写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ゴムひも品切れ

2020年04月20日 | 生活・ニュース

 苦肉の策で手製の布マスクを作ったところ、ことのほか奥さんから高い評価をもらった。強い要望で奥さんのものも作ることになった。ところがマスク本体は作ったが、耳に掛けるゴムひもの手持ちがなくなっている。南岩国にある手芸品店に買い求めに出かけた。

 開店直後という時間なのに、駐車場は私が停めると満杯となるほどである。外出自粛とあって、皆さん家の中で何か手芸をやっているのだろうか。店の入り口に向かうと、4人の女性が距離を置いて並んでいる。見ると入り口に立て札が立ててある。

 「コロナ対策のため、入店者の人数制限をしています。1人が出られると1人がお入りください。外でお待ちになる方は、足形が描いているところに立ってお並び下さい」と書いてある。下を見ると可愛い足形が約1・6mおきに描かれている。

 5分ばかり待っていると入店することができた。ところが肝心のゴムひもは品切れで手に入らなかった。私と同じで、マスクを手作りしたい人が殺到したのに違いない。こんなものまで品切れとなっていることに苦笑しながら帰ってきた。

 そうだ、ゴムひもがなければ布ひもを作ればいい。そういえば、子供の頃のマスクは確か布ひもだったような気がする。そんなことを思い出しながら、長さが40cmの布を三つ折りにしたひもを2本作ると、立派なマスクが完成した。

 買い物から帰
ってきた奥さんが、帰ってくるなり「できた~?」といいながら部屋に入ってくる。縫い目が少し蛇行している完成品を見せると「いい物ができたのね」と大喜びする。

 マスクが品切れとなれば自分で作る、ゴムひもが品切れとあればひもを作る。遊び道具でも何もない時代に生まれ育った習性からか、腕に自信はなくても、ないとあれば自分で作るという習性が今もしっかりと活きている。