第14回の動画は、「秀吉と伴天連」という表題でした。両氏の対話を、記憶の中から呼び戻し紹介してみます。( 注:バテレンとは、ポルトガル語で宣教師の意味 )
茂 木・・ 秀吉の「バテレン追放令」て、知ってますか。
神 谷・・ 歴史の時間に習いました。秀吉が禁止したのは、キリスト教の平等思想が入ってくると、封建
制の秩序が壊れるから、反対したのだと教わりました。
茂 木・・ しかし当時のヨーロッパは、封建制で、身分制もガチガチですよ。むしろキリスト教と封建制
は、矛盾しないんです。
神 谷・・ そうなんですよね、おかしな話です。
茂 木・・ なんで日本でだけ、そんな話になるのか。説明がないんですよね。そんな時は、元の資料を読
めばいいんです。
茂木氏は、「バテレン追放例」が出された前提条件として、九州の状況から説明します。この時秀吉は、「本能寺の変」後に山口と九州を平定し、福岡に滞在していました。彼は二つの話を聞き、大いに驚きます。
1. 長崎が、イエズス会の領地になっていたこと。
2. 宣教師が、ポルトガルの貿易商人と結託し、日本人を奴隷として売買していること。
こんな話を初めて聞きましたので、秀吉より私の方がびっくりしました。『九州御動座記』という文書には、秀吉の「バテレン追放令」だけでなく、次のような記述があります。
1. バテレンらは、種々の宝物を山と積み、キリスト教繁栄のための計略を巡らせている。
2. 五島、平戸、長崎では、日本人を数百人、男女を問わず黒船が買い取り、南蛮船に、手足に鉄の鎖を
つけ、船底に追い込み、連れ去っている。
信長の無念を晴らし、天下人となったばかりの秀吉は、この話を聞き即座に「伴天連追放令」を出します。分かりやすいように、茂木氏が現代文にして読んでくれました。
1. 日本は神国であるのに、キリシタン国から邪宗を持ち込むとは、怪しからぬことである。
2. 領民に近づき、門徒とし、神社仏閣を打ち破らせるとは、前代未聞のことである。
3. キリシタン入信は、個人の自由だとしても、大名の入信は許可制とする。大名は、領民への改宗を強
制してはならない。
4. 黒船については、商売だけ許している。仏教の妨げをしない限り、キリシタン国との往還は許す。
5. 伴天連 ( 宣教師 ) については、日本滞在を許さない。本日より20日の間に帰国すべし。
6. 南蛮、中国、朝鮮へ、日本人を売ることを禁ず。
「追放令」が出された時の、日本の状況がどうであったのか。説明を聞きますと、怒りの念さえ湧いてきます。これを踏まえた上で「追放令」を読めば、天下人としての秀吉の気概と矜持が、理解できます。
茂 木・・ 秀吉の「バテレン追放令」て、どうですか。真っ当なことばかりですよ。どこがおかしいん
ですか。
神 谷・・ 書かれていることは、当然じゃないですか。しかしなんで、教科書でこれを教えないんで
しょうね。
茂 木・・ 理由が二つあります。宣教師の文書は、ラテン語で書かれていますから、日本の歴史学者
は、読める人が少ないんです。・・これが一つ。読める人は、クリスチャンの歴史学者です
が、彼らは「日本にキリスト教が入ったのは、良いことだ。」と、考える人たちです。
だとしたらこんな話は、教科書に載せません。・・これが二つ目の理由です。
茂木氏の説明は「眼から鱗 ( うろこ ) 」の話です。歴史が正しく伝えられないのは、朝鮮や中国ばかりでなく、日本も似たようなお粗末さであると知りました。戦前と戦後の歴史教科書が、どのように変化したのか。いつかそれを勉強してみたいと思います。
茂 木・・ 大阪は、秀吉の地元ですが、大阪での人気はどうですか。
神 谷・・ 昔は太閤さんと呼ばれて、すごい人気だったと聞きますが、今はまあ、普通ですね。むしろ
朝鮮出兵などして、悪い人のイメージの方が強いんじゃないですか。
茂 木・・ 秀吉の朝鮮出兵を、大東亜戦争の時の、大陸侵攻と重ねる学者もいますからね。戦前褒めら
れていた人物が、戦後はダメになるという例が、たくさんあります。「好戦的な人間を、
美化しするのはけしからん。」と、リベラルな歴史観が広まった結果なんですね。
「超日本史」の動画は、このスタイルで語り続けられます。
ネットで検索しましたら、私の見つけた、秀吉の「バテレン追放令」の原本は、『九州御動座記』からではありませんでした。だから茂木氏の説明とは少し違っていました。
だがこれは、引用した文献の差で、捏造や嘘には該当しないと思いました。むしろ茂木氏の広範な知識と、反日左翼への反証と反論の精神に共感を覚えました。
田中英道氏のような学者と、両氏が共有しているのは「国を大切する心」です。田中氏も、神谷・茂木 両氏も、ついでに加えるのなら「ねこ庭」のブログも、手段が違っていても、目指しているのは「愛国心」です。
私は無名である両氏に、心から声援を送りました。
「超日本史の動画」の紹介は、本日で終わります。あとは興味のある方が、それぞれで見られることをお勧めします。私の拙いブログより、本物の講義の方が面白くて為になりそうです。