写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

御帳台

2020年04月15日 | 季節・自然・植物

 依然として鎮静化の見通しが不透明なコロナ騒動。テレビを見ても新聞を読んでも、コロナのことばかりである。購読紙の1面には、毎日18首の読者投稿の川柳が掲載されている。今日(15日)は18首中、何と13首もがコロナに係るものである。いかに皆さんが関心を持っているかが、こんなことからもうかがえる。

 私はここ数年、きょういく(今日行く所)も、きょうよう(今日用事)も特になく、出かけるといっても病院通い以外は、ほとんどが不要不急のことばかり。お国から、「不要不急の外出の自粛」を言われているが、それまでの日常生活と変わらない毎日を過ごしている。

 そうは言っても、時には気晴らしに、慎ましやかな外食なんぞにも出かけていたが、ここしばらくはそんなお出かけも自粛している。たまに食料品の買い出しに奥さんとスーパーに出掛けているが、マスクをしながらも客同士はお互いが疑心暗鬼で、下を向いてすれ違うありさま。 

 「相手のみならず自らが感染者だという前提で、距離をとって過ごしてください」という指導がされている。そんな中、必然的に内にこもった毎日を送っているので、最近は庭仕事がはかどり、日ごろになく「美しい庭園」になったと自画自賛している。

 3月の初旬に花が咲いたサクランボは、桜の時期には花を散らし、今では直径が5~6mmの青い実を沢山つけて、春の陽をいっぱい浴びて日に日に大きくなっている。

 しかし、色が付き始めると、ヒヨなどの野鳥の餌食になる。その対策として毎年、粗目のネットで高さが2・5mもある木全体を覆うことにしている。長い棒の先にネットをひっかけて奥さんと声を掛け合いながら上から被せた後、隙間ができないように針金で閉じていく。

 30分ばかり奮闘した後、完
成した姿を眺めてみると、平安時代の高貴なお方の御帳台のように見えなくもない。後は5月の10日ころ、ルビーのような真っ赤な宝石にも似たサクランボの収穫を待つだけとなった。