ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

新・海外定住時代

2020-09-20 19:22:22 | 徒然の記

 佐藤真知子氏著「新・海外定住時代」( 平成5年刊 新潮社 ) を、読みました。これも図書館でもらった廃棄図書ですが、興味深い一冊でした。息子たちや、「ねこ庭」を訪問される方々に、紹介したくなり、急遽ブログに向かっています。菅内閣について述べる方が先だと、思われる方もおられるのでしょうが、氏の著作を優先しました。

 「日本」のことや「愛国心」について、私はブログでずっと述べてきました。日本でマスコミは、私のような人間を評して、「右翼」と言います。愚かしいレッテルに反発し、何度もマスコミ批判をしました。この本は、そんな私に「日本」と「愛国心」について、冷静に考える材料を提供している・・と、そんなふうに考えました。

 本の内容は、オーストラリアに定住している日本人を訪ね、暮らしぶりをレポートしたものです。「日本」や「愛国心」がテーマでなく、オーストラリアに定住する日本人の生活を書いたものです。読んだ私が、「日本」と「愛国心」について考えさせられた・・と、こういう説明の方が正しいのかもしれません。

 単なる偶然なのか、平成5年の本は、どれも私を考えさせてくれます。落合信彦氏の『1994年  世界は、』も、日高義樹氏の『1994年世界はこう動く』も、平成5年の出版でした。ネットで、当時の総理大臣と官房長官、衆議院議長の名前を調べてみました。

  • 内閣総理大臣・宮澤喜一  ( 自由民主党  ) 8月9日より細川護煕( 日本新党 )
  • 内閣官房長官・河野洋平  ( 自由民主党  ) 8月9日より武村正義( 日本新党 )
  • 衆議院議長 ・櫻内義雄  ( 自由民主党  ) 8月9日より土井たか子( 日本社会党 )

 政治状況も説明されていましたので、参考までに転記します。

 「バブル崩壊後の政治状況は、1992 ( 平成4 ) 年の、」「東京佐川急便事件に端を発した、金丸信の議員辞職、」「経世会分裂、小沢一郎の新生党の旗揚げなどによる政界再編、」「細川政権誕生による、55年体制の崩壊と政治改革、」「その後の細川首相の電撃辞任と、羽田首相の短期政権、」「さらに自社さ連立政権による、村山富市への政権交代など、」「政権が転々として混迷を極めており、政府はバブル崩壊後の経済状況に、」「十分な対応ができなかった。」

 説明を読みますと、激動の政界を、懐かしいというより、混乱の日々として思い出します。当時に比べれば、安倍内閣から菅総理への交代は平穏なもので、取り立てて騒ぐことはありませんが、似ているところもあります。細川首相は当時のクリントン大統領から、官房長官の竹村氏が北朝鮮のスパイだと耳打ちされました。今回は組閣直前の菅氏が、米国情報機関から、二階氏と今村氏は親中派だと名指しされています。

 相変わらず反日・左翼の野党が、昔の夢をもう一度と、くっついたり離れたり、反自民を叫んでいるところも似ていますが、違う部分があります。

 1. 国民は、政権欲しさで合体した反日・野党の無能さを、いやというほど体験している。

 2. 菅氏は、無責任に政権を投げ出す細川氏のように、短気な政治家ではなさそうだ。

 だから私は、氏の著書に向かう、気持のゆとりがあるのかもしれません。何時ものように、氏の略歴を紹介します。本の裏扉に書かれています。

 「1944 ( 昭和19 ) 年、京都生まれ。」「働きながら、西京高校定時制を卒業。」「1966( 昭和41 ) 年、当時新聞記者であった、杉本良夫氏 ( 現・ラトローブ大学教授 ) 、」「と結婚。」「6年間のアメリカ滞在後、メルボルン郊外に居住。」

 私と同じ昭和19年生まれですから、76才です。働きながら高校を卒業したという経歴だけでも、氏が意志の強い、頑張り屋だったことがうかがわれます。今から17年前の本ですから、今もそうなのかどうか、私は知りませんが、書き出しの部分を転記してみます。

 「海外で定住するという生活様式を、選ぶ人が増えている。」「その目的地として、最近は、オーストラリアを考えている人が多い。」「私はこの19年間、メルボルンに暮らして、」「そういう人たちの往来を、目の当たりにしてきた。」「希望に膨らむ夢を抱いて、この国の土を踏む日本人の数は、」「年々増える一方である。」

 息子たちにとっては、何でもない叙述でしょうが、私には「時代の流れ」を感じさせる文章です。氏や私の高校・大学時代は、外国へ出かけること自体が難しい日本でした。個人の観光旅行などでは、政府がパスポートを発行してくれませんでした。

 1. 政治家や政府の役人等   2. 経済界の役員またはそれに準ずる者等

 3. マスコミ関係者等      4. 学問・芸術分野で活躍している者等

 確か、そういう範囲の人間にだけパスポートが発行され、現在のように、気楽に観光旅行をする個人には、扉が開かれませんでした。禁止されると一層、気持ちが高まりますから、中学・高校・大学を通じて、外国は私の憧れでした。アメリカやヨーロッパなら、どこでもいいと、夢を燃やしましたが、今となってみますと、嘘のような話です。

 ですから氏が、アメリカで暮らし、オーストラリアで生活していたと知りますと、当時の基準から言えば、大した経歴の持ち主・・ということになります。息子たちの参考のため、付け加えておきますと、私が外国へ行きたいと切望した理由は、二つでした。

 1. 映画や本で知った西欧諸国への単純な憧れ

 2. 日本人であることは、世界では、どんな意味があるのか。日本人であることは、何なのか。

 二番目の疑問は、今も私の中にあり、こうしてブログを書く日々につながっています。偶然、同世代の氏の著書に出会い、日本という国の昔を思い出し、書かずにおれなくなりました。菅内閣のことも気にかかりますが、「日本」や「愛国心」について考え直してみるのも、同じくらい大事なことです。

 次回から、本題に取り組みます。

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