写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

確率9%

2020年01月04日 | 生活・ニュース

 久しぶりに奥さんと2人だけの静かな正月を過ごした。年末から一歩も出かけることなく、家の中でじっとしていたが、天気がよく暖かかった正月2日に、例年になく早く初詣に出かけることにした。吉香公園にある白山比咩神社に向かった。

 参拝した後、いつものように奥さんとおみくじを引いてみた。まずは表の「神の教」を読む。「神のこころが天地の真理、真理はなれちや生きられぬ」と書いてある。

 恐る恐る裏返してみると「大吉」という字が目に入った。いい気持になって一通り読んでみる。上段に「ときくれば 枯れ木とみえしやまかげの さくらも花の さきにおいつゝ」とある。「何ごとも慎み 退屈せず 時まてば 必ずよし」と解説してある。

 さすが大吉である。いいことが書いてあるが、「運勢」の欄を読み進んでみる。年のせいだろう、真っ先に「病気」の項を読むと「気遣いなし 信神せよ」とある。「しんじん」が「信心」ではなく「信神」と書いてあるのは神社だからだろう。

 「恋愛」や「出産」「縁談」などの項目は、我が家のみならず息子家族にも関係がなさそうであるが、悪いことは書いてない。その時、私の後に引いた奥さんが「私も大吉よ!」と声を弾ませていう。2人そろって大吉とは、歌舞伎のせりふではないが「こいつは 春から縁起がいいわい」ということか。

 その翌日、ラジオを聴いていると、いろいろな神社や寺のおみくじの、大吉の入っている割合を話題にしていた。大吉は30%、中、小、末吉など合わせて60%、残り10%が凶だという。そうだとすると、奥さんと2人が共に大吉を引く確率は0.3*0.3=0.09ということでで、わずか9%という確率になる。

 ともかく、今年は信神することを忘れなければ、奥さん共々元気で生きていけるというお告げであったと理解し、頂いて帰ったお札を祀った神棚に向かって改めて柏手を打った。