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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

櫻井よしこ氏著『日本の危機 - 解決への助走』 -22 ( 約束を守らなかった野中氏 )

2019-11-27 16:58:16 | 徒然の記
   もう一度「朝銀関係信用組合」の話に戻り、櫻井氏の説明を紹介します。
 
  ・小渕政権は「金融制度の安定化」を目指し、総額60兆円の支援策を打ち出したが、今その裏で、奇妙な事実が進行中だ。
 
  ・潰れてもおかしくない北朝鮮系の、「朝銀信用組合」が形を変えて存続し、そこに「預金保険機構」から、事実上の税金が投入されようとしている。
 
 実は平成9年の橋本内閣の時、同様なことが行われていました。
 
 「朝銀大阪信金」が破綻した時、京都、奈良、和歌山、滋賀、兵庫の朝銀が合併し、「朝銀近畿信組」が発足しました。
 
 同時に「朝銀大阪信金」は、すべての事業を「朝銀近畿信組」に譲渡し、この時は、「預金保険機構」から、3千百億円が支払われました。

  青字部分は、19回目の過去記事の転記ですが、これを頭に入れて氏の意見を読むと、全体が理解できます。
 
  ・「朝銀大阪信金」が破綻し、3千億円のお金が動くのに、どのような正当な理由があったのか。何故破綻した「朝銀大阪」は潰されなかったのか。
 
  ・日本の金融機関の破綻では、逮捕者が出ているにもかかわらず、何故「朝銀大阪」の責任者は、何の取り調べも受けていないのか。その情報が、全くないのは何故か。
 
  ・外交的、政治的配慮というのなら、その配慮の根拠を、政府はきちんと説明すべきである。それもせず、今度は小渕内閣で、一兆円にものぼる資金投入がとり沙汰されている
 
  ・このような流れを作ったのは、誰か。取材では、政治家の関与があったと複数の人が述べた。
 
 櫻井氏自身が取材をした、朝鮮総連の中枢に近いという人物の話です。
 
  ・現在朝鮮総連の実質的なナンバーワンは、許宗萬 ( ホ・ジョンマン  ) 中央委員会副議長です。
 
  ・許氏と極めて近いのが、官房長官の野中氏です。二人の交流は、金丸氏の訪朝以来のことで、平成11年7月初めにも、自民党のもう一人の大物政治家を交え、会合をしています。今回の件では、野中さんが影響力を発揮した、というのが私の推測です。
 
 韓国民団幹部の話も、紹介しています。
 
  ・「預金保険機構」の金で賄わせるという構図の、後押しをしたのは、野中さんだと言われています。「総連」内部で言われていることですから、信憑性は高いのではないですか。
 
 野中氏にインタビューした時の状況を、櫻井氏が述べています。
 
  ・野中官房長官は、どのように答えるか。氏は真っ向から否定した。氏は、「朝銀大阪」の3千億円の話は、ごく最近まで知らなかったと述べた。全国の朝銀の再編問題については、つい先日、金融監督庁から聞いたとも述べた。
 
  ・何も知らない官房長官の名前が、何故、そこ此処で囁かれるのかと問うと、平成2年に金丸訪朝団に加わり、誰もが嫌がり、一番難しい核査察の問題を交渉しました。
 
  ・激しい議論になり、逆に友好関係ができた。そういうこともあって、利権がどうとか、私の名前を出す人がいるのでしょうと答えた。
 
  ・公的資金を入れるのなら、当然経営者の責任が問われ、背任行為があれば刑事責任を告発していくことは、別に「長銀」に限らずなされるべきです。
 
  ・厳正な監査も、必要です。監査結果は、きちんと公表すべきです。私は、関係機関にそう言うつもりです。
 
 野中氏の答えに対し、氏は次のように述べ第23章を終わっています。
 
  ・官房長官としてのこの言葉を、私は心から歓迎するものだ。本来なら、やって当然のことを、これまでやってこなかった。この異常を正常に戻す約束を、野中氏はしたことになる。
 
  ・国民のお金を、正当な理由なく使わせないためにも、また心ならずも、金正日政権への肩入れをしないためにも、野中氏の言葉に希望をつなぐものである。
 
 野中氏の責任を断定する物証がなく、関係者の談話だけですから、恐らくここまでが、ジャーナリストとしての氏の限界だったのだか思います。時の権力者である野中氏を、追求したのですから、氏の勇気に敬意を表すべきでしょうか。
 
 しかし氏の期待は裏切られ、「朝銀」への公的資金の投入が実施されました。その怒りが、次の章につながったのでないかと推察します。最後の章になります。
 
  「第24章  拉致問題を棚上げした「日朝国交正常化交渉」の裏切り」
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櫻井よしこ氏著『日本の危機 - 解決への助走』 -21 ( 北朝鮮の学習組 ( がくしゅうそ ) )

2019-11-27 07:43:18 | 徒然の記
  学習組 ( がくしゅうそ ) について詳しく述べると、「朝銀問題」から離れますので、今回は概要のみとし機会があれば別途紹介します。
 
