Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

カフェとコンビニ

2006-10-25 23:28:07 | Weblog
「スターバックス」ブランドのチルドカップコーヒーがコンビニで販売されると聞いたとき,ぼくはスタバのブランド力が希薄化すると予想した。1年ほど前のことである。そのときウル母さんから,そうならないと予想します,というコメントをもらった。今日,伊藤園が(日本の)タリーズの(親会社の)筆頭株主になったというニュースを聞いて,そのことを思い出した。

コンビニのスタバはかなり売れているようだ。カフェのスタバも一時期の低迷を抜け出しているらしい。1年ぐらいじゃわからんと言い張りたい気もするが,まあ,とりあえずはうまくいっていることを認めましょう。よく考えると,カフェなんてそんな高級なもんじゃない,などというのは悔し紛れの暴論か。もうちょっと真面目にいうと,ハーゲンダッツがショップとスーパー/コンビニでの販売をうまくミックスしているように,やりようはある,という感じかな・・・。

ただ,伊藤園が自販機で「タリーズ」缶コーヒーを売るようになったら,さすがにタリーズにとってまずいんじゃないかと思う。この予想も外すかな・・・。

お茶目な研究

2006-10-25 01:36:52 | Weblog
ロングテールに関連し,実態を調べたいことがある。オンライン系でもオフライン系でも,小売の顧客データにアクセスできないかと考えている。ツテがあればいいが,そうでなければ研究のアイデアは夢と消えてしまう。だが,少々の困難に屈することなく,知恵を使って,思わぬ方法でデータを入手する研究者たちがいる。

アマゾンは扱っている本のタイトル別販売部数を公開していないし,研究者へデータ提供することもない。ただ,タイトル別の順位は公開している。そこでBさんたちは,ある出版社の協力を得て,そこの出版物のアマゾンへの出荷部数の情報を入手,それと公開されている順位の関係を推定。それを他の本にも適用して,アマゾンのロングテール(ジップ)分布について分析した。

もっと面白いのがCさんたちだ(B,Cとも名前がややこしいので頭文字で表す)。彼らは10分以内にアマゾンから本を10冊買い,順位の変動を見て,売上と順位の関係,すなわち上述の分布を推定した(ふだん順位の変動が小さい本を対象としている)。どれだけ研究費がかかったか知らないが,頭がいい,という以上に,ある種のお茶目さを感じる。

BさんたちもCさんたちも,アマゾンからデータをもらえなくてもめげることなく,他の小規模なオンライン書店に対象を変えるのでもなく(実際はそちらもチャレンジしたかもしれないが),頭を使ってアマゾンのタイトル別売上分布を推測した。こういうことも,研究上重要なスキルまたは才能だろう。