写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

私の罪

2020年04月13日 | 生活・ニュース

 2年前に丹頂とオランダシシガシラという、ちょっと形の面白い幼い金魚を2匹ずつ4匹買って、30リットルの水槽で飼い始めた。数か月が経ち少し大きくなった頃、それぞれ1匹が原因不明のまま死んでしまった。

 1年が過ぎた頃には、生き残った2匹は、食欲は旺盛で想像していた大きさの3倍くらいの大きさにまで巨大化した。真冬こそ、意識的にエサは少なくしていたが、相変わらずよく食べていた。

 ところが今年、気温が上がり始めた頃から、水槽の水が白く濁り始めた。初めての経験である。何度も半量ずつ水を取り替えてやるも、やがてまた白く濁ってくる。1カ月ばかりこんなことを繰り返していたが、依然として改善しないのでネットで調べてみた。

 「水が白く濁る原因は様々であるが、最も多いのが濾過バクテリア不足」と書いてある。金魚から出るフンや食べ残したエサは時間経過により崩壊していき、水に溶け、それにより水中が白く濁る。この有機物を処理してくれるのが濾過バクテリアだという。

 つまり原因は、水槽で発生する有機物に対して「濾過バクテリアが少ない」ということ。水槽に入れている金魚が多かったり、金魚自体が大きい場合は排泄量が多くなるため、濾過バクテリア不足に陥りやすくなるとも書いてある。

 そうか、金魚が成長期であれば、エサを十分に与えてもよかったが、成長が止まるとエサの量を控えてやらなければ、食べ残しも増えて濾過バクテリアが不足気味になっていたのだと判断し、ここ1カ月はエサの量を極端に減らしてみた。

 すると、何ということでしょう。見る見るうちに水槽は白い濁りはなくなり、透明な湧水を見るように、きれいになってきたではないか。いつも水槽の傍を通るとき、こちらを向いてエサをねだるたびに与えていたが、今は目を合わせないようにして素通りすることにしている。

 金魚も人間と同様、成人となった後は食べる量を減らしてやらないといけないことを学んだ。それにしても、30リットルの水槽には不釣り合いなほどに金魚は巨大化したが、果たしてそれは私の罪だろうかと少し悩んでいる。