クアトロの名物のひとつが、客席に置かれたゴンドラ型のパルミジャーノのかたまり。
開店から、数えて20代目のパルミジャーノが到着している。
昨夜からその新しいパルミジャーノでリゾットとペンネを作ることになった。
一人前がやっと入る程度の穴を掘ってある。
掘った部分のチーズ“パルミの宝石”はお客様にそのまま食べて頂くために保存されている。
そして、引退したパルミ19は解体されて粉チーズとなり、濃厚カルボナーラなどに生まれ変わることになる。
それにしても、パルミジャーノほど、無駄なく利用されるチーズはないだろう。
パルミジャーノの原料乳から脂肪分を取りだしたものは最高に美味しい物という名前が付けられた“マスカルポーネ”になる。
クアトロではマスカルポーネはティラミスに姿を変える。
さらに固形分を取り除いた後のホエーは、酢と塩を加えて再加熱すると“リコッタチーズ”になる。
この仕組みを応用したのがクアトロのレアチーズケーキである。
パルマではこのリコッタチーズが豚の餌になり、その豚からパルマ産のプロシュートが生まれる。
そして出来上がったパルミジャーノは色々な料理に使われる。
時には主役になり、時には脇役となって活躍する。
表面を覆うワックスの部分以外は無駄なく活躍するチーズである。