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日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 



 

 

 

 

ブログシリーズではあえてふれてこなかったが、平昌オリンピック2018 はまた政治に翻弄された大会となった。

北朝鮮とアメリカのそれぞれの思惑をアピールする場、に陥ってしまったことを残念に思う。

 

 

さてこの本。

オリンピックを扱う本は大体がダークな方向にいきがちで、この本もそんな一冊。

サブタイトルからして、120年の覇権と利権。

近代五輪の父クーベルタンから始まり、各オリンピック~最後は東京に至る。

だがここで悟る(汗)

オリンピックは「常」に政治に翻弄されてきたことを…

 

世界の国々を集め、ひとつの場所で大会をする以上、政治的なパワーゲームからは逃れられないことなんだな、と。

正しい引用じゃないかもだが、国連もまたそんな場になってしまうように…

 

 

その政治色が比較的少ないのが、最大の成功例とされるロス1984。

モスクワ1980で政治問題があまりに表出したあと、ピーター・ユベロスを中心に民間の力でやり切ったオリンピックの方向性が切り替わった大会。

(続くソウル1988、バルセロナ1992も比較的少ない)

 

がその後はまたドロドロした内容に戻り、現在にまで至る。

そして冒頭で指摘したように、今回の平昌2018も…

 

 

東京オリンピックまで、今日であと878日。

この間にも過去と同じく、様々な政治問題と向かい合わなければならない事態は何度となく発生するだろうと予測される。

 

というわけで、当ブログの結論は以下。

 

あと878日、タフにいくしかないぞ、東京!



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「明日(あした)の広告」(読後評2008年 1月18日)

「明日のコミュニケーション」(読後評 2011年10月08日)

「明日のプランニング」(読後評 2015年5月26日)

 

の作者、さとなお氏の4作目の新作。

今回は前作で彼が主張していた「ファンベース」が、どっかり中心に。

 

 

前作で当ブログが最もはまった部分、伝説のロックバンド、グレイトフル・デットとの共振部分

今回も、本「グレイトフル・デッド・にマ―ケテイングを学ぶ」が前作も登場する。

 

読後評:グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ 業界ロックに覆い尽くされた「現在」を改めて悟る(2011年12月13日アップ)

 

「ファンベース」を語るのに、デッドのバンドとしての在りよう、が大変有効なのだなと!

デッド・ヘッズ(ファンのことをこう呼ぶ)としては大変満足できる(笑)

 

 

 

 

一方で…

読んでいてスッポリ納得する感、が4作目に至りいよいよ弱くなったことに気づく。

自分としては著作物のみならず、さとなお氏のグルメ感覚には共振するところも多く、信頼してきたつもり。

 

なので、ファンであるのはもちろん(20%内)、むしろコア・ファン(4%)のつもりだった。

が、実は新しい本が出るたびに、少しずつ距離感を感じはじめ困っている…

 

 

 

その理由を必死に考えてみた。

で結論は...

 

著者は 2011年に所属していた会社を退社しているが、実際に他のケースでも感じていることだが「会社」にいる、ということは、その会社が大きければ大きいほど、常に適切な「情報のアップデート」がされる(望もうが、望まなかろうが 笑)

 

が...

一旦離れてしまうと、徐々にマスコミが表面的に書いた記事があった場合に「それ、違う」を瞬時に理解することが難しくなってくるようなのだ。

そこで判断のブレが少しずつ生じ、進むべきディレクションがズレてくるかもしれない…

 

違和感の例を挙げると「従来型のテレビを中心としたキャンペーンは地方なら有効」

一時そんな言われ方が喧伝され流行っていた時期も確かにあったとは思うが、それはいたずらに強調された屁理屈で、現在に即しないと感じる。

花の都 東京のサイズでは検索されるのは当然で、だからとはいえ従来型のテレビを否定にまで至るのはオーバーすぎる主張のように感じる。

 

このように、スタンスにズレが生じてくると、共感が薄れてくるのは、仕方ないか?!

 

 

ファンベース理論の図でいうと、ファンの離脱はあまり勘定に入っていない(再度読んだがそのニュアンスは感じなかった)ようだが、実際ではとても「浮気性」(汗)

 

なので次の本は「ファンの浮気性」を起点に構成していただくのが良いのでは?

(これでも一生懸命ついていこうとしているんですう… ジレンマ状態...)



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先のアップのように、知りたいポイントがいくつかあった。

 

1. どのようにフィル・ナイトは「シューズ・ビジネス」に目覚めたのか

2. オニツカ・タイガーとはどう始まり、どう終わったか

3. あのスウォッシュ、はどうやって誕生したのか

 

 

 

本を読みだすと、これらがすっきり!

