写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

お門違い

2018年04月08日 | パソコン

 こうして書いているブログについて、同年配の知り合いから今まで何度かクレームがついたことがある。ブログの内容に関してではなく、文字の大きさについてである。

 「おい、君のブログをいつも読ませてもらっているが、もう少し、大きな字で書いてくれないか。字が小さすぎて読みにくいぞ」とのお叱りである。私も、パソコンの初心者であったころは「ごめんごめん、今度から大きく書くから……」と、いつものようにまずは頭を下げることに徹していた。

 ところが、パソコンで読む文字の大きさは、読む側の人によって好きな大きさに変えることができるようになっている。具体的にはパソコン画面の上段に「ファイル」「編集」「表示」「お気に入り」「ツール」などと書かれた「メニューバー」がある。その中の「表示」というところをクリックすると、「文字の大きさ」とか「拡大」という欄があり、これで自分が好きな大きさに拡大・縮小ができる。

 これを知ってからというもの、冒頭のようなクレームに対しては、優しくしかし毅然として、読む側の人の好みで大きさを変えることができることを伝えている。文字の大きさは、読む人によりまちまちであろう。自分の好きな大きさに変更出来るということを知らずに、書き手を責めていることになるが、それはお門違いということになる。

 しかし、そんな人に対して、そっけない対応をしていたのでは、素人が書くこんなブログは読んではもらえない。ここは謙虚に丁寧に説明して理解していただくことが大切であるが、この「謙虚に丁寧に」という台詞、誰かがテレビで何度も言っていたことを思い出して苦笑いをしている。

 (追)知人よりご指摘がありました。
文字の大きさを変える簡単な方法は「パソコンキ―の『CTRL』を押したまま、マウス中央にある『スクロールホイール』をくりくり回すと、即座に縮小や拡大ができます」ということでした。やってみると、これが一番簡単でした。
 
 


コツ

2018年04月06日 | 木工・細工・DIY

 今まで何度も額や紙芝居の台をDIYで作ってきた。その都度、4隅はきちんと卓上電動ノコで45度に切った板を組み合わせているが、出来上がったものを見ると、なぜか市販の物のように4隅がぴったりと合わさっておらず、微妙に隙間ができていた。

 専門の業者が作るのは、何か特別精度のいい道具を使って作っているからだろうと、それ以上のことは考えていないまま今日に至っていた。先日のことである、知人から賞状を入れるための額を作ってほしいという依頼があった。安請け合いはしたものの、何とかきちんとした額を作りたいと策を考えているとき「あっ、こうすればいいんだ!」ということに気がついた。

 この方法を文章で表現することは難しいが、敢えて書いてみるとこういうことである。「まずは板の上に『ハ』の字型で正確に90度となるような治具を作っておく。額には上下と左右の2組の板があるが、まず上下の板2本の両端を、治具の右側の『ハ』の字に当てて切っておく。次に左右の板2本の両端は、治具の左側の『ハ』の字に当てて切ると、4隅がぴったりと90度を保った額が出来上がる」ということである。

 今まで4隅がピッタリ90度にならなかった理由は、卓上ノコの目盛りの45度が、正確には45度ではなかったことによるものであった。こんな単純な「コツ」に気がつくまで10年かかった。

 「コツ」と書きながら「コツってどんな漢字を書くのだろうか?」という疑問がわいてきた。調べてみると「骨」と書くことが分かった。「骨(コツ)」の意味としては、まずは1.火葬にした死者のほね。 2. 物事をうまく処理する要領。呼吸。勘所。 3.芸道などの急所。奥義。また、それを習得する能力、とある。

 骨は体の中心にあって体を支える役目を果たしていることから、人間の本質や素質などを意味する。そこから骨(コツ)は勘所や要領なども意味するようになり、物事の本質を見抜いて自分のものにすることを「コツをつかむ」と言うようになったという。

 日常の会話の中で、漢字も由来も知らずにいろいろな言葉を使っていることに気がついた。「コツ」が、まさか「骨」であったとは、また、卓上ノコの45度が正確には45度でなかったとは、まさに知らぬ仏のお富さんであった。


庇(ひさし)補修

2018年04月03日 | 木工・細工・DIY

  今日の借家の仕事として大工仕事をやった。木造の家は、築40年も経つと、外部に露出している木造個所が、風雨に曝されっ放しのため、どうしても傷みが出てくる。

 玄関の入り口ドアの上に、横幅が190cm、奥行きが90cmある庇が掛けてある。その屋根はカラー鋼板で覆われているが、前面の両角の破風板の隙間から雨が入り込み、ベニヤ板で作ってある天井板が、一部腐食して、みすぼらしくなっていた。

