写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

時の旅人

2007年09月30日 | 季節・自然・植物
 9月28日は、72候の秋分の次候「蟄虫坏戸」で、虫が土中に掘った穴をふさぐ頃だという。ことのほか暑かった夏、地上で活躍した虫たちも秋風を感じて、そろそろ地下にもぐり始めるのだろう。

 今朝の7時、新聞を取りに外に出たとき、前日の真夏のような気温に比べると、うそのような肌寒さを覚えた。

 季節は、こんなにも劇的に変わるのだろうかと、驚くほどの変わり身である。部屋に入り、パソコンを置いているところの出窓から庭の花水木の枝を眺めてみた。

 所々につけた赤い実は更に赤みを増し、6割方の葉はすでに柿色に染まり始めている。その葉陰には、すでに来年の5月に向けて小さなつぼみの素が、今年以上に数多く付いているのが良く見える。

 私とは違って、花水木といわず植物たちの次への備えは驚くほど早い。花水木の花が散ったのは5月の末。4ヵ月後の今は、もうしっかりと花芽が空に向かって自己主張している。

 「事の成否は準備で決まる」とは、よく聞く言葉だ。来年も期待できそうだ。何ごとをするにしても、許せる限り先送りしている自分の日々を少し反省する。

 あと1ヶ月もすれば花水木の色鮮やかな紅葉を窓越に見ることが出来、赤く熟れた実は冬の間、小鳥がやって来てついばんで行く。

 小さな窓の外で、同じことが毎年繰り返されている。それを眺めている私も最近は同じことの繰り返しとなっている。おっ、今日は背戸の山へクリ拾いにいってみよう。
 (写真は、紅葉の始まった庭の「花水木」)