台風の影響で魚の少ないクアトロだ。
それでも、美味しいイワシを用意している。
大阪湾・岸和田産のダルマイワシだ。
湾内で育ったこの岸和田のダルマイワシは、太平洋のイワシとは趣が異なる。
恵まれた環境で生け簀のようなところで育つためか、小降りながら脂の乗りが素晴らしい。
かの和泉式部も岸和田にゆかりがあり、大のイワシ好きで有名。
当時、イワシは庶民の食べ物として、貴族が食べるものではないとされていたが、イワシを焼いているところをダンナに見つかり
『日の本に はやらせ給ふ 岩清水 まゐらぬ人は あらじとぞおもふ』と詠む。
日本人なら石清水八幡宮にお参りするように、イワシがきらいな人はいないでしょうと詠んでいる。
才女の奥さんは面倒くさいことを云う。
クアトロの父も
『クアトロに はやらせ給う 岸和田鰯 まゐらぬ人は あらじとぞおもふ』と詠む。
このところ、クアトロ初心者が増えているように思える。
ネットなどの評判で訪ねてくれた方も多いようで、クアトロとしては嬉しい傾向。
クアトロ初心者と思われるお客さまは、ふたつのタイプに分かれる。
まずは、メニューに視線を落としたままクアトロの父と目を合わせず注文するタイプ。
このタイプのお客さまはある程度クアトロのメニューを事前に調査している。
これとこれを食べようと決めているので惑わされたくないといった感じだ。
次に、メニューはあまり見ないでクアトロの父の顔を凝視するタイプ。
このタイプのお客さまは、クアトロの父にこのお店のおすすめを問いただし、信頼できるアドバイスをしているかを探っている感じだ。
どちらのクアトロ初心者にも今だけのおすすめは、「特上ウニとワサビカブの冷製パスタ」。
クアトロのなんたるかが一皿に凝縮されたパスタだ。
しかも、2400円を1900円の特別価格で販売中。
「クアトロに行ってきました、美味しかったです」と云って貰えますように。
※本日のディナーは貸切のため一般の営業を休ませていただきます。
※特上ウニは入荷が無かったり売り切れることがあります。
これもクアトロがなんたるかのひとつとして、初心者の方もご容赦ください。
年寄りが
「街へ行ってくる」
と云うと駅前の商店街へ行くことを指す。
クアトロの父も日中の暑い中を危険を冒してひとりで街へ行ってきた。
所用があってのことだが、ついでに遅い昼飯を食べよう思う。
しかし、柏の駅周辺も古いなじみの店も少なくなり、ひとりで入るには二の足を踏む店ばかり。
そして結局入ったお店は昔からある丸井の地下にある蕎麦屋だ。
この店のカレー南蛮が旨い。
柏ボンベイの影に隠れた、柏屈指のカレーである。
と、クアトロの父だけが思っている。
いかにも蕎麦屋のカレーそばはこうあるべきだと云う味。
蕎麦屋ならではのカツオ出汁にショウユ味。
とろみも粉っぽくなくよく馴染んでいる。
さらに、トマトソースのような甘みと酸味が奥に隠れている。
そばは多めで、いくら食べてもへらない。
しかし最後までそばの腰を保っているのは素晴らしい。
残りのスープもたいらげ、しっかりと汗をかいて食べ尽くしたクアトロの父だ。
長年同じ味を保っているのも立派だ。