 

<1. どのようにフィル・ナイトは「シューズ・ビジネス」に目覚めたのか

 

大学時代、陸上部で活躍し、運動靴には元々興味があった。

陸上コーチは、いろいろ改造を試みる靴マニア。

で本人の卒論が何と「日本の運動靴がドイツのそれ(アディダス)に与える影響」(笑)

 

 

<2. オニツカ・タイガーとはどう始まり、どう終わったか

 

卒業後、「スポーツ周辺で働きたい」ので、日本に乗り込み、オニヅカに接触。

ブルーリボン社(BRS)をコーチとともに設立し、まずは西アメリカのオニヅカのセールスを開始する。

会計士を続けながらのサイドビジネス。

 

コーチのバウワーマンが来日時に知ったタイガー独特のソールの秘密が面白い。

寿司を食べている時に、吸盤をみて思いついたと鬼塚 喜八郎氏は語ったそう。

バウワーマンは肝に銘じたという。

「インスピレーションは日常のものから湧いてくる」

彼はのちにその方法で、ワッフル状のソールを開発する。

 

 

意外だったのは、その関係の終焉。

好調にセールスしていたはずが、オニヅカのキタミ氏が裏切りを画策していることを知り急展開。

アメリカに来た北見は離席した際に、その確たる証拠を盗み見られてしまったのだ!

 

本から少し離れるが、日経新聞「私の履歴書」で鬼塚 喜八郎氏は語っている。

「BRS社と販売会社設立の計画を進めていたところ、日本の商社の勧誘で他のメーカーからの

仕入れに切り替えてしまった。驚いた私はすぐに別の販売店と契約したが、日本の商慣習に

なじまないそのドライな行動に裏切られた気がしたものだ」

 

日本の商社とは日商岩井。

こういうビジネスのトラブルは双方の主張があるのは明白なので何とも言えないところ…

キタミは先の件、ボスにどんな説明をしたのだろうか? 

 

 

 

<3. あのスウォッシュ、はどうやって誕生したのか

 

オニヅカから離別することを決めバタバタする中で、スウォッシュが先に、そして新社名 NIKE が決定。

スウォッシュのデザインを製作したキャロラインの報酬は僅か35ドル。

ここがこの本での一番の驚き!(笑)

 

その後、資金繰りに苦しみながらも、NIKEの商品の評判が評判を呼び、スター選手とも契約。

シューズだけでなくアパレルにも進出し、彼の卒論通りの、今の巨大企業に至る。


本を読了し、知りたかったことは全て解って満足。

一方で、先のアップの写真を改めてみて想う。

 

「もし、オニヅカとのトラブルがなかったとしたら、どんな世界が待っていたんだろう?」

 



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まず、最近のニュースから。

<ホンダの航空機事業子会社である米Honda Aircraft Companyは 2017年8/16、

< HondaJet(ホンダジェット)が本年上期の小型ビジネスジェット機カテゴリー

<出荷台数で首位に立ったことを発表した。

 

凄い!

 

 

 

そもそも HondaJet(ホンダジェット)とは?

そこで写真!

(本来は本のカバーを出すべきかもだが、今回はこの一枚で)

 

 

主翼上面の両側に2基のエンジンを配置。

航空機業界の常識をひっくり返す、画期的な設計。

立役者藤野氏が偶然に見た数式から「まったく次元の違う考え方に到達した」(220p) WOWOW!

 

空気抵抗を減らす層流翼(=意識的に乱流を起こす)

って、ものすごい飛行機!

 

この躍進を実現したのは、本田技研の6代にわたる社長はもちろん、技術者の「エンジニア魂」

このことを一冊の本を通し、紡ぎ出している。

 

 

各章のタイトルをざっと眺めるだけでそのへんはイメージできるかと。

 

第1部 荒唐無稽の目標を設定する

第2部 「絶対価値」を追究する

第3部 独自の開発哲学に翻弄される ←極めて面白いタイトル、じゃね?

第4部 つくったら終わりからの反転攻勢

第5部 封印された悲劇のエンジン

第6部 技術をいかにビジネスにするか

第7部 黒字化するのはいつの日か

第8部 AIが切り開く新“モノ・コトづくり”

 

 

最大手の某社と比べると、確かに本田技研の歴史はユニーク。

バイク世界首位から始まり、→ 4輪 → シビックアコード → F1レース → ロボット(ASIMO)→ ?!