 〈   学習組の概要   〉
 
   1.  金父子に絶対の忠誠を誓い、故金日成主席の主体思想を指導方針とする、細胞組織。
 
   2.  朝鮮総連、朝鮮学校、その他日本全国に、約1000の学習組がある。
 
   3.  組員 ( そいん ) は、本国から送られてくるのでなく、在日朝鮮人である。
 
   4.  当面の目的は、韓国を北の主導で飲み込み統一すること。
 
   5.  究極の目的は、日本で主体革命の偉業を成し遂げること。 ( 日本の北朝鮮化 ) 
 
   6.  学習組細胞は、原則として組員が3名以上いる組織に存在する。
 
   7.  学習組は、本国朝鮮労働党の指導下にある。
 
   8.  朝鮮総連の中にあるが、対等の位置にある。
 
   9.  学習組の存在が公になると、日本に総連弾圧の口実を与えることになるため、朝鮮総連の活動家として振る舞うよう故金正日書記からの通達がある。
 
 非公開組織だと説明されていますが、19年前の話なので、今はネットで検索すると情報が出てきます。日本にとっては、皇室を無くし、とって代わろうというのですから危険な組織です。
 
 最近の動画で、元共産党員だった篠原常一郎氏が、日本全国に広がっている「チュチェ思想研究会」の危険性を語っています。学習組との関係がどうなっているのか、同じ組織が名称変更をしたのか、よく分かりませんが似た動きをしています。
 
 「チュチェ思想研究会」の設立者たちは、何故か北海道の「アイヌ独立運動」や、「沖縄の独立運動」のリーダーでもあり、油断のならない人物です。なぜ「アイヌ新法」を安倍総理が成立させたのか、菅官房長官は、なぜ旗振り役をしているのか。自民党政権と思えない、最近の安倍内閣です。
 
 過去は現在につながっていますから、氏の著書の紹介に真剣さが増します。「温故知新」とは、このことでしょうか。櫻井氏が指摘する事実はみな、現在の日本が抱える問題の遠因となっています。
 
 294ページに戻り、北朝鮮への非合法な送金方法につき、氏の説明を紹介します。
 
  ・鳥取県境港 ( さかいみなと ) 市は、北朝鮮の元山市と姉妹都市関係を結んだ。近海で行っていた松葉ガニ漁が、次第に範囲を広げ、北朝鮮の領海へも、入るようになったためだ。
 
  ・港へは、北朝鮮の運搬船も入るようになり、民間ベースで、自然発生的に関係が築かれていった。
 
  ・平成4年に、水産庁から指導が入り、平成7年には、日本の漁船に、北朝鮮の人間を乗せてはならないという規則ができた。それ以前は、堺港と北朝鮮を結ぶ海のルートは、いわば自由な公開されたルートだった。
 
 堺港の漁業関係者には周知の話だとしても、私には驚きの事実です。平成4年は宮澤内閣で、その後は細川、羽田、村山内閣です。罪もない国民が北朝鮮に拉致されたのに、政府も国民も無関心だった頃です。
 
  漁業関係者が語る当時の話を、氏が紹介します。
 
  ・私は10 年くらい前に、朝鮮総連の幹部からの働きかけで、北朝鮮と直接取引を始めました。契約は、われわれが北朝鮮の領海で操業する代わりに、彼らに漁の指導をするというものでした。
 
  ・向こうに三ヶ月滞在し、器械の操作、衛星を使ったナビゲーションシステムなどを教えました。
 
  ・双方の港でのチェックは無いに等しいので、人、物、現金、何でも運びました。非合法の機械類もパナマ向けとかで許可を取り、実際には、北朝鮮に持っていく船もありました。
 
  ・海上保安庁が、船の中を調べるわけではありませんから、工作員が潜んでいても見つかりません。人間と物の行き来は、他の船でも目撃していますが、金を運んだことはないです。
 
 境港でこんな事実があったことを、当時の誰が知っていたのでしょう。前回出てきたの朴氏の話が、また紹介されます。
 
  ・実際の現金輸送が、人の目に見えるはずがないのです。5千万円単位で括り、ビニール袋で包めば、野菜や衣類の段ボール箱にスッと入ります。
 
  ・新潟港の万景峰号には、多くの段ボールが積まれます。いとも、容易いことです。万景峰号でなくても、不正送金の手段はいくらでもあります。
 
 さすがの櫻井氏も、我慢できなくなったらしく、怒りの声をあげています。
 
  ・つまり、密輸出、密出国、全て可能だというのだ。要は、日本側のチェック体制が、全くできていないということだ。
 
  ・むしろ、不正送金を、見て見ぬふりをする政策でないかということだ。「朝銀信組」の場合、監督官庁に被害届を出しても、受理するだけで一向に調べない。
 
 週刊新潮に、これほど重大な事実が公にされていたとは、知りませんでした。こうした事実の上に立ち、氏が野中広務氏の疑惑について語りますが、スペースがなくなりましたので続きは次回といたします。
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