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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

ハンチントン氏著『文明の衝突』 - 23 ( ハンチントン氏が教える、あるべき日本 )

2019-11-09 21:01:46 | 徒然の記
  自分の意見をあり得ない空想とする人は、そう思ってもかまわないと、氏が述べています。
 
 20年前といえば、「日米安保条約」が揺るぎないものとして語られている時です。同盟国であるアメリカの学者が、日本を疑問視する意見を述べ世界に公開しました。
 
 この事実から、私が学ぶべきことがあります。それは、自分の国は自分で守らなくては、誰も守ってくれないという現実です。氏に言わせれば当然のでしょうが、戦後の日本人つまり私たちは、73年間現実から目を逸らしてきました。
 
 「孤独な文明国日本」と氏は定義しますが、孤独でない国は地球のどこにも存在しません。共通の文明国同士でも互いに競い合い、疑心暗鬼し警戒しています。異なる文明があり、対立する国や集団があれば、警戒を忘れないのが人間でどの民族にもある防衛本能ではないでしょうか。
 
 それを知る私たちのご先祖は、努力を重ね、外国の侵略に備えてきました。今更氏の著書に感心する私のようなおめでたい人間は、日本の過去にいなかったと読書が教えてくれました。戦後の日本と日本人が、異質な世界に住んでいたのだと気がつきました。
 
  ・そうこうする間にインドは、中国が、東アジアに縛りつけられている好機に乗じ、パキスタンに攻撃を仕掛け、この国の核兵器と通常戦力を弱めてしまおうとする。
 
 氏はさらに「第三次世界大戦」を予測します。氏は即座に、パキスタンとイラン、中国の軍事同盟が動き始め、駆けつけたイスラム諸国のテロ組織がインド各地で活動すると言います。とうとうインドは、泥沼のような戦争へと引き摺り込まれます。まだ先がありますが省略し、日本に関する部分を紹介します。
 
  ・戦っている中国とアメリカは、それぞれ他の主要国へ呼びかけ、支援を要請する。中国が軍事的に勝利したのを見て、日本はおずおずと中国へ擦り寄り始め、中国寄りの積極的な中立へと立場を変え、やがて中国の要求に従い参戦する。
 
  ・日本軍は国内に残る米軍基地を占領し、アメリカは急いで、駐留部隊を引き上げる。
 
 実際に日本がこうした行動を取るのか、私には疑問ですが、問題は氏が、日本をこのように見ているところです。
 
 学者としての研究からくる思い込みかと、善意の解釈に苦慮します。「中華文明」と「西欧文明」と「日本文明」は、それぞれ異質ですが、日本とアメリカと中国と並べてみれば、同質性は日本と中国にあります。
 
 実際今でも、「一衣帯水」「同文同種」と、互いを懐かしむ政治家や学者が日本に多くいます。国民を弾圧する共産党政権でさえなければ、親中の日本人はさらに増えるのかもしれません。古代の日本は中国の生徒でしたから、ハンチントン氏がこういう見方をしても間違いとは言えません。
 
 米中の戦争を契機に第三次世界大戦となりますが、詳細で煩雑なので途中を省略します。
 
  ・アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、インドは、こうして中国と日本とイスラムの大部分を相手に、真の世界大戦に突入する。
 
 注目すべき点は、日本が西欧の不倶戴天の敵であるイスラム勢力の側の国として語られているところです。
 
 イスラムと日本に共通するものはなく、日本はただ中国との戦いで、弱みを見せたアメリカを攻撃したという氏の予測に過ぎません。氏の目に見えている日本は、誇り高い独立国でなく、単なる風見鶏国家です。ロシアと戦い、中国と戦い、米英とも戦った昔の日本なら、氏はここまで蔑視したでしょうか。
 
 息子たちに言います。
 
 戦前の日本を「軍国主義国」「侵略国家」と、多くの人間が攻撃しますが、果たしてそうだったのかと疑問を抱いて欲しいのです。敗戦を機に日本人は、神国日本から軍備放棄の平和国家へと、思考を極端に振ってしまいました。ご先祖を全て否定した間違いに気づく時が来ていることを、氏の著書が間接的に教えている気がします。
 
 次回は、第三次世界大戦の結果、国際情勢がどうなったのか。ここまでくれば、最後まで氏の意見を紹介します。
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ハンチントン氏著『文明の衝突』 - 22 ( 日本国憲法と、アメリカの国民感情との断層 )