ジェット機開発も、会社創設期オヤジ(本田宗一郎 氏)時代からの想いだと知るに無茶ではない、と悟る…

 

 

 

本で登場する技術者を表現するフレーズがいちいちおかしい。

鉄板「ワイガヤ」、「奇人」「変人」「怪人」「“異能”“異才」レベルだけじゃない。

「カミソリのような」「タヌキ親父」「二階にあげてハシゴを外す」

 

難産で、歴代社長のギリギリの決断の連続を経て実現したわけだが、社長と現場の距離の近さも印象に残る。

これらが噛み合い、はじめて成立した「不思議力」



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一年前、朝日新聞夕刊に相当読ませる記事シリーズがあった。

それは:人生への贈りもの 私の半生「久米 宏」

全10回で面白かったのは、後半=「ニュース・ステーション」誕生~成長~ のくだり。

 

 

 そして満を辞して?登場したのが、この本。

この冬休み、ゆっくり読もうと決めていた。

 

そして記事シリーズと同様、ハイライトは後半=「ニュースステーション」誕生・成長 のくだり。

入社試験~新人時代~ラジオ時代~「ぴったしカン・カン」「ベストテン」「TVスクランブル」

そして「ニュースステーション」へ到達する。

 

そして、この番組の記述は、本全体の半分以上!

 

 

以下の数行に、著者の番組18年半への思い入れが圧縮されていると思う(p.322)

 

<テレビでできることは全て「ニュースステーション」でし尽くした。

<というのが僕の偽わざる実感だった。

 

<セットやファッションや小道具(当ブログ追記:マイクカバー、ペン etc…)やカメラワーク

<ジャンルもニュースだけでなく、スポーツ、バラエティ、趣味、インタビュー。

<テレビを形づくるほとんどの要素について、映像と言葉の力を信じて

<僕たちは思いつく限りのことを実践した。

 

ご存知の通り、著者が切り開いた平日22時~枠は「報道ステーション」として現在も続いている。

 

 

だけでなく、他にも痺れるような表現をもうひとつ紹介。

 

「ザ・ベストテン」に関し。

<黒柳さんは、「ザ・ベストテン」の時代は1台のテレビを家族全員で見ていた

<最後の約10年だったのかもしれません」と語っている。

 

<なるほど、そうかもしれない。

<番組そのものは1989年まで11年と8ヶ月続くことになるが、僕が司会を

<辞めた85年の時点で、若い世代を中心にミュージックシーンは変化の兆しをみせ

<すでに「誰でも知っているヒット曲」に時代はほころびをみせていた。

 

<TBSの音楽ディレクターも知らない歌い手が次から次に登場し、CDをはじめとする

<メディアの進展とともに、音楽は急速に多様化、細分化していく。

<それはランキングの意味が失われていく過程でもあった。

 

 

 

テレビ中心に書いてきてしまったが「ニュースステーション」後、著者はラジオに戻る。

 

本のラストあたりで著者は語る。

「ラジオはトランペット。テレビはドラム」

 

どんな意味なのかは、是非この本を手にとってご確認いただきたい!

 



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映画ベスト10に続き、今度は「本」でベスト5、いってみます。

こちらも毎年一度の楽しみ化している!

 

アップに至った本は30冊弱だが、それ以外にも数的には倍程度は読んでいるので、その10分の1レベルで、5つに。

1行目はタイトルとアップ時のサブタイトル、2行目は今回のコメントとなります。

 

 

 

第1位

NYの「食べる」を支える人々    常に最先端を目指し疾走するこの街で生き続ける姿を通し、ニューヨーカーの根性をかいま見ることができる一冊!

今年読んだ3冊のNY本の中で最も良かっただけでなく、「食」がテーマのようで、実はテーマは「ニューヨーカーの生き様」

 

第2位

新しい分かり方 21世紀のシュールレアリストによる、「体験」にまで昇華された「アタマの体操」(笑)

「分かる」を楽しむ。そして「分からなさ」をも楽しむ。

 こうして読み終わり、かつて経験したことのない至福感に満たされた。

 

第3位

インターネットは自由を奪う 〈無料〉という落とし穴 The Internet is Not the Answer ネットは「世の中の平準化」に寄与するどころか「富の不均衡」を増大させる。

「分散型ネットワーク」「パケット通信」「TCP/IP」「ARPANET」「WWW」「HTML」「URL...インターネット誕生のパート。

これらのコトバが誰の発想から、どう誕生したか、を詳細に記述しており、迫力があった。

 

第4位

グローバル・ジャーナリズム 国際スクープの舞台裏 過去読んだ「パナマ文書」を扱う本の中でも抜きん出ている点でお薦めの一冊。

第1章 世界の極秘情報を暴いた「パナマ文書」のパートが素晴らしく秀逸。

 

第5位

熱狂の王ドナルド・トランプ The Truth About Trump (何冊か目を通している中)トランプの本質に最も迫る力作。 

目次にはない「エピローグ ドナルド・トランプを理解するために」(笑)

30ページに凝縮された、この結論部分だけでも読む価値があると思う。

 

 

来年2018年は、どんな面白い本に出会えるかな? 



