前回紹介の西光寺跡に国の重要文化財に指定された石造物、我が国を代表するような見事で珍しい意匠を持った宝篋印塔が立っている。
僅か10mばかり離れて国の重要文化財である石造物が並立しているのは何とも石造物ファンにはたまらない場所です。
広く間合いを取った柵の中、高さ2.1mにも及ぶ宝篋印塔が立ち尽くし、軸部四隅の風変わりな意匠に釘付けさせられる。
ほかの部材に比べてこの塔身部だけが妙に苔錆びず美しく見えるのだが・・・・・、何か処理でもしているのだろうか??
その際立った塔身四方の隅飾りには直立する梟が刻み出され、極めて類希な意匠のようです。
笠石上部の相輪は七輪を残し上部を欠損するも、他の部材に大きな傷みは無い。
梟と言われれば梟の様な気もするが擬人化されて居る様な・・・・、その梟に囲まれた塔身四面にはそれぞれ蓮華座上に月輪を置き、その中に金剛界四仏の種子を刻み込んでいる。
塔身のこの梟は宝篋印塔の原形とされる中国の銭弘俶(せんこうしゅく)塔に由来するもので
西面、真正面から見た梟と阿弥陀種子のキリーク。
右手、北面の不空成就如来のアクを刻み複弁反花座の上に載る。
反花座下部の基礎部は枠を残して少し彫り沈めた中、格狭間を造り出し、中に相対する孔雀紋を刻み込んでいる。
鎌倉後期の造立だとされ、伝教大師開基の名刹だった「西光寺」の数少ない遺物として残されたものです。
石塔の事を余り良く知らない僕にでも、その見事さは充分伝わって来ます。
撮影2011.8.20