写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

団地サイズ?

2018年04月26日 | 季節・自然・植物

 ここしばらくは、昼間に肉体労働をしていたため、夕方の散歩をすることなく過ごしていたが、久しぶりにいつものコースで出かけてみた。いつの間にか新築の家が3軒も建っていて、若い家族が嬉しそうに庭に出ている。

 そんな景色を眺めながらの帰り道、マンションが見えるところに出た。2階のベランダに、隣同士が非常に対照的な鯉のぼりを掲げているのが目に入った。

 そういえば早くも4月は終わり、5月5日の端午の節句は目の前で、今はまさに鯉のぼりの季節である。外に出歩くことが少なくなっていて、そんな季節の巡りに鈍感になっていた。思わず「♪やねより たかい こいのぼり~♪」と口ずさんでみた。

 15年前、初孫の男の子が生まれた時、息子家族はマンション住まいであったため、大きな鯉のぼりではなく、兜のセットを贈ったことを思い出した。今の時代、若い夫婦はマンション住まいが多く、昔のように一戸建ての家の庭に背の高い竹竿を立てて、鯉のぼりを泳がせるというようなことは目にしなくなっている。

 たとえ鯉のぼりを贈るにしても、「団地サイズ」とか「ベランダサイズ」とも言われるごくごく小型のものを贈ることが多い。そんな「常識」を持って歩いていた時、何と、マンションに飾るにしては、どでかい鯉のぼりに出会った。

 幅が6mもあろうベランダの手すりに真っ赤な鯉のぼりが、うまい具合に張り付けてある。逆にその隣の家のベランダには、これまたかわいい小型の鯉のぼりがベランダの隅っこに立てられていて、面白い対比を見せている。

 どでかい鯉のぼりをベランダに張り付けたお父さん、どんな発想でこんなことをしたのか。マンションには「ベランダサイズ」という概念を一掃したお父さんに思わず「お見事」と叫んでいた。