雑誌『選択』に寄稿した、二階氏の意見の紹介を続けます。
・今後は観光部門の機能強化、関係する行政分野への積極的な関与など、「観光立国」に向けて推進体制を増強する必要がある。
もしかすると氏の権限は、この時すでに、小泉総理を超えていたのでしょうか。自慢話の「寄稿文」を読んでも、それでも二階氏に任さざるを得なかったほど、「観光立国」は重要な政策だったのでしょうか。
・組織・予算の増強とともに、具体的には、中央・地方機関の人員増強、「観光関連税(免税店振興税、ホテル税、カジノ税など)を財源とした「特別会計」の創設や、それを含めた予算の増強、「観光関連産業」(宿泊施設、旅行業者、土産物店など)の振興、「WTO」、「APEC観光作業部会」、「OECD観光委員会」、国際協力への対応強化、地方自治体やNPOとの連携強化などが、考えられる。
氏の意見は国土交通省だけでなく、関係する他省にも及びます。政治家の介入に抵抗する官僚たちも、予算が増えたり組織が大きくなったりする分には、無言のエールを送ったのでしょうか。
・「観光行政」の体制強化は、日本の観光立国に向けた、積極的な取り組み姿勢を海外に示すとともに、国内に対しても政府の意気込みを示す上で、非常に有効である。『観光庁長官』や『観光大臣』は、そのシンボル的な存在となる。
・世界的にも、フランス、イタリア、オーストラリア、韓国など、「観光省」の設置国は多く、日本にも相応の対応が必要だ。最終的には『観光省』設置が望ましい。
ここまで分かりますと、二階俊博氏とはどういう人物なのか。当然知りたくなります。別途経歴を調べてみましたの、で紹介します。
・昭和14年、和歌山県御坊市生まれ、81才
・中央大学法学部卒 和歌山県議会議員
・自民党衆議院議員 12期 自民党幹事長( 第48代 ) 「志帥会 ( しすい かい ) 会長( 第5代 )
・所属 政党歴 : 自民党 → 新生党 → 新進党 → 自由党 → 保守党 → 新保守党 → 自民党」
・ 大臣履歴 ・6、9、1 0代 経済産業大臣 ( 小泉、福田、麻生内閣 )
・75、76代 運輸大臣 ( 小渕内閣 )
・69、70代 北海道開発庁長官 ( 森内閣 )
次に、自民党内の現在の派閥を一覧で示します。二階派は、名門派閥「宏池会」に並ぶ第4位で、党内での発言力は十分にあります。というより、無視できない勢力です。
1. 細田派 ( 清和政策研究会 ) 97人
2. 麻生派 ( 志公会 ) 56人
3. 竹下派 ( 平成研究会 ) 54人
4. 二階派 ( 志帥会 ) 47人
5. 岸田派 ( 宏池会 ) 46人
6. 石破派 ( 水月会 ) 19人
7. 石原派 ( 近未来政治研究会 ) 11人
8. 無派閥 67人 合計 397人
気になったのは、氏の所属政党歴です。政党を出たり入ったりする政治家には、ろくな人物がいないか、あるいは志を絶たれ、失意の境遇になるなどしています。ネットの情報から得た、氏の党歴を詳しく紹介します。
1. 平成5年、宮澤内閣不信任決議に賛成し、自民党を離党。小沢氏と共に、新生党結成に参加
2. 細川内閣で、運輸政務次官に就任
3. 細川・羽田政権後、新進党に参加。小沢氏の側近として、氏の党首選出に尽力
4. 平成8年、第41回衆議院議員選挙で、自民党候補者を破り、5連続当選を果たす
5. 平成10年、新進党分裂後、小沢側近として自由党結党に参加
6. 自由党国対委員長として、自自連立政権樹立に動き、平成11年の小渕内閣で、運輸大臣兼北海道開発庁長官として、初入閣
7. 平成12年4月、連立解消を主張する小沢氏と袂を分かち、野田毅、扇千景ら連立継続派と共に、保守党を結成
8. 第一次森内閣で、運輸大臣兼北海道開発庁長官に留任
9. 平成14年保守党の後継政党保守新党でも、幹事長に就任
10. 平成15年第43回衆議院議員選挙で、保守新党は惨敗し、自民党に吸収された
小沢氏と初めは行動を共にしますが、見切りをつけて別れるなど、保守政治家としての節操もすれすれのところを歩いています。
しかし次の情報を得て、確信しました。「これはもう、獅子身中の虫、自民党に巣食う害虫の親玉」
紹介は、次回といたします。