Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

次はどんな「劇場」なのか

2008-09-01 23:58:58 | Weblog
福田首相辞任表明… 支持率が上昇しているという「新聞社」もいたのに,どうしたことかと一瞬思ったが,同じ日に民主党の小沢党首が独り代表選挙に出馬表明したことを考えると,理由ははっきりしているように思える。TVで田勢康弘氏がコメントしていたように,これはなかなかしたたかな計算に基づいた行動のようだ。

福田首相は会見で,次の総裁選について言及していた。民主党が無投票で小沢氏を党首に選ぶのと対照的に,何人もの候補が立ってド派手な総裁選を行えば連日報道され,国民の注目を集める。その勢いで総選挙で勝つことができれば民主党は分裂するか,大連立に応じるか,いずれにしろ衆参のねじれが解消される可能性が高まる。

柔道は相手の力を利用して勝つというが,今回の福田首相あるいは自民党の戦術はそれに近いと思う。小沢氏を無風状態で党首に選び,磐石の体勢で選挙に臨もうとしていた民主党の「攻め」が,これによって見事に返されてしまうかもしれない。女性を副大統領候補に選んだ共和党のマケイン氏の戦術も,相手の弱点を突く点では似ている。

だが,民主党へのあてつけで複数候補が争う自民党の総裁選が,誰にとってもみえみえの八百長試合になれば,期待されたほどの効果はでないかもしれない。いや,その反対に,古典的な広告理論が示すように,ひたすら露出し続ければ,どんな茶番劇だって人々の心を支配するかもしれない。はてさて,どうなるんだろう…