写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

椎の実

2004年12月08日 | 季節・自然・植物
 まだ午後4時だと言うのに、木々の茂った山沿いの小路は、もう薄暗くなりかけていた。自転車で家の近くまで帰って来たところだった。

 小さなリュックを背負った50前の女性が、木の下に屈みこんでしきりと何かを拾っている。私は自転車を降りた。

 片手のひら一杯に、小粒のかわいいどんぐりを大事そうに載せている。訊いて見ると、「椎の実」だと言う。何年も近くに住んでいて不覚であった。

「椎」の名は良く知っているが、その木が「椎」とは全く知らなかった。皮をむいてそのままでも食べられる、数少ないどんぐりの一種だと教えてくれた。また少し自然のことに詳しくなれた。

 明日、度の強いめがねをかけて、私も「落ちぐり」を拾ってみよう。ビールのつまみに合うとも言っていたから。

 3粒ほど、この写真用に分けてもらった。
   (写真は、初めて知った「椎の実」)