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今年3冊目のNY本。

 

1冊めは、

読後評:美食と嘘と、ニューヨーク おいしいもののためなら、何でもするわ Food Whore: A Novel of Dining and Deceit

 

2冊めは、

読後評:社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた FLOATING CITY  NY好きとしては 読まずにいられない、この街のダークネスが浮かび上がる一冊。

 

そして最後に、この NYの「食べる」を支える人々。


インタビューされ登場するその数、総勢50人!

一流レストランのシェフ、スタッフはもちろん、ウェイトレス、牡蠣の殻剥き職人、セレブ専用ケータリング、有名レストラン料理長、刑務所の料理担当、パティシエ、寿司職人…

常に最先端を目指し疾走するこの街で生き続ける姿を通し、ニューヨーカーの根性をかいま見ることができる一冊!

 

 

 

さて50ものエピソードから、当ブログが特に刺さった × 10ほどをセレクトしてみます。

 

先ずは既に行っていて、裏話が刺さった系。

 

庶民派ホットドッグといえば、

・PAPAYA KING パパイヤキング

 Alexander Poulos アレクサンダー・プーロス

 

NYステーキの超有名店

・PETER LUGER STEAK HOUSE ピータールーガーステーキハウス

 Amy Rubenstein エイミー・ルーベンスタイン

 

ここに行くと、NYに来たぞ感がピークに達する

・THE “21” CLUB 「21」クラブ

 John Greeley ジョン・グリーリー

   看板メニューのチキンハッシュへの言及もあり、ファンとしては堪らない内容。

 

21の直ぐ近所なのにこちらは屋台。だが昼夜の長い行列で超有名。

・THE HALAL GUYS ハラルガイズ

 Mohamed Abouelenein モハメド・アブレニン

 成功のキーワードは、「場所」と中東出身のタクシー運転手!

 

 

次に、まだ行ったことないが是非行ってみよう系

・LE BERNARDIN ル・ベルナルダン

 Justo Thomas フスト・トマス

 ミッドタウンの有名シーフード。

 

・LEVAIN BAKERY ルヴァンベーカリー

 CONNIE MCDONALD AND PAM WEEKES コニー・マクドナルド と パム・ウィークス

 ウエスト74 st.の人気店を立ち上げた女性2人組の奮闘。  

 

 

続いては、エピソードが面白い系。

・LEE LEE’S BAKED GOODSリー・リーズ・ベイクドグッズ

 Alvin Lee Smalls アルヴィン・リー・スモールズ

 911の前日にベーカリーをオープン、苦闘の末閉店するも近所の助けで奇跡の復活!

 

・MOMOFUKU MÁ PÊCHE モモフクマペーシュ

 MacKenzie Arrington マッケンジー・アーリントン

 見習い、無給、からスタートするコック修行。

 

 

最後に、変り系(?!?)

NYに住むことの凄みを感じさせる、

・THE PIERRE HOTEL ピエールホテル

 CHRIS EDMONDS クリス・エドモンズ

 パーティ仕切り屋が、スティービーワンダーが呼ばれ直前の円陣に加わった最高の瞬間!

 

・ROBERT ロバート(Museum of Arts and Design最上階のレストラン)

 Luísa Fernandes ルイザ・フェルナンデス

 強運と実力でメキメキNY住まいとコックとしての地位を手に入れたポルトガル女性

 

・NEWS CORPORATION ニューズ・コーポレーションの役員食堂のシェフ!

 Jeb Burke ジェブ・バーク

 CIA → シェフ というユニークな経歴の彼が楽しむNYメディアの役員食堂ならではの有名人ゲスト連発。



どうでしょう?

この本の超面白いニュアンスが多少は伝わっただろうか?

 

結論:常に最先端を目指し疾走するこの街で生き続ける姿を通し、ニューヨーカーの根性をかいま見ることができる一冊!