 これでは新たに入居者が入ってはくれそうもない。何とか、手直しをしたいと思うが、この天井板を取り換えるには、周囲に巡らしてある破風板をばらす必要がある。それは大仕事となる。何とか、もう少し簡便な方法で修理をすることができないかと考えた挙句、妙案を思いついた。

 いま張ってある天井板の下に、新しいベニヤ板を貼ればよい。そのベニヤ板を支える方法は、軽量なアルミ製のアングル型鋼を買ってきて、ぐるりと破風板の内側に取り付ければよい。新しく取り付けるベニヤ板は、防食塗装をした屋外用のものがホームセンターで売られているのを見ていた。

 簡単な設計を済ませて必要な資材を買ってきて、脚立を使い早速工事に入った。午後の半日をかけて、何とか取り付けを終えた。庭のベンチに座って、出来ばえをじっと観察してみたが、気を付けて見ると若干のことはあるが、ただ見ると、新築した家のようにきれいに見える。全くノウ プロブレムである。

 たかが庇であるが、雨降りの日、家への出入りに傘を開いたり閉じたりと、不可欠な張り出しの屋根ではある。ところで「軒(のき)を貸して 母屋を取られる」という諺がある。「軒」と「庇」の違いって、私は正確には知らなかったが、「軒」とは、外壁から出っ張っている屋根の部分のことで、「庇」とは、窓や出入り口などの開口部に取り付けられる小さな出っ張り屋根のことだという。

 したがって「庇」は「軒」の一部と言えるが、補修して新築同然となったこの「庇」だが「庇を貸して 借家を取られる」ことのないよう気を付けたいものである。

 

 


迷い犬発見

2018年04月02日 | 生活・ニュース

 夕方5時、借家のその日の整備作業を終えて、きれいになった居間の椅子に座って、50m先にある国道を走る車をぼんやりと眺めていた。その時、少し違和感のあるものが目に入った。

 国道と並行してJR岩徳線が走っている。ちょうど居間から見る景色のど真ん中に、車1台が通れるほどの遮断機のついた狭い踏切がある。はっきりとは見えないが、その踏切のすぐそばで茶色のプードル犬が、何か落ち着かないように立ったまま、きょろきょろと辺りを見回している。

 「踏切の近くの危ないところで、どうしたんだろう。誰か用事を済ませる間、繋いでいるのだろうか」と思いながら、しばらく様子を見ていたが、3、4分経っても誰もやってこない。車がすぐそばを何台も通っていく。犬が動かないところを見ると、繋がれているに違いない。そう思いながら借家に鍵をかけて、家に帰ろうとして外に出た。

 その時である。200m離れたところに住んでいる知人のYさんが、自転車に乗って通りかかり「犬を見ませんでしたか?」と尋ねてきた。プードルですかと聞くとそうだと言う。「それなら、あの犬ではないの」と、相変わらず踏切の近くにいる犬を指さすと「あっ、あんなところに!」と言いながら自転車を放り出して走り出した。

 私もYさんの先を走って国道に出た。その向こうの踏切に、まだ犬はいる。国道には手押し信号付きの横断歩道はあるが、押してもすぐには青にならない。運よく車の往来が途切れている中、左右からくる車を両手で制しながら赤信号の国道を渡り、踏切の向こうにいる犬を捕まえようとするが線路を伝って逃げる。

 Yさんが「おいで」と手を差し伸べると嬉しそうなそぶりをしながら抱かれ、無事捕まえることができた。とんだ捕物であったが、訳は、娘が旅行へ行くため預かっていた犬であった。Y さんが犬を家に残して所用で出かけた。少し開いていた引き戸を鼻で開けて外に出たようであった。

 近所の人を2人動員して辺りを探したが見つからない。まさか国道と踏切を渡ってまで遠くに行っていたとは、とYさんは安心して少し涙ぐんでいた。事故にも遭わなくて何よりであったが、娘からの預かり犬であれば責任重大であった。

 私がこの挙動不審の犬を暇に任せてぼんやり眺めていたが、発見の一助となって感謝されることしきり。「当然のことをしたまでです」といいながら「お礼はまたの時でいいですよ」と言っておいたが、翌日、おいしそうなワインが1本届けられた。「当然のことをしただけなのに……」と言いながら喜んでいただいた、というお話。完。