愛しきものたち

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和歌山県かつらぎ町 三谷坂の頬切(ほ きれ)地蔵(

2014年09月26日 | 石仏:その他

日本ではこれだけ、他には類例を見ることさえ出来ない石造物だそうですが・・・・、地元では三谷坂の頬切(ほ きれ)地蔵と呼ばれて居ます。

ひとめ見ると誰でも判る様に単なる地蔵石仏では有りません。

前回紹介の笠石より三谷坂参詣古道を更に40分ほど登りり詰めた奥、今は杉山と化した山道わきに看板が建ち・・・

杉林に囲まれる様に粗末な覆屋が懸けられ、見慣れない形態の磨崖仏が地中から顔を覗かせて居る。

写真でも判る様に磨崖の石仏は三体・・・

地中から顔を出した細長い島状自然石の前部三面に一尊ずつ配され、上部を屋根形の笠に整形加工、上部には欠損したのか?本来の宝珠の代わりに小型五輪塔の水輪が載せられている。

因みに地中より掘り出した??自然石は奥行2.23m、幅1.17m、高さ65cmの緑色片岩。

石は北側を正面に南北に横たわり、北面正面に中尊として大日如来・・・・

向かって左手東面には釈迦如来・・・

向かって右手西面には阿弥陀如来の三尊・・・・所謂、塔身に三尊を配した磨崖一重塔の形態をとっている。

主尊、北面の金剛界大日如来は・・・・・

荒く鏨痕の残る北面に薄い二重円光背を負い大きい蓮座に結跏趺坐。

像高約40cm足らずだが豊かな力量が感じられる。

右上部、笠石部分から伸びた石の割れ目が頬部を貫いて居る事から頬切(ほ きれ)地蔵の名で呼ばれて居る。

 東面、釈迦如来坐像

もちろん主尊に良く似た像容で殆ど同じ法量を持つ。

こちら西面の阿弥陀如来坐像。

三如来はいずれも、大きく刻出した蓮弁に座し、薄肉彫の二重円光の中、ふくよかな尊顔と衣文の尊像を造り出している。

また、石仏だけでなくその頭上に作り出された笠の形態も極めて古式なもので、高さは低く左右によくのび、屋根の流れや隅の降り棟の曲線はおおらかで、鎌倉時代初期の造立と推定される。

自然の磐座を利用した丸彫りの一重塔は他に類例が無く、極めて貴重な遺物であり、金剛界大日如来が阿弥陀如来と釈迦如来の二如来を従えて、この世に現れた姿を表現したのではないかと推定されている。

撮影2012.11.25



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