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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

茂木誠氏の『超日本史』 ( 世界との関係で語られる日本史 )

2020-04-04 08:38:48 | 徒然の記

   『超日本史』、神谷宗幣 ( かみやそうへい  ) 氏の司会で、茂木誠氏が解説する動画のタイトルです。

 偶然に見つけ何気なく見ていましたら、虜になってしまいました。

 一回の講義が、2、30分にまとめられた、40回以上の続きものです。現在24回の講義を、聴いています。学校で習った授業と違う視点で日本史が語られ、「眼から鱗」の内容ばかりです。

   旧石器時代   縄文時代   弥生時代    古墳時代   飛鳥時代   奈良時代

   平安時代    鎌倉時代   南北朝時代   室町時代(戦国時代)   安土桃山時代

   江戸時代    明治時代   大正時代    昭和時代  平成

 大きな時代区分に従い、中学校でも高等学校でも、時代ごとの日本史を習ってきました。日本の出来事が中心に語られ、同じ頃、他の国はどう動いていたのか、日本にはどんな影響があったか。それについては、ほとんど教えられませんでした。

 高校になってから、歴史の授業が「日本史」と「世界史」に別れ、教える先生と教科書が別々になりました。

 つまり私たち生徒は、日本史と世界史を別のものとして学び、教える側も、相互の関連を重要視していませんでした。出来事と年代と主要人物の名前と、必要な文献があれば、その名前など、沢山のことを教わり、黒板いっぱいの文字をノートに写すだけで授業が終わりました。全ては受験のための知識でした。

 しかし茂木先生の講義は、最初から、世界の国々との関係で説明されます。縄文時代の出土品、稲作伝来、仏教伝来、白村江の戦い・・どれをとっても、中国の王朝や朝鮮の国々と、密接なつながりがあります。

 これまで、秀吉の朝鮮出兵は、馬鹿げた夢想として教わってきましたが、世界史との関係で語られますと、違った内容になります。

 世界制覇を目論む強国のスペインが、中国を占領したら、次は日本がやられてしまう。それならスペインより先に、明を滅ぼしてしまえと、秀吉の計画は大きなものでした。

 突飛な話なので、最初は眉唾物かと思いましたが、鎌倉時代の元寇の役について説明されると、あながち否定できなくなりました。モンゴルに支配された中国が、朝鮮経由で攻めてきたのが元寇の役で、あの時押し寄せて来たきた軍は、中国と朝鮮の兵が多数を占めていました。

 モンゴルは自軍の消耗を防ぐため、属国兵を先頭に立たせ、日本を攻撃したのです。スペインに、同じことをもう一度やられたら、日本は危ないと秀吉は本気で考え、明へ軍を進めたと言う説明でした。

 とんでもない思いつきと考えるのは、むしろ今の私たちの無知で、秀吉の考えは、信長からの影響でした。信長は世界の情勢に興味を持ち、贈られた地球儀を眺めながら、世界に思いを巡らす武将でした。その彼を主と仰ぐ秀吉が、同じ地球儀を見ながら、異国の使節や貿易商たちの知恵を無駄にしなかったと考えて、何も不思議はありません。

 そう推測する方が、自然でもあります。どうして、こんな思考ができなかったのかと、返って自分の了見を反省させられました。

 「朝鮮征伐」「朝鮮出兵」と、日本史では説明されますが、本当は「明征伐」だったのであり、朝鮮は通り道に過ぎなかったと、茂木氏が説明します。

 通過の容認を申し入れても、朝鮮が認めないから戦争になったと言います。私の頭では、日本史が、日本中心にしか考えられなくなっていますが、氏の講義を聞きますと、日本は神話の時代から、朝鮮やシナとの交流が活発にあり、島国に閉じこもっていた訳ではないと教えられます。

 大和朝廷、出雲王朝の頃、朝鮮には日本の領地さえあり、日本人と朝鮮人が、互いに往来していました。

 信長による一向宗の門徒への弾圧、秀吉のバテレン追放、家康の鎖国など、日本史上の有名な出来事が、スペイン、ボルトガル、あるいは十字軍などの動きと関連して説明されると、全く別の様相になります。生徒だった頃の私は、封建時代の支配者たちが武力にものを言わせ、無益な弾圧をしたと教わり、眉をひそめたものです。

 しかし、世界の政治や宗教との関係で説明されますと、信長も秀吉も家康も、日本の国と国民を守った、英明な統治者に変貌します。眉をひそめるどころか、感謝すべきご先祖様となります。

 私は今の今まで、日本が列強に危機感を抱いたのは、幕末の時からだと思ってきましたが、古代からずっと他国への警戒心を忘れず、国の守りを怠らなかったのだと教えられ、目の覚める思いがいたしました。

 神谷氏と茂木氏の講義に惹かされたのは、内容の奇抜さばかりではありません。頑迷な保守人に有りがちな、熱弁がなく、普通の顔と普通の声で、時には笑顔で語られる講義の雰囲気でした。

 2月に紹介しました『李承晩TV』と比較すれば、その違いがよく分かります。

 講義したのは、元ソウル大学教授・経済史学者の李栄薫(イ・ヨンフン)氏でしたが、笑顔は一度もありませんでした。韓国の反日教育を嘆き、糾弾し、国民の覚醒を訴えて、熱のこもる口調には苦悩の響がありました。

 茂木氏の講義内容にも、李氏と同様の深刻さと言うか、重さと言いますか、変わらない真剣さがありますが、語り方の明るさに救われました。韓国の教科書には、反日の嘘が詰め込まれていますが、日本の教科書にあるのは、嘘でなく、肝心な事実の省略です。

 戦後の左翼学者の本と同じで、それとなく偏向した、反日調の文章になっているのが現在の日本史だと、新しい発見をさせられました。

 この新鮮な驚きを、どうすれば息子たちに伝えられるか。

 次回はここに焦点を絞り、頑張ってみます。長生きはしてみるものです。こんな「日本史」に出会えるのですから。

コメント (4)
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