 
 
 


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ヒラリーが敗れ、トランプが勝利してちょうど一年。

 

次々と問題が噴出しても一貫してトランプを支持する層が、このクラスと言われている。

この本ではこの層にフォーカスしてアメリカの本質に迫ろうというもの。

 

著者は元々「ミドル・クラス」という表現を使いたかったよう。

編集者と著者の議論の末、「ワーキング」とした。

層の定義は =「富裕層でも貧困層でもないアメリカ人」

ここからだけでも、アメリカの階級を語ることの難しさがわかる。

本を通し、著者がこの難しいテーマをうまくさばいていると感じた。

 

 

各章のタイトルは、それぞれとても興味深い質問形となっている。

例えば、

「なぜ、ワーキング・クラスは貧困層に反感を抱くのか」

「なぜ、ワーキング・クラスは専門職に反感を抱き、富裕層を高く評価するのか?」

「なぜ、ワーキング・クラスは仕事のある場所に引っ越さないのか?」

「なぜ、ワーキング・クラスは子供の教育に熱心に取り組まないのか?」

「なぜ、ワーキング・クラスは製造業の仕事が戻ってこないことを理解していのか?」

 

ここでは単純に答えられる「引っ越し」について解答しておきたい。

答=「エリート層」はキャリアを目指し、引っ越しをすることを厭わない。

「ワーキング・クラス」はコミュニティや安定を重視する。「変化とは損失です」

 

 

このように、カリフォルニア大学の教授であり、いったんハーバード・ビジネス・レビューでのウェブ版で発表した内容への反響も含めまとめている著者の文章には、説得力がある。

多様性そして対立する党の主張ゆえに生ずる、政府が行う援助へ対する誤解がクラス間で発生しているという。

日本のような単一民族では想像もつかない、アメリカの現状が容易に解決できない深い問題だという認識が深まった。

 

 

結論:トランプが勝利してちょうど一年、のタイミングでその変化をもたらした層を理解できる貴重な一冊。


 
 


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実は同時に似て非なる本を併読中。

それは「アップル、アマゾン、グーグル、フェイスブック――ITビッグ4の戦略を読み解く」

 

こちらは「ITビッグ4がなぜ強いのか」を解説し、各社の「最近の動向」と「未来に向けた戦略」をひも解く。

4社が発表する情報をつなげて見てこれからの世の中を俯瞰しようとする。

視点は90%ポジティブ:ネガ10%程度の比率。

 

 

一方、今回の本の比率は....

 

10%ポジティブ:ネガ90%!(笑)

 

インターネット社会批判。

 

著者のアンドリュー・キーンはロンドンっ子で、今はサンフランシスコ在住。

ITベンチャーの経験もありつつ、一握りの企業が主導する流れデジタル革命に対し「批判的論客」

 

この90%ネガに、他にない迫力が(汗)

それは経歴にみならず、最近の仕事でテレビ番組のホストがあること。

4年間でインターネットを創世記を含む重鎮たちへの200以上のインタビュー。

この経験値が散りばめてある!

 

 

その識者たちの発言をいくつか引用してみあり、圧巻なのが第1章「ネットワーク」 

ここはインターネット誕生のパート。

「分散型ネットワーク」「パケット通信」「TCP/IP」「ARPANET」「WWW」「HTML」「URL」...

これらのコトバが誰の発想から、どう誕生したか、を詳細に記述しており、迫力があった。

 

続く第2章のタイトルは、「マネー」 

インターネットが大ビジネスに化け出す様を描く。

ネスケの失敗、そしてウェブ2.0 とティム・オライリーが名付けた Googleを代表とする「違う稼ぎ方」を実現した企業が登場。

 

著者は徐々に、この「富の蓄積」が当初言われていた「世の中の平準化」に寄与するどころか、インターネットで「富の不均衡」を増大させていることを露わにしていく。

個人データが搾取されているという主張である。

 

ニコラス・カー

「社会は新しいコンピューティングインフラの輪郭に合わせて形を変えていく。

 このインフラは、自動運転車両軍団や殺人ロボット部隊を可能にする、即時のデータ交換を統制するものである。 

 このインフラは、個人および集団の決定を助ける予測アルゴリズムのための素材を供給する。

 またこのインフラは、教室、図書館、病院、商店、教会、住宅の自動化を支援する」

 

事例として紹介されるかつての名門企業コダック本社、の朽ちゆく姿。

かたやスマホの写真機能・加工機能(虚像創造)の進化及び自撮り文化で躍進するインスタ

イギリス人でかつITベンチャーの経験もありつつ、今はサンフランシスコ在住、という 著者の個性がおおいに発揮されている。

 

どんな個性か。

・イギリス人っぽい皮肉アイロニー(笑)

 これが利きまくってる!

