甲州野梅(やばい)といえば、梅の盆栽の素材では有名。
そして、自然の中で育つ素材ならではの、育成が難しい盆栽のひとつである。
なんせ、幹、枝がまともに育たない。
肝心な幹が、いつしか腐ったり、しっかりとしていた枝が突然枯れてきたり。
だが、そんな枯れた幹、枝をさらに枯れていることを強調するシャリ(表面の皮をワザとはがして枯渇した形成層を出す)に変化させたりする面白さもあるのだが。
また、その梅の花を咲かせることがなかなか難しい。
しかし、その花を咲かせることができたら、たった1輪でも、かぐわしい梅の香りが、漂うという。
その野梅を昨年の暮れ盆栽教室の講師から譲っていただいた。
そして、この野梅も例外にもれず、なかなか育ちが順調ではなく、またここ数年花も咲かない状態だったようで、講師の庭で数多く盆栽が置いてある片隅に、追いやられていたものであった。
私が、昨年の暮れに、正月用の梅がほしいと言って見立てていただき、育成が難しいが、それだけやりがいがあるといって譲っていただいた。
花が咲かなくても、とにかく甲州野梅を持ちたく無理していただいたので、花が咲くなどとは全く期待していなかった。
ところが、環境が変われば、梅も気を良くするのか、そんな野梅の一つの枝になんと花の芽が一つついた。
これには、講師も驚き。
この盆栽の親木は、甲州野梅でも大変立派な盆栽だったようで、それから講師が挿し木をして増やした。
ただ、野梅を増やすことはそう簡単なことではないようで、講師独特の方法(いまのところ企業秘密(!?)であるようだ。)で、増やした。
しかし、それもいろんな方々に分けて、その残りが数鉢になっていた。
親木が立派な素材なので、その遺伝子はしっかりと受け継いでいると思う。
今年はたった一輪であるが、それを大事に開花させれば、来年は、花芽が増えるようだ。
単に水をまいているだけなのだが、ここのところは、心をこめて、水をまいてやろう。