美術館の様相は、落ち着いた感じで格調高いものであったが、あえて言わせてもらえば、屋内に配置された説明員。
この方々は、おそらく作品へのいたずら、あるいは写真撮影の注意をするために配置されていると思うが、少しは観覧者の問いに答えられるような若干の知識を持ち応対してもいいと思う。
たとえば、展示室入口で目を引く小柄な水石。
険しい山並みの中に一筋流れる滝を連想させる逸品であったが、説明文の中に石の産出地が記載されていなかった。
そこで、ちょうどそこにいた若い方に、どこ産の石なのと聞いたが、わからない様子。
説明文にも載せていないので、不明なのかもしれない。ただ、それはそれで産地不明ですと答えていただければありがたいが。
もしかしたら、盆栽自体の知識がなく、単に室内の見回りで配置されているのかもしれない。
ただし、中には、なんとか応えようとする方もいたが、いづれにしても、満足な回答は得られない。
まあ、昨年オープン。まだまだ満足のいく運営はこれからか・・・。
また、屋外では、やはり見回りがいたが、これは明らかに警備会社の警備員。
警備の制服に身を包み、入場者の動き一つひとつに目配りをしている。
日本庭園の背景の中に素晴らしい盆栽の作品が並べられ、落ち着いた雰囲気の屋外であるが、そこに制服の警備員は、少し目障り。
場の雰囲気を著しく損なう。
おそらく写真撮影などに気を配っているのだろう。
まあ、美術館の入り口にあった写真撮影禁止の表示だけで、素直に従う入場客ばかりならそんな警備員は必要ないが、中にごくわずかな心無い方々がいるために、仕方なく警備しているのだろう・・・。
注意事項やマナーを気にせず、気楽にこの美術館を回れるようになるには、いつの頃か・・・。
そんな美術館から外に出て、美術館回りの散策に出かける。
大宮は、盆栽が盛んな街。
盆栽美術館の地区は、盆栽村といっている。もちろん実際の地域名ではなく、盆栽が盛んなその地域の総称。
名だたる盆栽園がその地域に多く点在し、散策がてら、どなたでも自由に鑑賞できるようになっている。
もちろん、盆栽そのものを買うこともでき、手ごろな素材から、見るからに高額なものまで数多く展示されている。
美術館を見た後は、自然と散策しながらの盆栽園めぐりとなる。
今回立ち寄ったところは、蔓青園と清香園。
この清香園は、かの有名な女性盆栽家山田香織さんのお宅。
端正な門構えで、そこを潜り抜け右に入ると盆栽の素材や添え用の観葉植物などが整然と並べられている。
またその先は、建物で、その壁には盆栽鉢などの盆栽用品が並ぶ。
建物では盆栽教室がちょうど開かれていて、十数人座れる机はほぼ満席で、生徒が松などの小盆栽の素材を鉢に植え付けようとしていた。
その先でようやく各種盆栽が展示されている広い庭に入ることとなる。
ちょうど私たちが庭に入った時に、当園のご主人、おそらく山田香織さんのお父さんと思われる方が出てきて、挨拶してくれた。
おそらく入園者には気軽に声をかけられ、盆栽の尽きぬ話をするのだろう。
私たちの講師も、過去にここから花台などを買っていて、顔なじみのようである。
【写真↓:蔓青園の入り口。もちろん中では撮影禁止】
【写真↓:清香園の門がまえ】