 

・ベイエリアのジモティならではの観察・理解

 本の終盤、GoogleFacebookApple の新社屋施設などが紹介され、エリアから隔離がベイエリアで進んでいることを知る。

 

 

ここで最近観た映画を思い出した。

・ザ・サークル The Circle 超巨大SNS会社の暴走

ベイエリアにある、世界ナンバーワンのシェアを誇る超巨大SNS企業「サークル」に入社した主人公(エマ・ワトスン)

GoogleFacebookApple の新社屋を思わせるような豪華な本社エリア(実際Googleがモデルらしい)

通常世界から切り離された近未来的施設はFood & Drink はもちろんタダ、夜な夜な社員専用のコンサートも

だが主人公は自ら志願した「プライベート・ゼロ」状態の問題に気付きだす

 

映画なのでそんなに深掘りできるわけではないが、本の主張の簡略版のようなところがあり、どちらもオススメしたい。

 

 

結論:ネットは「世の中の平準化」に寄与するどころか、「富の不均衡」を増大させる、を警告する オススメ本。

 (写真は原著のもの。日本版の「黄色」をメインに置いたデザインに非常に違和感を覚えるので...)

 


 
 


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「分かる」を楽しむ。

そして「分からなさ」をも楽しむ。

 

こうして読み終わり、かつて経験したことのない至福感に満たされた。

 

 

そして美しい抽象模様がぐるぐるアタマの中を回っていた。

こんなの初めて…

(注釈:何もヤバいこと・モノには一切手は出していない 笑)

 

 

 

たかが「紙の束」に「印刷」が載った代物(それを本という)で、こんな体験が!

なんてオーバーと思われる方 → 写真の本のオビの文面をお読みいただきたい。

 

なので「読後評」という表現は痴がましい感じ。

 

著者の佐藤 雅彦 氏は、元広告代理店の有名クリエイター。

その後、慶應義塾大学佐藤雅彦研究室へ転出、さらにNHKeテレ「ピタゴラスイッチ」他。

当ブログは著者を「21世紀のシュルレアリスト」と褒め称えたい!

 

 

結論:21世紀のシュルレアリストによる、「体験」にまで昇華された「アタマの体操」(笑)

   今年2017年を締めくくるにふさわしいマサカの体験を、何と「本」で! 

   必読。



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著者は、起業家・投資家・コンサルタントで、何度も起業し成功を繰り返した方(だそう)

そんな成功者が書いた、スタートアップする起業家のあるべき資質、を問う。

 

 

特徴的なのは、ビジネス書っぽくなく、小説の形を取っていること!

(日本でもそんなのあったよねえ? ≒ もしドラ)

 

このため読み始めると多少の違和感があった(当ブログは小説はほとんど読まない)

が、翻訳もうまいようで、物語にすんなり入っていけた。

 



そうなったのも、この本の主張のメインポイントが、明快かつ府に落ちたからだ。

それは、

 

・偏頭痛級(この本一流の表現!)の問題を探し当てないと、顧客は現れない

 創業者がどんな理屈をこねてニーズを想定しようが、顧客には関係ない

 

・そしてその問題を、あなたの解決策は必要だと証明しなければならない

 当初のアイデアから究極の顧客行動までの遠い道のりを最短にすること

 

・顧客の声を聞こうとするなら、人まかせでは絶対ダメ

 創業者自らが電話し、調査しなければならない

 「~しますか」で終わる質問は禁じ手(誘導質問)

 

・実際に相手に究極の行動を起こしてもらうこと、のみが解決策が有効かの判断材料

 そうなるまでは決してオールイン(全てのお金をつぎ込む)しない

 

 

上記は、当ブログが呼んだ内容から解釈して記したものなので、言葉のニュアンスが違うかもしれない。

このため、本での章立て及び項目から抜粋しておきます。

 

第1部 人はビジョンを買わない

    最初の印象で人を判断してはいけない

    これ以上だましてはいけない

    営業トークだけでは、何も売れない

    まずは顧客と顧客ニーズ、自分のビジョンは二の次でいい etc…

 

第2部 仮説で勝負するのは危険

            幸運を期待するのは戦略ではない

            仮説の検証に遅過ぎるということはない etc…

 

第3部 正解を知るのは顧客だけ

            冷静さを保てば運を呼び込める

            成功する起業家は例外なく成功よりも失敗を多く経験している etc…

 

第4部 仮説を証明し勝負に出る

            究極の顧客行動への道のりを最短にせよ

            不運に備えて蓄えろ

    小さく賭けて自分の正しさを検証する、それまではオールインに出るな

    当初のアイデアの良さは、常に相対的なもの etc…

 

 

と、ここまで書いて気づいたが、上記だけでは本の中身が硬いように感じられてしまうかも?!?

だが先にも書いたように、この本は小説の形を取っているおり、日本でいうと ≒ もしドラ 的(笑)


上の内容を、どう小説に変換してわかりやすく伝えているか、は読んでもらうのが一番。

興味を持たれた向きには、是非試して頂きたい!


