だらだら日記goo編

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

南の島で見たものは

2005-11-04 22:45:29 | アート・文化
画家のスケッチを観ていたら急に南の島に行きたくなった。
何もないのどかで素朴な島、天国に近い島ー画家もそんなことを感じたのではないか。
「会場芸術」を主張し、青龍社を起こした天才画家、川端龍子のことだ。
夜間開館を利用してその回顧展を江戸東京博物館へ観に行く。
色彩豊かな大作の多い中で、「椰子の篝火」という南洋諸島ののどかな暮らしを描いた作品がなぜか眼に留まった。
それはモノクロームでこの画家としては異質である。
そもそも画家は陸海軍の嘱託画家として、南国や中国に赴き連作「太平洋」「国によする」などを描いたという。
まあ国民感情に配慮したともいえるが、この画家が戦争にどんな意識を持っていたのかは知らない。
しかし自分の家が爆撃に会い、終戦の混乱を迎えたというのに自分の主催する「青龍展」を1945/10にも継続して開催したとは尋常とはいえない。
戦争へのこの画家の態度はともかく、南の島への旅の印象はとても強かったのだろう。
画家は南洋への六日間の船旅で、船の様子や船から見える小笠原など南の島のスケッチをだいぶ残している。
それどころか、画家には横山大観を意識した「逆説 生々流転」という作品が1959年にある。
超大作で、低気圧が台風になるという物語を描いたのだが、明らかに南洋諸島でのイメージが重なっているのだ!
大観ほど緻密な作品ではないが椰子の実とか高床式の家とか明らかに南国旅行の記憶である。
してみれば画家にとって南国へのたびはことのほか意味を持っていたのではないか。
戦後の川端はなぜか奥の細道とか四国八十八箇所とか西国三十三箇所の寺院詣でに出かける。
その意味するところはよくわからないが信仰心とか建築への興味より内なる日本の再発見のたびに僕には思える。
会場には勿論院展時代の大作やら、子ども時代の非凡なスケッチやらすごろく挿絵やらいろいろ展示されるが僕には南洋への旅が一番印象深かった。
さてかえってくると、又毎日フレンドさんから今度は富士美術館のナポレオンの招待券が届いている。
今回も毎日の招待券、毎日には頭が上がらなくなった、せいぜい「サンデー毎日」を愛読しよう。


6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 日本ノ皆サン、コンバンワ~。 (青梗菜)
2005-11-05 03:44:26
 日本ノ皆サン、コンバンワ~。
 さっき、南の島から戻ってきました。ぎらぎらの太陽と入道雲のグアムから秋風の吹く大阪へ。なんにもないヒルトンの部屋から、耐久消費財だらけの我が家へ。
 何もない部屋の贅沢 夏座敷 ―― なんて詠んでみましたが・・・、お粗末っ。
 たった4泊しただけで、小難しいことはすっかり忘れてしまいます。そういえばチャモロ人は文字を持たなかったので、彼らは記録を残していません。そんな文化的でない文化もまた文化なのかな・・・。
 昔々、なんだかよく分からないことが、しかし、確かにありました。日本が統治していたことも、日本軍が玉砕したことも。今や、観光客の8割は日本人で、そこで小理屈をこねてみたくもなりますが、行ってみると小難しいことは本当にどうでもよくなってくるのです、僕の場合、いやはや、なんとも。
返信する
青梗菜さんお久しぶり! (oki)
2005-11-05 23:26:46
青梗菜さんお久しぶり!
原田知世が主演した「天国に一番近い島」あの映画のイメージがぼくにはあります、ニューカレドニアでしたっけね。
しかし現実はこの画家にも「南洋の一般は自分らの貧しい想像を裏切ってあまりにも開明にすぎていた」。
自動車はたくさん走っているは驚いたようです。
けど旅の印象は本文に書きましたようにずっとこの画家の中であたためられていたようです。
何はともあれ青梗菜さんお疲れ様。
返信する
okiさん、こんばんは。いただいたチケットで観... (June)
2005-11-21 01:07:30
okiさん、こんばんは。いただいたチケットで観てまいりました!♪
確かに南の島への旅は龍子にとってカルチャー・ショックだったのかもしれませんね。大画面大作主義の龍子らしくおおらかに描かれた「椰子の篝火」は、島の住民に対する画家の共感が感じられました。
それにしても清流社の旗や大観による「堂々男子は死んでもよい」などを見ると、当時の日本画家たちの気迫がビシバシ伝わってきて、凄いなぁと思いますね。
意外なイラストレーター時代から、画風の変遷まで、川端龍子の世界をしっかり堪能することができました。okiさん、どうもありがとうございました!
返信する
Juneさんこんばんは。 (oki)
2005-11-21 23:36:05
Juneさんこんばんは。
日曜に行かれたのかな、混雑してなかったですか?
北斎の展覧会入場一時間待ちとの情報が入り、驚いている僕です。
夜間開館といってももうすぐ会期末なのですよねー。
返信する
okiさん、こんばんは。 (June)
2005-11-22 00:26:11
okiさん、こんばんは。
「龍子展」は日曜日に観ました。混んではいましたが「北斎展」ほどではありませんでしたね。
土曜日午後に「北斎展」に行ったら既に行列40分待ちだったので、時間調整に都美で「日展」を観ていました。午後4時ごろ再度東博に行ったら20分待ち。今度は並んで入場しましたが、幸運なことに閉館が午後6時に延長されました。最後は空いていて気持ち良く観れました♪
okiさん、「北斎展」は見所の多い展覧会でしたよ。私も厚くて重い図録を買ってしまいました(笑)

ところで「青龍社」の変換ミスがあり、いと恥ずかし(^^;;
返信する
へえ、閉館時間が延長されるのですか、それは朗報... (oki)
2005-11-22 11:18:54
へえ、閉館時間が延長されるのですか、それは朗報です。
北斎がキーワードになっているブログとかすごい数ですねー。
毎週火曜はお休みなのでこれから逓信博物館にアンデルセン観てきます、なんかすいてる展覧会ばかり行ってますね/笑。
Juneさん、ブログも楽しみにしているのですよ、ヨーロッパ旅行早く書き上げないと、次から次から観た展覧会増える一方じゃないですか/笑。
返信する