Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

WIR SIND OBAMA

2008-07-27 | 歴史・時事
ベルリンでのオバマ候補を伝える報道の幾つかに目を通した。ベルリンに残された外交的な宿題やそれ以上にベルリンの政治の行方は益々容易ならざる舵取りが必要になってくるようである。

緑の党のトリティン元大臣のように、「オバマは決して聖人ではないから」と、死刑を含む人権や銃規制に不満を示すが、それはオバマ候補の演説の中に十分な回答があった。

必ずしも完璧ではない二百年の米国を認め、世界のあらゆる問題の例を挙げ、協力関係の中で解決して行くとする基本姿勢は米国大統領として、もしくは言われるように世界大統領としての支持を受けるに十分であったろう。

ロンドンで働いた祖父からの結びつきを導入として、自由主義経済の中での「幸福」を追求、それに立ち憚るあらゆる「壁」を取り払うためには、必ずしも軍事的な影響力のみならず冷戦下のエアーブルッジでを例示して爆弾ではなく食料やお菓子が投下された様にとする作文は大変よく出来ている。

次期米国大統領にとっては、先ずは何よりもブッシュ政権で四面楚歌となった信用の回復がなによりもの国際協調関係再建のための基礎となるに違いない。

いづれにしてもドイツの首相候補もフランスのそれも選挙戦前にその人脈を示すために主要同盟国に伺いをたてに行くのは普通であったが、今回こうして米国大統領候補がベルリンを訪れた意味はその選挙戦におけるイメージ戦略以上に大きいと考えても良いだろう。

その意味から、戦勝塔の前に集まった群衆も話し手の選挙戦の出汁にされたとは全く思わせない内容で、内容に熱心に聞き入っていた様子は、如何に反ブッシュ意識が強かったかを示していた。

ドイツの政治に戻れば、海外派兵や自由主義に関して特にベルリンあたりでは、三割以上がオバマの政治姿勢とは相容れないことも事実であり、「トランスアトランティックな政治」にEUの枠内で十分にベルリン政権が対応出来るかどうかは、今回の受け入れに距離をおいた首相府の反応をみてもその不透明さが示されていた。

オバマ候補が解決していかなければいけない同性愛者や母子家庭に関する国内政策と同じく、EU内での差異と同様に大西洋の両側では、今後より一層の意見の交換や活発な議論がなされる事が望ましい。環境問題においてもオバマ大統領が十二分に解決出来るかどうかは、本人の言う通り協力関係に依存しているのも間違いないだろう。

兎に角、最近はニッチェに端を発するような政治学上の定理である「権力構造への執着」とは一風変わった修辞法を有力政治家が使うようになったと言われて、「希望への演説」を繰り返すオバマ候補のあり方も、ブッシュ政権時代の反動とも思えなくはない。演台の感じもなんとなく教会臭く、飛行機の「チャレンジ」の意匠もなかなか笑わせてくれる。

今回も閲兵を除いては実質的に国賓並みの扱いだったと言われるが、可能性のあった世界最大米軍ベースのラムシュタインへの立ち寄りはなかった。それよりは、大統領になってからハムバッハー城を訪れるのが彼には似合いそうである。

We are Obama we can believe in.



参照:
Obama in Berlin  (ZDF)
オバマ、ベルリンに降臨、ドイツ大陶酔 (虹コンのサウダージ日記)
受け継がれるモラール [ 文学・思想 ] / 2008-07-23
オバマ候補が演説する所 [ 歴史・時事 ] / 2008-07-12
誤りの自覚と認識 [ マスメディア批評 ] / 2008-06-29
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希望へ誘うオバマ候補 [ 雑感 ] / 2008-01-15
コメント (4)
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