愛しきものたち

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奈良市林小路町 霊厳院(れいがんいん)阿弥陀三尊石仏

2012年09月01日 | 石仏:奈良

奈良市街のど真ん中「近鉄奈良駅」近く、開化天皇陵脇に多くの寺院が甍を並べる一画に霊巌院と云う寺があり、大きな箱石仏(石龕仏)が在る。

浄土宗霊巌院は車で行くにはちょっときつい路地道の角に有り、街中にも係わらず静かな佇まいを見せて居る。

戦国時代末期の文禄年間に創建されたと伝えられる霊厳院の本堂は開化天皇陵の木立を背景に静けさを保ち、そう広くない境内脇には寺墓が有る。

本堂前、墓地入口と思しき辺りに万霊塔と称する無縁仏の集積塔が有り、中央に際立って目を引く大きい箱石仏がある。

花崗岩の高さ150cm、幅約90cm、厚さ20cm強の平石を10cmぐらいの枠を残して箱状に彫り沈めた中に阿弥陀三尊を刻み出して居る。

箱石仏は良く見かけるがこれぐらい大きな物は希で圧巻です。

箱枠には向かって右から「極重悪人無他方便 永享ニ庚戌十一月日」、左に「唯称弥陀得生極楽 願主仏地院僧正」と、「恵心僧都源信」の往生要集の偈(げ)が刻まれている。

「悪人はただ阿弥陀如来の名号を称えるより外に極楽往生できる方法は無い」と諭している。

下部枠には大工行氏と伊派一派を伺わせる銘。

阿弥陀三尊は共に蓮華座上の厚肉彫り立像で、中尊の阿弥陀如来は像高83?、OKサインの来迎印。

脇侍は向かって左に合掌印の勢至菩薩、右には蓮台を捧げ持つ観音菩薩、共に像高45cm。

長らく屋内にあったものか、薫煙は染み付き黒っぽく成っていますがふうか摩耗も少なく臍うう状況は良好です。

ちょっと団子鼻で狐目の若々しい阿弥陀さん。

室町前期の永享二年(1430)の造立・・・・、この寺の創建よりずっと古い。

撮影2011.9.10