関西弁で「まんが悪い」と云うのは運が悪いとか、めぐり合わせが悪いと云う意味で使われて居る。
その「まんの悪さ」を直して呉れるのがこの石仏さん・・・、と言う事で今も信仰厚く燻煙に煤ボケ真黒け。
僕が奈良公園付近へ行くのにいつものように散歩する大仏殿裏通り、鏡池から二月堂への裏参道は隠れた東大寺の観光スポットになって居る。
二月堂参道とその裏山へ続く岐道に目立たない「左 まんなおし地蔵尊 一丁半」と彫られた小さな石の道標が立ち、普段気にも止めないのだけれどそこから見る二月堂への警官もまた風情の塊りの様に素晴らしい。
小さな谷川沿いに200m程も歩くと左手山裾にそれと解る境内地の石柵に囲まれ黒く煤ぼけた石仏が立って居る。
石仏は石柵の中、おまけに低い金網に下半身を隠されるように立ち、詳細は不明ながら高さ約1.2m、幅1.5m程の自然石の表面に像高約70cmの円頭光を持つ地蔵立像を線彫りで刻み出して居る。
信仰厚く燻煙が染み込み像容も覚束無いが、なんとなく錫杖を持つ定形地蔵の様に見える。
粗いタッチながら動きが感じられ、像容も整い鎌倉後期の造立だと考えられて居る。
地蔵の左右には閻魔と、その従者の線彫り像も有る。
「まんの悪さ」を直してくれるのは良いけど、これだけ煤だらけではちょっと気の毒。
撮影2011.11.10