ふだんは日常の表層を刹那的に楽しんで生きるという,よくある凡庸な研究者の類型とは対極にある(つまり,ぼくとは対極の・・・)。

そんな比較は僭越だが,ぼくと著者の研究上の方法論はかなり違う。しかし「日常生活で反省的な想像力を働かせ」ることをは,ぼくにとっても重要だ。消費者行動のモデル化において,消費者が語ることばや,既成の理論の示唆をそのまま受け取ることはしない。コンピュータ・シミュレーションやデータ解析は,自分と世界の接点に潜む可能性に想像力を働かせることなしには成功しない。
コメント