結論:小説という形を取って解りやすく起業家のあるべき資質を問う、ユニークかつ稀有な一冊!


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次々とアイデアを事業に仕上て上げるリクルートという会社。

実は2つ知りたいことがあった。


1.ヤング層をターゲットにしたフリーペーパー「R 25」は一旦成功したのに引き際が早かった。

   どういう判断だったのか。

 

2. 最近、iPad で無料で使えるレジアプリ  が配布されている。

   この意図は?

 

 

この本ではこの解答が得られただけでなく、リクルート自体に存在する考え方・メソッドを明らかにする。

こんな本、始めて!

 

 

以下のような新鮮なキーワードが沢山。

世の中のをアイデアへ」

「リボンモデル」

「小さなS字、を積み重ねる」

「大きなS字、への乗り換え」

「勝ち筋」を見つける(R 25 にはそれがなかった)

「価値マネ」

「ぐるぐる図」(縦・横)

「価値KPI」(良いKPI・悪いKPI

「型化」

 

それぞれのコトバにどんな意味があるかは、読むと解る。

実際のリクルートの事業の成長過程の中に、これらのコトバが生きているからだ。説得力十分!

 

例えば、

「ホットペッパー」

クーポンや広告 → 予約サービスに舵を切る

ここでiPad で無料で使えるレジアプリ = Airレジ 登場!

データ化したことで「神速」で S字 を生むようになった。

 

「受験サプリ(スタディサプリ)」

個々の生徒がどこでつまづいたかをオンラインで把握し効果を上げる(世の中の “不” をアイデアへ)

 

「じゃらん」
広告モデル → マッチングモデル(成功報酬型)に転換(リボンモデルの深化)

 

「カーセンサー」

「送客」→「成約」へ(価値KPI  の見直し)

 

「ゼクシィ」

「結婚を考えている男女」→「結婚相手がいない男女」へ(きなS字、への乗り換え)

 

「ホットペッパー」

札幌での成功を徹底分析し「ぐるぐる図」(縦・横)をまわし、「価値マネ」し「型化」。

 

 

しかもこれらのコトバは、
【ステージ1】「0→1」 

【ステージ2】「1→10」前半 勝ち筋を見つける

【ステージ3】「1→10」後半 爆発的な拡大再生産

の3つのステージごとに基本、構成され適用される、という念の入った形態!

 

 

結論:人材だけでなく、構造・構成化された「成功への執念」がリクルートの強み!

 

 

P.S. 本日発売の日経ビジネスでもリクルートの特集記事が。

リボンモデルに似た図もあったり、買収したインディード関連の記事もあり、なかなか読ませます!



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その男は、万建華。

 

銀聯(ぎんれい)カードの初代総裁。

現在は、証通董事長、上海インターネット金融協会会長。

 

 

 

一方「中国が猛スピードで「キャッシュレス社会」に変貌」

これはyahooトピックスに数日前に出た記事。

それによると…

・中国のモバイル決済の規模は去年、前年比5倍の約59兆元(約1000兆円)

・これは、世界のモバイル決済規模の約50%!

 中国ではクレジットカードが浸透していないことも拍車をかけた。

・日常の支払いのほとんどは銀行カードと連動するスマートフォン1台でOK

 代表的なのは、やはり2社のサービス(共に時価総額40兆円!)

  アリババのモバイル金融サービス「支付宝(アリペイ)」

  テンセントの「ウィーチャット・ペイ」

 

 

この本は、目の前で起こっている現実を創った男が述べる、実現への道のり。

章立ては以下のよう。

 

第1章 金融の変遷

第2章 恐竜は死なず

第3章 証券会社の羽化

第4章 決済は天下に通ず

第5章 通貨再生

第6章 勝者総取り「勝者はすべてを勝ち取る」

第7章 未来の道

 

必読は、銀聯(ぎんれい)の展開を語る第1章、とモバイルの第5~7章か。

中国独特?の論旨展開で面白がせつつ、彼のビジョンが垣間見える。

ワーディングを幾つか紹介するだけでも、その一端が垣間見える。

光速30年

新銀行=「店舗/建物」+「マウス」+「親指」

アカウントを掌握する者が天下をつかむ。

通貨にとって代わる者=仮想通貨 etc... 

 

 

恐るべきことに、この本が書かれたのは4年前の 2013年。

最近になり遂に始まりつつあると言われる、政府の介入。

著者は一体、どんなスタンスなのだろうか?!  

