Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

自殺志願の名誉死選択

2008-07-20 | 歴史・時事
先日来ドイツの自殺援助業者の違法性が連邦会議で討論されていた。その結果、違法性から商業化されることはスイスの場合のように今後ともない。

自殺援助と聞いて、多くの人は安楽死援助と混同するだろう。オランダでは人間の尊厳を尊重するために安楽死が合法化されているのは周知である。

今回の議論の対象となったケースは、裕福な比較的元気なご婦人の自殺の請け負い例であったようだ。当然の事ながら請け負い側の主張は、個人の自由を最大限に尊重する自由主義的主張のようである。しかし、実際にはそこでは個人の自由は抹殺されると反論がある。

つまり、安楽死の場合とは多く異なり、この場合高齢化社会における名誉の死が問題となっているという主張である。そしてその根拠となるのが合衆国の保健相が90年代前半に語った名言であるとされる:

人が死を迎えるときそれはその人にとって最も高くつく日なのである。老人に対して税金から14ダラー支出するが、赤ん坊に対しては僅か一ダラーしか支払われない。そしてその七割から九割は、最後の数か月に支出されるのだ。

要するに老人の自殺は絶えず、こうした社会に対する名誉の死であり、支払った年金も医療費の回収を期待しない。エルンスト・ユンガーが、フランスでは今回重要な文庫に納められた。この二つをして、2014年がまもなくやってくる高齢化の始まったばかりの今、1914年を想像してそうした名誉の死への憧憬を如何に避けるべきかが問われていても不思議ではない。

そうした名誉の死を、商業化することは出来ないのは当然として、それが社会の目的となる時を指すのである。

死を選ぶ若者を、公衆衛生と称して税金で補助して十三段階段に送り込むことも全く同じ功利性を目的とする行為ではないだろうか?



参照:
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笑顔に想う社会の豊かさ [ アウトドーア・環境 ] / 2008-07-03
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暖冬の末に灯火親しむ [ アウトドーア・環境 ] / 2007-02-18
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