2019-11-09 13:15:50 | 徒然の記
   氏の意見を紹介する前に、息子たちに「日本国憲法」の前文の一部を紹介しようと思います。
 
  「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する、崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の、公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を、保持しようと決意した。」
 
  「われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を、地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。」
 
  「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげて、この崇高な理想と、目的を達することを誓う。」
 
 かって私は、この言葉に感動した時がありました。冷静に読みますと、文章自体は酷いもので、アメリカに渡された英文を急いで訳したとしか思えない、おかしな日本文になっています。
 
 石原慎太郎氏に指摘されるまでもなく、そのことは分かります。
 
 米国の著名な政治学者であるハンチントン氏が、著書のどこで、「日本国憲法」の素晴らしさにを語っているでしょう。この憲法を日本に与えた米国人の一人である氏が、これほどぶ厚い本の中で一言も言及していないのはなぜでしょう。
 
 文明の衝突という視点で歴史を眺めている氏には、「日本国憲法」が論評に値しないのです。繰り返す文明の衝突を見れば、「平和を愛する諸国民」は、世界のどこにもいません。諸国民の公正と信義を信頼し、自分たちの安全と生存を預けようと、そんな決意をする人間は日本以外にいません。
 
 理想と崇高な目的はいつの時代にあっても、闇夜を照らす明かりです。
 
 しかし一方で私たちには、現実を見る賢さも必要です。お人好しの善人では、国際社会で生き抜けません。昔大宅壮一氏が、テレビに毒される日本人を評して、「一億総白痴化」と言ったことがあります。このまま国際社会の現実に背を向け、国を破滅させる「憲法」を、神のように崇め続けるというのなら、日本国民は、「一億総お花畑」ということになります。
 
 というより、すでにそうなっていることをハンチントン氏が、「日本国憲法」を無視することで教えているのではないでしょうか。
 
  ・日本は国内の米軍基地を、対中軍事行動に使用するのを禁じるが、アメリカはその禁止を無視する。そこで日本は中立を宣言し、米軍基地を制裁隔離する。
 
 「日米安保を堅持すれば、日本の平和と安全は守られる。」
 
 と、保守政治家の多くが強調しますが、氏は日本人を信じていません。
 
 米中が戦端を切れば、日本はどっちつかずの「中立」になり、米軍基地の使用を禁止すると、そう考えています。実際に日本の政治家が、どのような判断をするのかは分かりませんが、米国の学者に信頼されていない事実だけは知っておく必要があります。
 
 氏がジョンソン政権とカーター政権に関わった人物だという事実も、忘れてはいけません。
 
  ・中国とアメリカは、互いに相手の領土に届く、ミサイルを所有しているので相殺効果が生じ、戦いの初期に核兵器は使われない。核攻撃に対する恐怖感は、どちらの国にもあり、とりわけ、アメリカに強い。
 
  ・やがて多くのアメリカ人は、どうして自分たちが遠いアジアのため、このような危険にさらされるのかと疑問を抱き始める。
 
  ・南シナ海やベトナム、ひいては東南アジアの全域を中国が支配したとしても、大したことでないではないかと思い始める。中国の覇権主義勢力を打ち負かすには、あまりにも負担が大きい、この辺で終止符を打とうではないかということだ。
 
 アメリカを第一とし国益を優先させれば、こうした考えが出てくるのは当然です。もともとアメリカはモンロー主義の国で、他国に干渉しないという文化を持っていましたから、氏の意見が的外れとは言えません。
 
 的外れどころか現実に台湾と尖閣問題で米中が激突したら、米国は日本を守らないということが語られています。20年前の予測ですから外れているものもありますが、アメリカの外交姿勢の基本は変わりません。
 
 「いざとなったらアメリカは、自国ファーストの国になる。」
 
 「日米同盟があっても、核戦争の危機となれば日本を守らない。」
 
 「というより、守れない。」
 
 氏の意見の正しさが、ロシアとウクライナの戦争で証明されました。プーチン氏が核攻撃を示唆しただけでバイデン氏は腰砕けになり、ウクライナへの支援をやめました。まして日本のためにおやです。
 
 スペースの都合で、続きを次回としますが、聞く価値のない推測と思う方は、スルーしてください。ただし息子たちは、私の後をついて来て欲しいと思います。
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