非常に興味深い。

 

結論:



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シンギュラリティと言えば、カーツワイル。

当ブログは早い段階から、レイ・カーツワイル は追っかけてきたつもり。

 

2006年11月05日 アップ

NHK 未来への提言 レイ・カーツワイル 加速する技術の未来を具体的に語る。超刺激的。  

 

2007年08月11日 アップ

読後評:The Singularity is near (邦題:ポストヒューマン誕生)  

 

そしてそれからあっという間に10年が経過していた(笑)

 

特に最近、現在2017年視点でシンギュラリティの現在・未来をアップ・トウ・デイトしてくれる点で有効な一冊が登場。

読後評:シンギュラリティ・ビジネス AI時代に勝ち残る企業と人の条件

 

この本はこの10年をサマライズする内容だったが、今作はもっとその最前線。

もっと具体的なのが遂に届いたのだ!

 

例えば、

第2章  人工心臓

第3章 腎臓、肺、肝臓

第4章 糖尿病、人工膵臓

第5章 治療と能力増強(エンハンスメント)の境界線

第6章 脳 アルツハイマー治療、マインド・アップローディング

 

と、最新のテクノロジーの試みを次々と紹介していく。

 

 

SFが近未来現実に?!な感覚がどんどん高まっていくが、その感覚は、 第7章 と 第8章 で極まる。

 

第7章 エイジレス社会 では、治療・アンチエイジング手法としての「ナノボット」が議論に。

「テクノ生理学的進化」という言葉にリアリティが生じてくる!

 

  

ダメ押しは、第8章。

この章では医療と 「ソーシャルロボットの時代」を扱う。

ここで過去 SF でチラ見してきた近未来が現実に迫ってきていることを実感!

 

・アンドロイドとの笑えちゃうぎこちない会話(新スタートレック データ少佐)

・ギャグ度設定できるロボット(インターステラー TARS)

・開腹手術をロボットが行う(プロメテウス)

 

 

と一気にガブリ寄っておいて最終章。

この各技術の「エンハンスメント」が人類の本質を変えるのか

どんな現実的問題が起きるのか

「ホモ・サピエンス」の概念の捉え直し =「人」と「マシン」の境界線は曖昧に?

 

 

結論:シンギュラリティ接近中、初めてリアルに感じさせる一冊(汗)



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日本ではほとんど知られていないのに、アメリカでは伝説の天才科学者。

「Mr.トルネード」の名で知られる、藤田 哲也 Tetsuya Theodore Fujita のこと。

 

32歳で渡米、シカゴ大学の教授になり、気象学を研究。

なぜ「Mr.トルネード」と呼ばれるようになったか。

 

それは「ダウンバースト」を発見した人物だからだ!

 

 

「ダウンバースト」とは何か。

局地的に発生するトルネードのこと。

 

航空機が、着陸直前にこのダウンバーストを食らうと、一瞬機体が浮き上がり直後に失速する。

ベテランの機長であればあるほど、一瞬浮き上がった際に機首を下げる。

その直後に失速してしまうので、地上に叩きつけられる、というわけだ。

 

この発見により、飛行機事故が激減。

アメリカでレジェンドとなり、Mr.トルネード と呼ばれるようになった!

 

 

この企画、元々は NHK「ブレイブ 勇敢なる者」シリーズの第一弾(昨年 5/2 放送)とのこと。

見逃してた!

 

 

本人曰く、気象学出身ではなく機械工学出身だったことが彼にユニークネスを与えたそう。

気象学出身だと気象図が発想の元になるため、どうしても二次元的に陥りがち。

機械工学では、常に立体的な三次元構造で発想するので、違うアイデアが出てくる。

彼には絵や図を自分で素早く描ける技術も身についていたので、アイデアを直ぐ形に出来た。

トルネードのようにこれ以上ない三次元を分析検討するのに有効だったわけだ。

「本流」じゃないからこそデキる事が明確にあった、というのは痛快!

 

 

このMr.トルネード、アメリカで生き抜くためか、経歴のみならず、そうとうユニーク。

いくつか列挙してみる。

 

まず名前。

藤田 哲也 Tetsuya Fujita だと女性に間違われることが多かったそうで、自らミドルネームを。

それは、セオドール Theodore

アイゼンハワーから借りてきたらしい!

 

彼のしゃべる英語は日本語英語だったそうだが、それ以上のユニークさが。

そこで登場する言葉は、「フジタ語」(笑)

 

彼の才能を説明するこんなフレーズも。

「彼は気象学会のウォルト・ディズニー」

やっぱアメリカ、こんなフレーズさえ凄いわ!

 

 

結論:「本流」じゃないからこそデキる事を、アメリカで徹底追求したオトコのユニークな人生。

 

P.S.漫画化、もされているよう。

   子供の夢を育むのに、いいかも!



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