写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

晒(さらし)でマスク

2020年04月18日 | 生活・ニュース

 安倍首相は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、先般発令していた「緊急事態宣言」の対象地域をやっと全国に拡大した。

 私が住んでいるのは小さな地方の町とはいいながら、コロナがいつ我が身に襲ってくるかは分からない。街にちょっとした買い物に行っても、マスク姿の人ばかり。市販の安いマスクでは、数回洗濯をすれば、ふにゃふにゃとなるが、それさえも今では手に入らない。

 それならば自分で作ってやろうと思い、奥さんにマスクに適した布を出してもらった。生地の種類を聞いてみると「晒」だという。手に取ってみると透けて見える真っ白な布である。厚みを出すためには何枚も重ねて作る必要がある。ネットで選んだ型紙を布に写し取り晒を切っていく。中央部を膨らませるためなだらかな円弧に切っていった。

 2階に上がり、母が使っていたミシンに向かって縫っていく。布を切り始めてから1時間が経ったころ、試作1号品が完成した。測ってみると縦10cm、横幅が16cmのものであるが、顔に掛けてみると安倍首相がしているマスクと同じで、少し小さいものとなった。

 奥さんに見せると、小さすぎて今一つ評価がよくない。気を取り直して、一回り大きなものを作ることにした。市販の物を参考に型紙を作り布を切り取り、再度ミシンの前に座る。2度目なので勝手知ったやり方で、直ぐに作り終えた。今度は奥さんから合格を頂き「私もお父さんと同じものを作って欲しいわ」と言わしめた。裁縫の腕前に少し鼻を膨らませる。

 為せば成る。後日、安倍さんが送ってくれるという「アベノマスク」を座して待つことはない。コロナ禍で家に閉じこもっている中、自分で出来ることは自分でやるという自給自足的な生き方をしてみた。