今日の日経「経済教室」に『理系の経営学』の著者,宮田秀明氏が「『複雑事象の単純化』は誤り」と題する一文を寄せている。いわく「経済現象に対するエコノミストの解説には、本来は十くらいの非線形な偏微分方程式に支配されていると思われる現象を二つ程度の線形方程式で説明するような場合が多い。結果として、エコノミストの解説をうのみにする人はほとんどいない」・・・なかなか辛辣である。
宮田氏は専門である流体力学について「線形的に説明できる事象は、大きく見積もって一割ぐらいでしかない」「非線形問題なので理論解が得られない」「一九八〇年以降は・・・コンピューターサイエンスによって問題を非線形なまま解く手法を獲得し」たと述べ,自然科学以上に非線形的な社会現象に対しても,大規模なシミュレーション・アプローチが有効だと示唆している。そして有望なフロンティアとして取り上げられるのが「サービスイノベーション」だ。高速道路や書店流通の例が紹介されているが,いずれも宮田研究室で実際に取り組んだ事例のようである。
主流派の経済学者が,宮田氏の議論に簡単に首肯するとは考えられない。複雑なものは複雑なまま扱えといっても,そんな「単純な話」じゃないよと反論するだろう。経済特有のロジックを,こちらは百年以上考えてきたのだと。あるいは,すでに「理系」のアプローチを経営領域で積み重ねてきた経営工学やORの研究者たちも反発しそうである。
まあしかし,宮田氏の主張のある意味「単純な」力強さは,魅力的に感じられる。詳細なデータをなるべく粒度を下げない形で分析し,複雑な相互作用をコンピュータのパワーで組みふせる。厳密な最適性の保証はなくとも,いまより明らかによい状態を探す。実際にはいろんな課題があるだろうけど,やってみることが大事だ。ともかく何か作って動かしてみるのが工学の精神のように思われる。
宮田氏は専門である流体力学について「線形的に説明できる事象は、大きく見積もって一割ぐらいでしかない」「非線形問題なので理論解が得られない」「一九八〇年以降は・・・コンピューターサイエンスによって問題を非線形なまま解く手法を獲得し」たと述べ,自然科学以上に非線形的な社会現象に対しても,大規模なシミュレーション・アプローチが有効だと示唆している。そして有望なフロンティアとして取り上げられるのが「サービスイノベーション」だ。高速道路や書店流通の例が紹介されているが,いずれも宮田研究室で実際に取り組んだ事例のようである。
主流派の経済学者が,宮田氏の議論に簡単に首肯するとは考えられない。複雑なものは複雑なまま扱えといっても,そんな「単純な話」じゃないよと反論するだろう。経済特有のロジックを,こちらは百年以上考えてきたのだと。あるいは,すでに「理系」のアプローチを経営領域で積み重ねてきた経営工学やORの研究者たちも反発しそうである。
まあしかし,宮田氏の主張のある意味「単純な」力強さは,魅力的に感じられる。詳細なデータをなるべく粒度を下げない形で分析し,複雑な相互作用をコンピュータのパワーで組みふせる。厳密な最適性の保証はなくとも,いまより明らかによい状態を探す。実際にはいろんな課題があるだろうけど,やってみることが大事だ。ともかく何か作って動かしてみるのが工学の精神のように思われる。