名作「羊たちの沈黙」の中で、クラリスはレクター博士に告白する。
「朝方、仔羊の悲鳴で目が覚めたの」
「牧場に行くと叔父が仔羊を殺していて・・・」
「逃がさなきゃと思って柵を開けたのに、仔羊たちは逃げないの」
「とっさに近くの一匹を抱えて逃げたわ、でも重くて」
叔父はラム肉のために、をしていただけなのだが、幼いクラリスには、訳もなく仔羊たちが殺されていくように映ったのでしょう。
そして「助けたいのに、助けられなかった」という事実が、彼女の精神的トラウマとなる。
クアトロのお客様はクアトロの父に告白する。
「今日はイチゴの日とクアトロは宣伝していたわ」
「あのいばらキッスと云う美味しいイチゴを使ったデザートを食べたいと思ってクアトロに行ったの」
「すると、もうイチゴのメニューが消えていて食べられなかったの」
クアトロは、緊急事態宣言を受け不要不急の外出を控えたため、いばらキッスを仕入れに行けなかったのだが、お客様には訳もなくイチゴのデザートが消えていったように映ったのでしょう。
そして「食べたかったのに、食べられなかった」という事実が、お客様の精神的トラウマとなる。
しかしクアトロは、バスク地方の名産の羊のチーズからなる「プティ・アグール」を用意していた。
この羊のチーズの美味しさは、きっと沈黙の内にいばらキッス・ショックを癒やしてくれることだろう。