3月の末、例年より1週間ばかり遅れてサクラが咲き始めた。いつかいつかと待っていたが、やっとその気になってきたようだ。さあ、本格的な春がやって来たぞと思いながら久しぶりに裏庭に眼をやると、数年前には私の背丈くらいしかなかったアーモンドの木は、いつの間にやら2倍の高さになっている。
しかも、多くのつぼみを付けており、サクラの開花に先駆けてすでに3分咲きの様相である。遠くから見ると、サクラと見まがうくらいそっくりな花だ。心なしか色がやや濃いくらいか。知らない人が見るとまさにサクラである。「サクラに似ているなあ」と言うだけでは、オーナーとしては失格。早速調べてみた。
「バラ科サクラ属の落葉高木。原産はアジア西南部。木は約5メートルになる。日本では3-4月にかけて、葉のない枝に、白色又は桜色・桃色の花弁の端に小さな切込みの入ったサクラの特徴を有する花を、サクラ同様のたたずまいで咲かせ7-8月に実が熟する。サクラの花との違いは、花柄(かへい)が非常に短く、枝に沿うように花が咲くことである」と書いてある。
これを読んだあと、すぐに庭に出て丁寧に観察してみた。花柄とは、花を支える茎のことをいうが、まこと、花柄が短いというより、ないに等しく、花が直接小枝から咲いているように見える。外見でのサクラとの違いはこんな些細なところにあることを知った。
サクラが咲く季節、我が家の庭にも桜の木が1本欲しいなと思っていたが、いつ奥さんが植えたのか知らないが桜そっくりのアーモンドが立派に大きく成長し、下で花見の宴が出来るほどになっている。
ちなみにアーモンドの和名はヘントウ(扁桃)ともハタンキョウ(巴旦杏)あるいはアメンドウとも呼ぶという。
それで分かった。アーモンドの花に向かって「おい、サクラ」と声をかけてもヘントウもなく、花の下で酒を飲めば直ぐにバタンキュウとなってしまう。なんとも、ああメンドウな木ではある。